錬成七剣神(セブンスソード)

奏せいや

明かされる真実2

 ビジネスホテルの一室は一人用で、小さな部屋には机と椅子、そしてベッドが置かれていた。

 聖治は机に置いてあるスタンドランプのみを点灯させ、薄暗い部屋の中でベッドの上で座り込んでいた。そのままなにもせず時間だけが過ぎていく。

 すると扉をノックする音が聞こえてきた。

「聖治君、起きてる?」

 聞こえてきたのは香織かおりさんの声だった。聖治は立ち上がり扉を開ける。

 香織かおりさんは陰のある表情で立っていた。

「入っても、いいかな。伝えておかなければならないことがあるの」

「伝えておくこと……?」

 聖治は疑問に思いながら香織かおりさんを部屋へと入れた。二人並んでベッドに座り二人分の影が伸びる。

 会話はなかなか始まらなかった。重苦しい雰囲気に蓋をされたように二人ともじっとしている。
 そんな中、香織さんが静かに話し出した。

「……私のこと、怒ってる? それとも、変な人って思ってるかな?」

「え?」

 聖治は隣に座る香織かおりさんに向き直る。香織かおりさんは聖治を見ておらず、床を見つめていた。

「だって、ほら。魔来名まきなと会った時、私が勝手に動いて……。結果的に、邪魔になって……」

 香織かおりさんの横顔は悲しそうだった。視線を外し聖治も床を見つめる。

「いや、俺は……。俺は、何も出来なかった。大事な時に怖がって、何も。俺には誰かを責める資格なんてない。むしろ、責められるべきだ……」

 星都せいとは戦った。仲間を守るために。力也りきやだって戦った。聖治を守るために。

 二人とも怖かったはずなのに、それでも勇気を出して戦った。

 なのに、自分は怯えているだけだった。大切な人が目の前にいたのに。

 聖治は拳を握り締める。

「……実は、聖治君にまだ言ってなかったことがあるんだ。セブンスソード。そのホムンクルスについて」

「……そうなんですか?」

「うん。私たちホムンクルスが、どうやって作られたかについてなんだけど」

「……どうでもいいさ、そんなことは」

 香織かおりさんの話を、けれど聖治は断った。自分たちが作られた経緯。そんなことは知ったところで意味がないことだ。それでは、何も変わらない。

「ううん、知って欲しいの。君にだけは」

 けれど香織かおりさんは言ってきた。その言葉は重くて辛い、悲しい響きを含んでいた。

 何故そこまでこだわるのか。聖治は内心で小首を傾げた。

 そして、香織かおりさんは話し出した。

「私たちホムンクルスを作るには、まずは身体を用意する。すぐに戦えるように細工して。その次に魔法剣であるスパーダを宿す。そして最後に、魂をホムンクルスに与えるの。それでなんだけど、その魂、どこから持ってくると思う?」

「……いや、想像もつかないな」

 香織かおりさんから聞かれるが、聖治はよく考えずに答えた。

「死んだ人のね、魂を与えるんだよ」

「…………」

 香織かおりさんは答えを話すが、それでも聖治にはピンとこなかった。

「死んだ人の魂を回収して、ホムンクルスに与えて、その魂は再び動き出す。言い換えれば、その魂から見れば来世とも言える。そして、私たちから見れば、私たちには確固たる前世が存在するんだよ」

 そう言った後香織かおりさんは一拍の間を置いた。次に言う言葉に覚悟を込めるように。そして落ち着いた声色こわいろで聖治に告白した。

 それは、衝撃の真実だった。

「その前世で、君と魔来名まきなは兄弟だったんだよ」

「え!?」

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