錬成七剣神(セブンスソード)
安神此方1
廊下の窓を見ながら此方は謝罪してきた。どこか寂しい雰囲気は妹が倒れてしまったからだろうが、しかし謝る理由が分からない。
「あんたが助けに駆け出したい気持ちは分かる。でもね、昨夜の出来事は、当然だけと私たちも見ていた。昨日から日向、すごく怯えているの」
話を聞いていた聖治は納得した。会ったばかりとはいえ仲間だったのだ。
そうでなくても人が殺されるという場面を目にすればトラウマだ。今度は自分かもしれないと思えば恐怖だろう。
日向が寝込んでしまうのも分かる。
「私は、日向を守るので精いっぱいだった」
此方の告白は小さい。それを聖治はしっかりと聞き入る。
昨夜の魔来名戦、戦ったのは聖治と星都、織田だけで此方は参加していない。
それは自分の背中に日向を隠し、いざという時に日向を守るためだ。自分が参加すれば日向が無防備になってしまう。
そのため此方は参加せず、そしてそれを聖治も知っていた。
「だけど、結果として二人の仲間が亡くなった。目の前で殺されて……」
此方は目を瞑り、悲しそうに、悔しそうに拳を握り込んだ。
「ごめんなさい……」
真剣な声で。深刻な表情で。此方は聖治に謝った。
「謝る必要なんてない」
そんな此方に聖治は言った。此方の目が開かれこちらを向く。
「此方は自分の妹を守ろうと頑張っただけだ。それは悪いことじゃない。立派なことだ。謝らなければならないのは俺なんだ……」
けれど、語るにつれて目線が下がってしまった。
「俺は、二人を守れなかった。そして、此方や日向にまで負担をかけてしまった。俺は、なにも救えていない」
聖治は思いを語るが、悔しさに床を睨みつける。
「はじめての、友達だったのにッ」
両手を握る。体が微動する。後悔は今だって自分を責め立てる。
「なのに、俺は……!」
星都と力也の笑顔はもうない。思い出の中だけになってしまった。笑って明日を迎えられるように生き残るんだという約束は果たされなかった。
聖治は、後悔していた。
「しっかりしてよ!」
「!?」
その時、此方の大声が廊下に響いた。気迫のある声に思わず顔を上げる。
「あなたは、ここにいる誰よりも年上なんでしょう? 一番お兄さんなんでしょう!?」
「お兄さんって……」
此方の言う通り香織さんがいない今聖治は三人の中で一番年上だが、お兄さんと呼ばれることは少しだけ意外だった。
「なら、あんたが、しっかりしなさいよ……!」
「此方?」
聖治は一瞬此方に怒鳴られたかと思ったがそうではなかった。此方はすでに俯いていた。
「どうしたんだ此方、いつもと調子が違うじゃないか」
「いつも?」
そう言うと此方は聖治を睨み上げ、近づいてくると胸を掴んできた。
「テキトウなこと言わないでよ! あんたが私のなにが分かるっていうの!?」
此方は叫ぶ。聖治を見て本気で怒ってきた。
それを聖治も受け止めるが、しかし見てみれば此方は泣きそうな表情だった。それを見て思う。
「もしかして、此方も辛いのか?」
二人が殺されてしまったこと。
聖治にとって此方は妹を大切にしているお姉さんというイメージで、なにかと気が強く棘のある女の子、という感じだった。
人によっては避けたくなる印象もあるだろう。彼女が傷つくなんてあまりピンとこない。
だけど、それでも女の子なのだ。自分より年下の。
「そうよ……」
此方は聖治を掴みながら俯いた。
「私だって……! 私だって!」
そして、ついには泣き出した。
「あんたが助けに駆け出したい気持ちは分かる。でもね、昨夜の出来事は、当然だけと私たちも見ていた。昨日から日向、すごく怯えているの」
話を聞いていた聖治は納得した。会ったばかりとはいえ仲間だったのだ。
そうでなくても人が殺されるという場面を目にすればトラウマだ。今度は自分かもしれないと思えば恐怖だろう。
日向が寝込んでしまうのも分かる。
「私は、日向を守るので精いっぱいだった」
此方の告白は小さい。それを聖治はしっかりと聞き入る。
昨夜の魔来名戦、戦ったのは聖治と星都、織田だけで此方は参加していない。
それは自分の背中に日向を隠し、いざという時に日向を守るためだ。自分が参加すれば日向が無防備になってしまう。
そのため此方は参加せず、そしてそれを聖治も知っていた。
「だけど、結果として二人の仲間が亡くなった。目の前で殺されて……」
此方は目を瞑り、悲しそうに、悔しそうに拳を握り込んだ。
「ごめんなさい……」
真剣な声で。深刻な表情で。此方は聖治に謝った。
「謝る必要なんてない」
そんな此方に聖治は言った。此方の目が開かれこちらを向く。
「此方は自分の妹を守ろうと頑張っただけだ。それは悪いことじゃない。立派なことだ。謝らなければならないのは俺なんだ……」
けれど、語るにつれて目線が下がってしまった。
「俺は、二人を守れなかった。そして、此方や日向にまで負担をかけてしまった。俺は、なにも救えていない」
聖治は思いを語るが、悔しさに床を睨みつける。
「はじめての、友達だったのにッ」
両手を握る。体が微動する。後悔は今だって自分を責め立てる。
「なのに、俺は……!」
星都と力也の笑顔はもうない。思い出の中だけになってしまった。笑って明日を迎えられるように生き残るんだという約束は果たされなかった。
聖治は、後悔していた。
「しっかりしてよ!」
「!?」
その時、此方の大声が廊下に響いた。気迫のある声に思わず顔を上げる。
「あなたは、ここにいる誰よりも年上なんでしょう? 一番お兄さんなんでしょう!?」
「お兄さんって……」
此方の言う通り香織さんがいない今聖治は三人の中で一番年上だが、お兄さんと呼ばれることは少しだけ意外だった。
「なら、あんたが、しっかりしなさいよ……!」
「此方?」
聖治は一瞬此方に怒鳴られたかと思ったがそうではなかった。此方はすでに俯いていた。
「どうしたんだ此方、いつもと調子が違うじゃないか」
「いつも?」
そう言うと此方は聖治を睨み上げ、近づいてくると胸を掴んできた。
「テキトウなこと言わないでよ! あんたが私のなにが分かるっていうの!?」
此方は叫ぶ。聖治を見て本気で怒ってきた。
それを聖治も受け止めるが、しかし見てみれば此方は泣きそうな表情だった。それを見て思う。
「もしかして、此方も辛いのか?」
二人が殺されてしまったこと。
聖治にとって此方は妹を大切にしているお姉さんというイメージで、なにかと気が強く棘のある女の子、という感じだった。
人によっては避けたくなる印象もあるだろう。彼女が傷つくなんてあまりピンとこない。
だけど、それでも女の子なのだ。自分より年下の。
「そうよ……」
此方は聖治を掴みながら俯いた。
「私だって……! 私だって!」
そして、ついには泣き出した。
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