錬成七剣神(セブンスソード)
真相5
「君が、最後の七人目。セブンスソードは全員が出揃ってから開始しなければならないから見送られていたけれど、君が完成してここに送り込まれて来た。それで、セブンスソードは開始されたの」
「そんな……。なら、俺が来たせいで……。まさかッ」
そこで聖治は思い出した。気が付いてしまった。
星都が自分を廊下に呼び出して怒っていたこと。
涙を流していたこと。冗談だと言っていたけれど、あの涙は冗談なんかには見えなかった。それに、屋上でも寂しそうな表情を浮かべた。
その理由が、今なら分かる。
「星都、お前」
視線を星都に向ける。悲痛な思いを胸に抱いて。
「初め、俺のことを恨んでいたのか……?」
それを聞くとき、聖治の胸は悲しみでいっぱいだった。
初めて出来た友達だと思っていた。相手も自分を歓迎してくれて、気に入ってくれていると思っていた。だけど、本当は、本当は心の中で思っていたのだ。
「ああ、恨んでた……」
「んッ……」
それを聞いて、聖治は泣きそうだった。恨まれていたという悲しみと、申し訳ない気持ちが溢れてくる。
「すまない! すまなかた! 俺が来たせいで……!」
三人を見れば分かる。今までどれだけ仲良く過ごし、楽しく毎日を送ってきたのかを。
しかし、自分が来たせいで終わってしまった。
「ちげえ!」
だけど、星都は大声で否定した。
「誰かが悪いんじゃない! 誰も、誰だって……!」
見れば星都は泣いていた。大粒の涙を拭いもせず、両手は強く握り締められ、瞼は悔しそうに固く閉じられていた。
「お前が悪いわけじゃないんだ。誰も悪くない。俺は、それを初め誤解していた。でも、誰かが、誰かがぁ、悪いわけじゃないんだぁあ!」
「……!」
泣きながら否定する星都の声はまるで自分に言い聞かせているようだった。
今まで星都が笑顔の裏でどれだけ苦しんでいたのか。
泣きたいほど悲しんできたのか。溜めてきた感情を吐き出すようにその声は苦色に染められていた。
その思いに触れて、聖治の頬にもひとすじの涙が落ちる。
星都が落ち着くのを待ち、聖治も指で涙をすくった。そして表情を切り替える。
「問題はこれからだ」
そう、聖治たちが本当に話し合わなければいけないことは。
七人での殺し合い。最後の一人になるまで終わらないバトルロイヤル。
錬成七剣神。この悪魔のような儀式をなんとかしなければならない。
だが、聖治の問いに返ってくる声はなかった。皆押し黙ってしまい、答えようとはしなかった。
三人とも本当はしたくはないはずだ。しかし、その選択には危険が伴う。
また槍の男が襲い掛かってくるからだ。
それに対抗する手段は今の聖治たちにはなく、放棄するという選択肢は現状では無謀でしかない。
痛いほどの沈黙が部屋に満ちていた。
死しか用意されていない絶望の未来。
友との殺し合い。
希望はない。沈黙は絶望の証だ。それを知っているからこそ誰しもが口を開かない。
だが、
しかし、
だとしても。
この沈黙を切り裂くように一つの声が上がった。それは反抗の狼煙。絶望に屈しない希望の光だ。
それは誰だ? この状況でただ一人、セブンスソードに異を唱える者は。それは――
「俺は、絶対に参加しない」
剣島聖治だ。
聖治は立ち上がる。その表情は諦めていなかった。この最恐最悪の儀式の中にいて、その瞳は力強かった。
彼の言葉に、三人が顔を上げた。
「そんな……。なら、俺が来たせいで……。まさかッ」
そこで聖治は思い出した。気が付いてしまった。
星都が自分を廊下に呼び出して怒っていたこと。
涙を流していたこと。冗談だと言っていたけれど、あの涙は冗談なんかには見えなかった。それに、屋上でも寂しそうな表情を浮かべた。
その理由が、今なら分かる。
「星都、お前」
視線を星都に向ける。悲痛な思いを胸に抱いて。
「初め、俺のことを恨んでいたのか……?」
それを聞くとき、聖治の胸は悲しみでいっぱいだった。
初めて出来た友達だと思っていた。相手も自分を歓迎してくれて、気に入ってくれていると思っていた。だけど、本当は、本当は心の中で思っていたのだ。
「ああ、恨んでた……」
「んッ……」
それを聞いて、聖治は泣きそうだった。恨まれていたという悲しみと、申し訳ない気持ちが溢れてくる。
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三人を見れば分かる。今までどれだけ仲良く過ごし、楽しく毎日を送ってきたのかを。
しかし、自分が来たせいで終わってしまった。
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だけど、星都は大声で否定した。
「誰かが悪いんじゃない! 誰も、誰だって……!」
見れば星都は泣いていた。大粒の涙を拭いもせず、両手は強く握り締められ、瞼は悔しそうに固く閉じられていた。
「お前が悪いわけじゃないんだ。誰も悪くない。俺は、それを初め誤解していた。でも、誰かが、誰かがぁ、悪いわけじゃないんだぁあ!」
「……!」
泣きながら否定する星都の声はまるで自分に言い聞かせているようだった。
今まで星都が笑顔の裏でどれだけ苦しんでいたのか。
泣きたいほど悲しんできたのか。溜めてきた感情を吐き出すようにその声は苦色に染められていた。
その思いに触れて、聖治の頬にもひとすじの涙が落ちる。
星都が落ち着くのを待ち、聖治も指で涙をすくった。そして表情を切り替える。
「問題はこれからだ」
そう、聖治たちが本当に話し合わなければいけないことは。
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だが、聖治の問いに返ってくる声はなかった。皆押し黙ってしまい、答えようとはしなかった。
三人とも本当はしたくはないはずだ。しかし、その選択には危険が伴う。
また槍の男が襲い掛かってくるからだ。
それに対抗する手段は今の聖治たちにはなく、放棄するという選択肢は現状では無謀でしかない。
痛いほどの沈黙が部屋に満ちていた。
死しか用意されていない絶望の未来。
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希望はない。沈黙は絶望の証だ。それを知っているからこそ誰しもが口を開かない。
だが、
しかし、
だとしても。
この沈黙を切り裂くように一つの声が上がった。それは反抗の狼煙。絶望に屈しない希望の光だ。
それは誰だ? この状況でただ一人、セブンスソードに異を唱える者は。それは――
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