は、魔王?そんなのうちのブラコン妹の方が100倍危ないんだが
9話 初戦はもちろんスレイムで!
「クレア⋯⋯これはいくら何でも、無理だろ⋯⋯流石に逃げないか?」
圧倒的すぎるスライムの数を見て、頬を汗が伝うのを感じる。
流石にスライムといえど、数の力は強大である。
しかも、ハクヤ達は経験を積んだベテランでもなければ、駆け出しですらないのだ。
ジリジリと距離を詰めてくるスライムに合わせ、距離を取ろうとしたところで、突然手を握られ情けなく肩を震わせてしまう。
「ダメだよお兄ちゃん、異世界での初めてのモンスターだよ! 敵だよ! 戦闘だよ! ここで逃げたらお先真っ暗ルートだよ! 」
「いや、何事も命には変えられないだろ⋯⋯」
チッチッチッ
クレアは右手の指を左右に振り、得意げな顔を浮かべてくる。
「お兄ちゃん忘れたの? 私達のスキルはSSランクなんだよ!  今の私達って多分めっちゃ強いんだよ!」
「そ、そうかな⋯⋯? それにランクだけで全然スキルについて知らないし⋯⋯なんて事言ったって意味ないよな、クレアだし」
はぁと溜息をつき、降参ポーズをとると、直後クレアがニヤッと笑い、初めに現れた一匹に向かって走り出す。
そしてすぐに違和感に気づく、全くもって速くないのだ。
クレアが遅いわけではない、十分に同学年の女子の中では速いほうだ、だが昨日のクレアとハクヤは普通の人間を卓越していた。
昨日は秒速約500メートル程の速度で走れていたのだが明らかに今のスピードは普通の高校生並みのスピードしか出ていなかった。
試しにハクヤも走ってみるがやはり遅い。
「あれ? これなんかおかしくない?」
「お兄ちゃん何ふざけてるの?  昨日みたいに超カッコよく走ってよ! いくらスレイムだからってそんな余裕かましてたら危ないんだよ! 」
クレアが声を上げるが、どうしようもないものは仕方ない訳でハクヤは冷や汗をかいた。
「いや、これ本気なんだが⋯⋯」
「はぁ、もうお兄ちゃんったら⋯⋯でもそんな余裕綽々な所もかっこいいよ! 仕方ない、そんなお兄ちゃんに私がお手本を見せてあげるよ! 無窮の愛《
クレアが頬をぽっと染め、そして速度を上げると目の前まで来ていたスレイムを思いっきり殴った。
普通の高校生ともなる女の子なら、少しぐらいは殴る行為、スライムの気持ち悪さに抵抗があるだろう。
だがクレアのそれは、そんな事は微塵も思わせないものだった。
さすがクレア、普段から当たり前のようにハクヤを縛ったりキスを強要したり、少し常識から外れたあたりがクレアらしく思える。
だが⋯⋯。
結果スレイム無傷、攻撃力皆無⋯⋯。
固まる二人、顔を見合わせ、そして再び軍勢と化したスライム達をみる。
(む、て、き⋯⋯⋯⋯?)
スライムの目がキラリと光った気がした、瞬間背筋に悪寒が走り、ハクヤは咄嗟にクレアの手を掴む。
そして走り出した。
「お兄ちゃんこれどうすんのぉぉぉぉぉぉ!! 」
「俺に聞くなぁぁぁぁぁぁあ! 」
必死に走り続ける。
後ろからは大量のスレイムたちが追ってきていた。
そう、スレイムは予想以上に早かった。
「あれのどこがスライムだよ! スライムらしく跳ね回っとけよぉ! 」
「だからあれはスレイムだって! それよりこのままじゃ追いつかれるよ! 」
「あぁ、分かってる!! 」
走りつつ、必死に頭を回転させる、これでも頭の回転には自信があるほうだ、クレアだけは守る、その考えが頭の中に渦巻いていた。
( 俺が囮になる?  いや、クレアは絶対にそんな事させてくれないし。無理にしようとしたら、何をされるか分かったもんじゃない、多分クレアなら逃げない。という事でこれは却下)
「おーにーいーちゃーんーーはぁーやぁーくぅーー」
クレアはなぜか楽しそうに走っている。
どんだけ図太いんだろうか、ハクヤはこんな状況だと言うのに思わず笑ってしまった。
だが一向に打開策は浮かばない、このまま走り続けても体力の限界がくるのがオチだ。
《ピコンッ!! 》
突然二人のスマホに何やら通知らしい音が発せられる。
「何だよこんな時に! 」
叫びながら、スマホを見る。
そこには、
《固有スキル情報が更新されました》
と書いてあった。
「何だよこれ⋯⋯クレアのは?! 」
クレアも急いでスマホを取り出すと、同じ様な通知が来ている様子だった。
急ぎスマホを開く、そこには今まで無かったある情報が加わっていた⋯⋯。
「発動方法⋯⋯? て、これ何なんだよ!  なんかスキルの名前からおかしかったけどなぁ!」
「この発動方法私達に愛を確かめ合えっていう事だよね! お兄ちゃん❤︎ 」
