会社員(26歳)の俺にJKのストーカーがいるんだが。
13.俺と友人とホワイトデー ~チョコレート大戦争編4~
3月13日。
ホワイトデー前日。
鈴鹿からの連絡はバレンタインから今まで一切なし。 
二人の共通の知人もいないため鈴鹿がどう過ごしているのかも知らない。
そろそろまた連絡するべきか……?
いや、連絡は最初は2日に1回、最近は5日に1回程度だ。
3日前にも連絡いれたわけだし、待つか。
ずっと罪悪感にかられている。本音を言うと、はやく罪悪感から解放されたい。
今まで女性とろくに接してこなかったので難しい。
「なに難しい顔してんだよ!」
悠志の友人、 幡多間和人が悠志の顔を見て笑う。
悠志と和人がいるのは埼玉県の大宮駅前のデパート。
仕事終わりに彼らはホワイトデーのお返しを選びにきたのだ。
職場は違うものの同じ電車を利用しており会いやすいのだ。
和人は誰に渡すのか分からないが高級菓子類を大量購入している。
悠志は新渡先輩と後輩の大川さん、鈴鹿の3人分なのだが……。
「悠志くん、あと1人分はどうするのさ?鈴鹿ちゃんだろ?」
「あいつの好みが分からない……。」
「いやいや!確かに好きなものも嬉しいよ?けどさ、やっぱり女の子が一番嬉しいのは相手がちゃんと思って選んでくれたってことでしょ!」
「ちゃんと思って、ねぇ……。」
悠志は横目で和人が手に下げた買い物かごの中を見る。
「俺のは良いの!常連さんがくれた義理だから!」
和人の職業は美容師。しかも20代半ばにして自分の店舗を持つほど腕も良い。
きっと俺の苦手なきらびやかな女性客が多いのだろうと悠志は思った。
「鈴鹿ちゃんはやっぱり気持ちなんじゃねえか?」
「気持ちか……。」
▼△▼△
「え、何それどう言うこと。」
「だから鈴鹿がバレンタイン以降連絡とれてないんだよ。」
なんとか買い物も終わり、デパート近くの居酒屋に。
海鮮丼もありなかなか良い店だ。
和人に鈴鹿について聞かれたので連絡をとっていないことを伝えたところ声をあげて驚いた。
「あの鈴鹿ちゃんだろ?」
「そうだ。」
「悠志くんなにしたのっ!!」
「なんもしてねえよ。」
「ふーん……。 悠志くん、僕からアドバイス。」
「悪いと思ったら早めに謝ったほうが良いよ。」
▼△▼△
次の日、14日。
新渡先輩と大川さんにはそれなりの値段のする生チョコを渡した。
「な……永江さんほんとに良いんですか?ありがとうございます!」
と、ご機嫌の大川さん。
新渡先輩も珍しく素で嬉しそうだった。
しかし、問題は鈴鹿だ……。
時計の針を見るともうすぐ昼休憩。
午後は有給にしてもらったので今やってる決算整理をしたら帰ろう。
一度家に帰り、着替える。さすがにスーツだとまずいしな。
少しソワソワしつつまた職場のある小山に戻ってきた。
今度は私服だ。用があるのは東口ではなく西口、職場ではない出口だ。
 
西口を出て大通りを少し進むとひときわ大きな建物が。
私立明大高校。
鈴鹿のいる学校だ。
近くの電柱の影にはいり、校門の様子を見る。
時刻は15時過ぎ。
まばらだが下校する生徒がいる。
女子の制服はセーラー。学年ごとにタイの色が違うらしい。
鈴鹿は確か黄色。
お、黄色のタイのこが校門から出てきた。
その子に声をかけようと電柱の影から出たら、
「悠志さん?」
後ろから声がしたので振り向く。
明大高校の制服で黄色のタイをつけた肩にかかるぐらいのショートカットの女子生徒が。
いや、誰?!!!
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