会社員(26歳)の俺にJKのストーカーがいるんだが。
番外編 スズー・ポッターと秘密の部屋
天気のよい休日。
悠志は昨日まで連日激務で疲れからか午前11時頃まで寝てた。
開けた記憶のない寝室のカーテンからは暖かい光が差し込んでいる。
「一旦起きるか……。」
寝癖がついた頭を少し掻いて体を起こす。
もう今日は外出しないと決めて黒の半袖シャツの上にチェックの長袖シャツ、モスグリーンのズボンに着替える。
多分一人だったら黒いスウェットだろう。しかし、ストーカーJKこと鈴鹿。あいつは最近休日に来てくるのがスウェットだ。下はスカートで女の子らしさを出してはいるが。以前なぜスウェットか訪ねたところ『悠志さんとお揃いにしたくて。』と答えてた。
スウェットを着ることでめんどくさくなることを避けたいので着ないのだ。
顔を洗ってリビングに。扉を開けると、テレビを見ている鈴鹿。
ソファの真ん中に腰かけている。
「あ、おはようございます悠志さん。」
「ん、おはよう。」
「朝ごはん食べますか?」
「時間か時間だしいいかな。その代わり昼飯を多目で頼む。」
「はい、お任せください。」
ソファから顔だけキッチンに向けて話す鈴鹿。
悠志はコーヒーを作りながら会話を続ける。
「鈴鹿がテレビ見いってるって珍しいな。」
「そうですか?アニメも結構見てるじゃないですか。」
悠志も鈴鹿もオタクだ。最新アニメはしっかりチェックしている。
「今なんのアニメ?」
キッチンからテレビは少し見えにくい位置にある。
悠志からはぼやけてしか見えない。
「昨日の週末ロードショーですよ。ハリーの秘密の部屋のやつです。」
「あー、最初のやつか。」
「最初だからこそ初々しいんですよ!」
「おー、そうだな?」
話してるうちにコーヒーを入れた悠志もソファに腰かける。
ソファはL字型だ。鈴鹿はL字の長い方(┃)に腰かけている。悠志は短い方(━)に腰かけた。
二人して映画に集中していると、主人公が秘密の部屋を見つけた場面に。
「そういえば悠志さん。」
「ん?」
「このお部屋って3LDKじゃないですか?」
いきなり悠志の部屋の話をし始めた。
「おお、そうだな。」
「3LDK……3つのお部屋のうち、寝室と趣味の部屋はわかってます。あと1つのお部屋はなんですか?」
「え、教えてないっけ?」
「はい。私にとってずっと秘密の部屋です。」
「既に鍵作ってたかと思ってた。」
「いえ、あそこはカードキー+指紋証明しないと入れなかったので諦めました。」
ストーカーでも無理なことはあるんだな。そう言おうとしたが今後が怖いためやめておいた。
「じゃあ見せよっか?」
「は、はい!」
▼△▼△
「ほい、開けたぞー。」
鍵を開け終わるまではリビングから出てこないと頑なに動かなかった鈴鹿を呼ぶ。
「ほんとに入って大丈夫ですか……?」
「おん、カードキーと指紋は自分でつけただしだし。どうぞおはいりください。」
「お、お邪魔します……。」
恐る恐る鈴鹿がその部屋にはいる。
「わぁ……。」
鈴鹿が通された部屋。
そこには防音の壁にユーフォニアムやトロンボーン、ホルン、トランペット、チューバにコントラバス、無数のギターにベース、ドラムセット……。
「悠志さん、この楽器たちは……?」
「俺さ、中学高校で吹奏楽やってたんだよね。」
「え、初耳です。」
「そんで大学は吹奏楽とバンドやってた。」
「意外です……。」
「和人に誘われて吹奏楽やったんだけど、思ったよりはまってしまってな。」
「担当楽器はなんですか??」
「最初はユーフォ。そのあとバストロンボーンもやり始めた。」
ユーフォとはユーフォニアムの略称だ。吹奏楽1大きいチューバを一回り小さくした楽器。美しい音色と響きが特徴だ。
なお、鈴鹿も現在この楽器をやっている。
 
「ユ、ユーフォですか?!!」
「鈴鹿と同じだな。」
「わ、わああああああ。嬉しいです。」
「うん。」
「あ、この楽器たちはそういえば悠志さんが集めたんですか?」
「そうだよ、たまに今でもやりたくなるから一通りあるよ。」
「え、え、ユーフォ吹いてみても良いですか?」
「良いよ。」
楽しげにユーフォを吹く鈴鹿。
なかなかに良い音でビックリした。
こいつは確かに部活来てもらいたいな。
コメント
ノベルバユーザー265530
JKにストーキングされるなんて羨ましいわ!しかも美少女!まぁリアルでそれは無いな…