新しく加わった情報には、
《発動条件    八神 紅麗亜と体を接触する事によって充電され、 最低1分以上の充電を要する。完了するまで使用することは出来ない。 最高スキル持続時間4分。 使用可能の状態で【第1のスキル無窮の愛・実行】と詠唱する事によって発動する。 また、接触する場所、その時の二人の精神状態によって充電時間は変化する。》
という内容が追加されていた。
「いやいやおかしいだろ! どこの世界に妹との接触で使えるスキルがあるんだよ! 」
「もう、とりあえずキスする?  私達なら息をするような行為だね、こんな簡単な条件で良かったね、お兄ちゃん❤︎ 」
ぐいっと顔を近づけてくるクレアの顔を押し返す。
「どうやって走りながらするんだよバカ! それと走ってなくても絶対にしないぞ」
「それは、お姫様抱っこでお兄ちゃんが走りながら私とキスを⋯⋯ふわぁぁ 」
クレアは頬をピンクに染め.ふにゃぁとした顔をする。
「変な事想像するな! お前それ確実に充電溜まる前に俺ら死ぬからな! てか充電て何だよ充電て! 」
抱かれているクレアを想像して赤面してしまうのを必死に隠し、叫ぶ。
「もう体力限界だよぉ〜おーにーいーちゃーんー!」
どこか平坦な声なような気がしないでもないが今はそれどころじゃない。
「あぁーーもうっ! 分かったからとりあえず手を繋ぐぞ! 」
「もう仕方ないなぁ、今回はこれで許してあげる」
そんな事を言いながらもクレアは更に顔を赤くする。
(やっぱり全然きつくないだろお前! それよりなんか意外と久しぶりで照れくさいな⋯⋯)
自分も紅葉して来てるのが分かる。
それをクレアにバレない様に目をそらす、が感のいい妹様には無意味の様で
「お兄ちゃんもしかして照れてるのぉ? かーわいい❤︎」
「うるせぇ! え⋯⋯これやばくないか?」
「はは⋯⋯やばいねこれ」
そこは少しひらけ、大きな木が一本生えているだけの広い、広場のような場所だった。
圧倒的すぎるスライムの数を見て、頬を汗が伝うのを感じる。
流石にスライムといえど、数の力は強大である。
しかも、ハクヤ達は経験を積んだベテランでもなければ、駆け出しですらないのだ。
ジリジリと距離を詰めてくるスライムに合わせ、距離を取ろうとしたところで、突然手を握られ情けなく肩を震わせてしまう。
「ダメだよお兄ちゃん、異世界での初めてのモンスターだよ! 敵だよ! 戦闘だよ! ここで逃げたらお先真っ暗ルートだよ! 」
「いや、何事も命には変えられないだろ⋯⋯」
チッチッチッ
クレアは右手の指を左右に振り、得意げな顔を浮かべてくる。
「お兄ちゃん忘れたの? 私達のスキルはSSランクなんだよ!  今の私達って多分めっちゃ強いんだよ!」
「そ、そうかな⋯⋯? それにランクだけで全然スキルについて知らないし⋯⋯なんて事言ったって意味ないよな、クレアだし」
はぁと溜息をつき、降参ポーズをとると、直後クレアがニヤッと笑い、初めに現れた一匹に向かって走り出す。
そしてすぐに違和感に気づく、全くもって速くないのだ。
クレアが遅いわけではない、十分に同学年の女子の中では速いほうだ、だが昨日のクレアとハクヤは普通の人間を卓越していた。
昨日は秒速約500メートル程の速度で走れていたのだが明らかに今のスピードは普通の高校生並みのスピードしか出ていなかった。
試しにハクヤも走ってみるがやはり遅い。
「あれ? これなんかおかしくない?」
「お兄ちゃん何ふざけてるの?  昨日みたいに超カッコよく走ってよ! いくらスレイムだからってそんな余裕かましてたら危ないんだよ! 」
クレアが声を上げるが、どうしようもないものは仕方ない訳でハクヤは冷や汗をかいた。
「いや、これ本気なんだが⋯⋯」
「はぁ、もうお兄ちゃんったら⋯⋯でもそんな余裕綽々な所もかっこいいよ! 仕方ない、そんなお兄ちゃんに私がお手本を見せてあげるよ! 無窮の愛《
クレアが頬をぽっと染め、そして速度を上げると目の前まで来ていたスレイムを思いっきり殴った。
普通の高校生ともなる女の子なら、少しぐらいは殴る行為、スライムの気持ち悪さに抵抗があるだろう。
だがクレアのそれは、そんな事は微塵も思わせないものだった。
さすがクレア、普段から当たり前のようにハクヤを縛ったりキスを強要したり、少し常識から外れたあたりがクレアらしく思える。
だが⋯⋯。
結果スレイム無傷、攻撃力皆無⋯⋯。
固まる二人、顔を見合わせ、そして再び軍勢と化したスライム達をみる。
(む、て、き⋯⋯⋯⋯?)
