SCP版 エンジェル・オーバードーズ

奏せいや

想い2

 遊園地で仰向けになっている。見上げる光景は夜空が広がり、必死に見つめてくる彼女の顔がある。傷だらけで、それでも自分を心配してくれる。

 なぜ自分は生まれ、なぜ今までを生きてきたのか。

 その理由が、分かった気がした。

「ごめん」

 だからこそ、申し訳なかった。

 瑞希にも。彼女にも。

 後悔ばかりだ。自分の人生は後悔ばかりだ。でももう遅い。

 もう、なにも感じない。

 守人の言葉を聞いて麗華は再び涙を流した。彼の肩を強めに揺する。

「謝らないでよ。なんで、謝るのよ……!」

 溢れる涙が止まらない。止まらないのだ、全身が燃えているように熱い。

 彼女は、こんなことのために頑張ってきたんじゃない。違う。こんなはずじゃなかったはずだ。彼女が望んだ未来は、彼の幸福の未来だったはずなのに。

「守人君……?」

 体を揺らす。

 だけど、反応がない。

「守人君!」

 何度も揺らす。力を入れるたび痛む体を無視して守人の体を動かす。

 だけど。

 だけど。

 彼はもう、動かない。

「う、うう」

 焦点の合わない目で、夜空を見上げていた。

 彼の胸に顔を押し付けて、麗華は彼を抱き締めた。なにも言わない彼を、いつまでも。

 希望が、今、死んでいく。

「うわああああ! あああぁあぁああ!」

 泣いた。泣くことしか出来なかった。祈ることも、願うこともない。

 ただ、泣いていたのだ。

 ずっと。

 ずっと。

 彼を抱き締めて。

 彼女の願いが、終わりを告げる。

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