錬成七剣神(セブンスソード)
出発6
この場には一向に変化は見られず不発を思わせるが、確かに発動の手応えは感じていた。
今だってそう。神剣はその能力を発揮している。にも関わらず、何も起こらなかった。
「うっ!」
ついに聖治も膝を地面に付けてしまった。両手で持ったゼウシスも地面に下ろす。風邪を患ったように呼吸が重い。
皆も表情を歪め額には玉のような汗を浮かべている。エンデュラスを手にした星都も、今では踏み込む気力すら尽き果て地面を睨んでいた。
このままでは全滅だ。誰一人助からない。どうすれば? 考えるが聖治には浮かばない。
「お、お姉ちゃん……!」
その時だった。今まで動きのなかった日向が苦しそうに声を上げ、体を傾けた。
「ごめん、なさい……」
そのまま、気を失い地面に倒れてしまった。
「日向!?」
日向が倒れたことにより此方はカリギュラの能力を止めた。すぐに抱き上げ必死に妹に声を掛けている。
「しっかりして日向! 日向!?」
日向を何度も揺するが一向に起きる気配がない。むしろ苦しそうで息も弱々しい。
そこへ、香織さんが立ち上がって二人に向かい近づいて行った。
「来るな!」
此方が香織さんへ剣先を向け威嚇するが、それでも香織さんの歩みは止まらない。
「香織さん」
聖治も制止を求めて声を掛けるが香織さんは歩き続ける。その表情は真剣で、まったく怖気づく様子はなかった。
「その子、早く手当しないとまずいんじゃないの?」
「お前っ!?」
此方からしてみればこの状況は聖治たちが襲って来たから起こったものだ。その相手から心配されさらに怒っている。
そう言いながら近づく香織さんへ、ついに此方が仕掛けた。
抱き上げた日向を一旦地面に寝かせ、香織さんに向かって剣を振り上げながら駆け寄ったのだ。
「香織さん!」
「来て――」
此方は威嚇でもフリでもない、本物の殺意を魔剣に乗せている。
しかし、此方の殺意にすら動じない強い意思で、香織さんは静かに口にした。
「――治神、織姫」
直後だった。香織さんの前方で白銀の粒子が吹き荒れる。
ダイアモンドダストのように光が香織さんの前に広がったのだ。
そこを此方の魔皇剣カリギュラが進んでいく。
すると粒子はカリギュラを覆ってしまった。さらに一層眩い光を発すると、鞘が出現していたのだ。しかもカリギュラを納刀している。
魔皇剣に相応しい漆黒の鞘に納められ、カリギュラは脅威を封じられる。
これでは斬ることも能力を発現することも出来ない。
「これは!?」
自身のスパーダが突如納刀されたことに此方が驚いている。
すぐに鞘を掴み、抜刀しようと力を込める。しかし、
「っく! 抜けない!?」
此方は引き抜こうとしているが鞘はくっついているように抜けなかった。
焦りと危機感から無理やりにでも抜刀しようと手元が暴れている。
瞬間だった。殺されると恐怖すら表情に浮かべていた此方を、香織さんは優しく抱き締めていた。
恐怖や不安、そうした感情すら受け止めるように、背中に回した両腕は力強かった。突然のことに此方は唖然と腕の中で沈黙している。
「大丈夫……。私たちはあなたを傷つけない。後ろの子にも手を出さない。私たちは、戦いに来たんじゃないの。お願い、信じて……」
今だってそう。神剣はその能力を発揮している。にも関わらず、何も起こらなかった。
「うっ!」
ついに聖治も膝を地面に付けてしまった。両手で持ったゼウシスも地面に下ろす。風邪を患ったように呼吸が重い。
皆も表情を歪め額には玉のような汗を浮かべている。エンデュラスを手にした星都も、今では踏み込む気力すら尽き果て地面を睨んでいた。
このままでは全滅だ。誰一人助からない。どうすれば? 考えるが聖治には浮かばない。
「お、お姉ちゃん……!」
その時だった。今まで動きのなかった日向が苦しそうに声を上げ、体を傾けた。
「ごめん、なさい……」
そのまま、気を失い地面に倒れてしまった。
「日向!?」
日向が倒れたことにより此方はカリギュラの能力を止めた。すぐに抱き上げ必死に妹に声を掛けている。
「しっかりして日向! 日向!?」
日向を何度も揺するが一向に起きる気配がない。むしろ苦しそうで息も弱々しい。
そこへ、香織さんが立ち上がって二人に向かい近づいて行った。
「来るな!」
此方が香織さんへ剣先を向け威嚇するが、それでも香織さんの歩みは止まらない。
「香織さん」
聖治も制止を求めて声を掛けるが香織さんは歩き続ける。その表情は真剣で、まったく怖気づく様子はなかった。
「その子、早く手当しないとまずいんじゃないの?」
「お前っ!?」
此方からしてみればこの状況は聖治たちが襲って来たから起こったものだ。その相手から心配されさらに怒っている。
そう言いながら近づく香織さんへ、ついに此方が仕掛けた。
抱き上げた日向を一旦地面に寝かせ、香織さんに向かって剣を振り上げながら駆け寄ったのだ。
「香織さん!」
「来て――」
此方は威嚇でもフリでもない、本物の殺意を魔剣に乗せている。
しかし、此方の殺意にすら動じない強い意思で、香織さんは静かに口にした。
「――治神、織姫」
直後だった。香織さんの前方で白銀の粒子が吹き荒れる。
ダイアモンドダストのように光が香織さんの前に広がったのだ。
そこを此方の魔皇剣カリギュラが進んでいく。
すると粒子はカリギュラを覆ってしまった。さらに一層眩い光を発すると、鞘が出現していたのだ。しかもカリギュラを納刀している。
魔皇剣に相応しい漆黒の鞘に納められ、カリギュラは脅威を封じられる。
これでは斬ることも能力を発現することも出来ない。
「これは!?」
自身のスパーダが突如納刀されたことに此方が驚いている。
すぐに鞘を掴み、抜刀しようと力を込める。しかし、
「っく! 抜けない!?」
此方は引き抜こうとしているが鞘はくっついているように抜けなかった。
焦りと危機感から無理やりにでも抜刀しようと手元が暴れている。
瞬間だった。殺されると恐怖すら表情に浮かべていた此方を、香織さんは優しく抱き締めていた。
恐怖や不安、そうした感情すら受け止めるように、背中に回した両腕は力強かった。突然のことに此方は唖然と腕の中で沈黙している。
「大丈夫……。私たちはあなたを傷つけない。後ろの子にも手を出さない。私たちは、戦いに来たんじゃないの。お願い、信じて……」
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