会社員(26歳)の俺にJKのストーカーがいるんだが。
10.俺とJKと喧嘩(?) ~チョコレート大戦争編1~
2月と言ったら?
学生にとっては学年末試験があるだろう。
冬アニメも大分ストーリーが進んでくる。
いやいや、そんなことではない。
リア充か全国のギャルゲープレイ経験者たちは口を揃えて言うだろう。
バレンタインだ。
まぁ俺、永江悠志にとっては何も縁のない話だがな。
何せ小学生時代はパペットモンスター(略してパペモン)のゲームに夢中で女子に興味なし。
小学生って足の速いやつがモテると思うのだが、案の定足は遅かった。
中学高校は男子校、部活絡みで他校の女子と話すことは合ったが特に何もなし。
大学は国立の経済学部だった。日々ゼミや友人の研究の手伝いをしてた。経済学部でも女子の比率が少なく、友人の研究も理系だったのでとにかく女子と関わらない。サークルは音楽系に入っていて一応女子メンバーもいたがほとんど会話しなかった。
まぁ今年も何も起きない……訳はないよな。
▲▽▲▽
2月14日、平日。
いつも通りストーカーJKが朝7時頃に俺の部屋に侵入する。
昨日は寿退社した人が書いた会社の帳簿にミスがあることに気づき新渡先輩と11時頃まで残業して訂正してた。
上司はその分今日は10時出勤で良いと言ってくれた。
まだ全然起きなくても良いけどなぜか目が覚めた。
寝室の外から微かに朝食の準備をしている音が聞こえる。
「……行くか。」
いつもなら絶対二度寝するがする気になれず着替えて朝食をとることにした。
寝室を出たら美少女のポスターやタペストリーが飾ってある廊下を通って洗面所に。
歯ブラシ立てには2本、俺の分となぜかストーカーJKの分が立てられてる。
本人いわく、同棲気分を味わってるらしい。俺にはよく分からないが。
歯ブラシを口にいれた瞬間に俺はあることに気づく。
……この歯ブラシ、俺が取り替えたわけでもないのに新品になってる。
犯人はもちろん分かってる。
口をゆすいだら急いでリビングに向かう。
「鈴鹿!!歯ブラシ勝手に変えただろ?!」
「おはようございます悠志さん!」
リビングの扉をあけて居たのはいつも通りストーカーJK、鈴鹿だ。
鈴鹿は朝食の準備をしてくれていてキッチンでは鍋が音を立てている。
「俺一言も歯ブラシ変え時とか言ってないぞ?」
「良いじゃないですか!!新しい気持ちになりません?」
「ならんわ!俺が昨日まで使ってた歯ブラシの行方が気になって仕方ないわ!!」
「悠志さんの前の歯ブラシ様はしっかり私が処分します!」
嗚呼、ダメだこいつ。絶対処分してないな……。
先週鈴鹿と二人で出掛けてから鈴鹿のキャラに変態要素がプラスされた気がする。
「さすがに……ないよな。」
「え?なんですか悠志さん?」
テレビをつけソファに腰を下ろしながら呟いたら、鈴鹿が反応した。
朝食は作り終えたのか、ダイニングテーブルに味噌汁などを起き始めた。
「いや、だからさ?よく考えてみろよ。他人の歯ブラシ盗むとか普通に考えてきもいだろ?」
「い、いきなりなんですか……。」
「じゃあ、はっきり言うか?JKが成人済の男の部屋にのこのこと入ってきて飯作るのはおかしい。それに男の歯ブラシを盗むのなんかあり得ないぞ?」
「…………。」
あれ、何で俺こんなこといってんだ。
こんなこと、いつものことじゃないか。
……鈴鹿の顔が見れない。
「……す、すいません!昨日遅くまでお仕事でしたよね?LINEでも言ってましたしね。すいません、私気づかなくて……。」
「先に失礼します!」
鈴鹿は身に付けてたエプロンを自身の通学用の鞄に畳んでいれると足早に俺の家を出ていった。
……確かに物が勝手に盗まれたり変えられて怒るのは当然かもしれないが今のはきつかったよな。
ダイニングテーブルの上に寂しくいる朝食を一人で食べる。
一人で食べるのは久しぶりだ。
鈴鹿がストーキングし始めてからはあいつ休みなしで毎日来てたからな。
鈴鹿の分は冷蔵庫に入れておくとする。
……結局、アニメを見たりゲームをやったりするになれずいつも通り家をでた。
▽▲▽▲
「おはようございます、永江さん。お早いですね。」
会社につくや否や俺に声をかけてきたのは最近入社した後輩の大川千尋だ。
おっとしりした外見通りの中身の持ち主。
「おはよう、大川さん。」
「昨日は遅くまで残業されたというのに、いつもより早く出社されるとは気合いが入ってますね。」
腕時計をチラ見するといつもより出社時間が20分ほど早かった。
多分、一人で自宅からここまで来たので誰かに歩くペースを合わせなくてすんだからな。
「部長には10時頃で良いって言われたんだけど、なんかやることなくて。」
「素晴らしい社会人としてのお言葉です!それだけ私も仕事に集中できるよう頑張ります!」
集中、か。ここ最近毎日ストーカーJKが仕事中の俺にラインを1000件ほど送ってくるから全く集中できない。
俺も大川さんみたいに仕事にストイックになりたいな。
「そんな頑張られている永江さんに!」
にこやかに大川さんが俺に渡してきたのはチョコレート。丁寧な包装までされている。いかにも手作りのかわいい感じ。
「お、ありがとう!今日とお互い頑張ろうね!」
千尋と別れ歩き始める悠志。
その後ろ姿を千尋は先週の出先であったときの悠志と重ね合わせる。
「……もっと近づきたいな。」
恋する女子中学生のような甘い目をした千尋はスマホをポケットからだしてあることを調べ始めた。
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   バレンタイン永江悠志チョコレート回収数
回収済→1
未回収→2
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