スライムの目がキラリと光った気がした、瞬間背筋に悪寒が走り、ハクヤは咄嗟にクレアの手を掴む。
そして走り出した。
「お兄ちゃんこれどうすんのぉぉぉぉぉぉ!! 」
「俺に聞くなぁぁぁぁぁぁあ! 」
必死に走り続ける。
後ろからは大量のスレイムたちが追ってきていた。
そう、スレイムは予想以上に早かった。
「あれのどこがスライムだよ! スライムらしく跳ね回っとけよぉ! 」
「だからあれはスレイムだって! それよりこのままじゃ追いつかれるよ! 」
「あぁ、分かってる!! 」
走りつつ、必死に頭を回転させる、これでも頭の回転には自信があるほうだ、クレアだけは守る、その考えが頭の中に渦巻いていた。
( 俺が囮になる?  いや、クレアは絶対にそんな事させてくれないし。無理にしようとしたら、何をされるか分かったもんじゃない、多分クレアなら逃げない。という事でこれは却下)
「おーにーいーちゃーんーーはぁーやぁーくぅーー」
クレアはなぜか楽しそうに走っている。
どんだけ図太いんだろうか、ハクヤはこんな状況だと言うのに思わず笑ってしまった。
だが一向に打開策は浮かばない、このまま走り続けても体力の限界がくるのがオチだ。
《ピコンッ!! 》
突然二人のスマホに何やら通知らしい音が発せられる。
「何だよこんな時に! 」
叫びながら、スマホを見る。
そこには、
《固有スキル情報が更新されました》
と書いてあった。
「何だよこれ⋯⋯クレアのは?! 」
クレアも急いでスマホを取り出すと、同じ様な通知が来ている様子だった。
急ぎスマホを開く、そこには今まで無かったある情報が加わっていた⋯⋯。
「発動方法⋯⋯? て、これ何なんだよ!  なんかスキルの名前からおかしかったけどなぁ!」
「この発動方法私達に愛を確かめ合えっていう事だよね! お兄ちゃん❤︎ 」
新しく加わった情報には、
《発動条件    八神 紅麗亜と体を接触する事によって充電され、 最低1分以上の充電を要する。完了するまで使用することは出来ない。 最高スキル持続時間4分。 使用可能の状態で【第1のスキル無窮の愛・実行】と詠唱する事によって発動する。 また、接触する場所、その時の二人の精神状態によって充電時間は変化する。》
という内容が追加されていた。
「いやいやおかしいだろ! どこの世界に妹との接触で使えるスキルがあるんだよ! 」
「もう、とりあえずキスする?  私達なら息をするような行為だね、こんな簡単な条件で良かったね、お兄ちゃん❤︎ 」
ぐいっと顔を近づけてくるクレアの顔を押し返す。
「どうやって走りながらするんだよバカ! それと走ってなくても絶対にしないぞ」
「それは、お姫様抱っこでお兄ちゃんが走りながら私とキスを⋯⋯ふわぁぁ 」
クレアは頬をピンクに染め.ふにゃぁとした顔をする。
「変な事想像するな! お前それ確実に充電溜まる前に俺ら死ぬからな! てか充電て何だよ充電て! 」
抱かれているクレアを想像して赤面してしまうのを必死に隠し、叫ぶ。
「もう体力限界だよぉ〜おーにーいーちゃーんー!」
どこか平坦な声なような気がしないでもないが今はそれどころじゃない。
「あぁーーもうっ! 分かったからとりあえず手を繋ぐぞ! 」
「もう仕方ないなぁ、今回はこれで許してあげる」
そんな事を言いながらもクレアは更に顔を赤くする。
(やっぱり全然きつくないだろお前! それよりなんか意外と久しぶりで照れくさいな⋯⋯)
自分も紅葉して来てるのが分かる。
それをクレアにバレない様に目をそらす、が感のいい妹様には無意味の様で
「お兄ちゃんもしかして照れてるのぉ? かーわいい❤︎」
「うるせぇ! え⋯⋯これやばくないか?」
「はは⋯⋯やばいねこれ」
そこは少しひらけ、大きな木が一本生えているだけの広い、広場のような場所だった。
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