錬成七剣神(セブンスソード)

奏せいや

出発5

 だから聖治は声に出す。スパーダを出現させると決意した瞬間に頭に浮かんだ名を何度も確認し、胸の奥に感じる蓋を開けるようにして、聖治は声を張り上げ呼び掛ける。

「来い! 神剣しんけんゼウシス!」

 光が現れる。それは黄金に輝く光だった。眩い光は視界すら埋め尽くし、すぐに光は一つとなり目の前に現れた。

 そこには、一本の剣が浮いていた。思わず触れたくなるほど研ぎ澄まされた刀身。

 触れることすら躊躇いたくなる黄金の柄。鍔も同様に黄金色に光り、幾学模様か天使文字のような模様が刻まれていた。

「これが、俺のスパーダ……」

 魔皇まこう剣カリギュラの暴虐も忘れて自身のスパーダに見惚れてしまう。

 目の前には、紛れもなく神のうつしみがあるのだ。

 神剣しんけんゼウシス。黄金は頂点の証。神剣しんけんの威光の前では暴虐の波すら影を潜める。

 聖治は神剣しんけんの柄を持ち、改めて刀身を見続けていた。

「聖治君、属性を使って!」

「分かった! ……どうやって?」

 聖治はスパーダを出現させたが発動までは分からなかった。

「念じれば、分かる、から……」

 そう言って香織かおりさんは両手を地面について項垂れてしまった。相当疲れている。早く魔皇まこう剣の能力を止めなければ危ない。

 聖治は無我夢中で叫んだ。

「発動、神剣しんけんゼウシス!」

 刀身が再び黄金の円光を迸らせる。柄が熱くなり、頭上で輝く神剣しんけんが一帯を包み込むように照らし出す。

 そして、何も起こらなかった。

「……え?」

 聖治は翳した神剣しんけんを引っ込め目の前にまで持ってくる。そこには今も変わらず神々しい魔法剣が輝いている。

「おい、剣島……。何してんだ、冗談じゃねえんだよ……!」

「いや、違う! 確かに発動した。『この状態で、発動しているんだ!』」

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