求夢の平凡な世界
リベンジ地蔵 その②
「ふ~ん、これがリベンジ地蔵ね。ただの地蔵にしか見えないな」
求夢はまじまじと地蔵を観察する。
「しかし、まさか学校の裏……こんな近場な地蔵があるなんて知らなかったよ」
学校から出て、徒歩で5分。そこに地蔵はあった。
「だが、これが動くなんて信じられないなぁ」
「あれ? 求夢先輩って、そういう超常現象に批判的なのは珍しいですね」
求夢の後ろから、ひょっこりと成美が顔を出した。
「いや、仮に日本人形が動くとかなら信じるよ。間接部分が外部から、未知とか、神秘とか、宇宙的とか……兎に角、そんな力で腕や足が捻じ曲がったり、戻ったりして日本人形が歩いているように見えるならあり得ると思うけど、流石に石の塊が動くわけないだろ?」
「……その理屈も価値観もおかしいと思いますけど、良いんですか?」
「ん? 何がだ?」
「お地蔵様の目の前で石の塊なんて言って、きっと罰が当たります」
そう言いながら、成美はさっきからスマホを取り出し、地蔵を撮影している。
彼女は、心霊スポットで自取りした画像のインスタ映えを気にするような奴だ。
きっと、自分は罰当たりな行為をしていないと思っている。
求夢はそんなことを思いながら――――
「さて、見るものは見たし……帰るかな」
そう言うと成美は意外そうな顔をした。
「え? 見ていかないんですか?」
「ん? これ以上、何を見るって言うんだ?」
「あぁ、そう言えば、言い忘れていましたね。 実は、少し前に私の学年に転校生が来ましてね」
「……やったのか?」と求夢は言った。
成美も心得たもので「はい」と答える。
「転校前の学校で、相当ヤンチャしていたみたいで……噂じゃ、何か問題を起こして転校せざる得なかったとか……」
「あぁ……」と求夢は天を仰いだ。
「要するにヤンキーが転校先に舐められないように粋がった結果、誰かをイジメた……」
「えぇ、もちろんリベンジにあったみたいです」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「おいおい、コイツはヤバイって雰囲気じゃないぞ」
「……噂以上の雰囲気ですね」
そのヤンキーの家に向かう途中。 平凡な道から見え隠れする破壊の痕跡。
アスファルトの壁に亀裂。 途中の公園には捻じ曲げられた遊具や折られた木々。
住宅街でありながら路上駐車が極端に少ないのは、おそらく破壊された持ち主が修理に出しているからだろう。
「おいおい、いやな予感が強まってきてるぞ。なんで、これがニュースに流れないんだ?」
「さぁ? 警察も調べているけどわからない……調査中だから発表されていないって事じゃないですか?」
「……そういうものか?」
「いえ、適当に言ってみただけです」
そんな会話をしながら、そのヤンキーの家にたどり着いた。
ヤンキーの家は一軒家だった。 だった……そう過去形だ。
木で作られていただろう門は砕かれ、奥に見える玄関は破壊されている。
詳しくみたい気持ちもあったが、『KEEP OUT』と書かれた黄色いテープによって立ち入りは禁止されている。
「凄いなぁ。まさかここまで直接的な攻撃が行われていたなんて考えもしなかったよ」
求夢は、そのまま黄色いテープを摘んで、中に入ろうとする。
「ちょ……ちょっとまずいですよ、求夢先輩。このテープって警察とかまだまだ調査するから入るなよって意味ですよ」
成美は求夢を制止する。
「おいおい、こういうのを僕に調べて貰いたくてリベンジ地蔵なんて話を聞かせたんじゃないのか?」
「それはそうですけど! 無茶し過ぎです」
「いいや、無茶かどうかを決めるのは僕だよ」
そんな押し問答をしていると背後から声をかけられた。
「あの……うちに何か御用でしょうか?」
求夢はまじまじと地蔵を観察する。
「しかし、まさか学校の裏……こんな近場な地蔵があるなんて知らなかったよ」
学校から出て、徒歩で5分。そこに地蔵はあった。
「だが、これが動くなんて信じられないなぁ」
「あれ? 求夢先輩って、そういう超常現象に批判的なのは珍しいですね」
求夢の後ろから、ひょっこりと成美が顔を出した。
「いや、仮に日本人形が動くとかなら信じるよ。間接部分が外部から、未知とか、神秘とか、宇宙的とか……兎に角、そんな力で腕や足が捻じ曲がったり、戻ったりして日本人形が歩いているように見えるならあり得ると思うけど、流石に石の塊が動くわけないだろ?」
「……その理屈も価値観もおかしいと思いますけど、良いんですか?」
「ん? 何がだ?」
「お地蔵様の目の前で石の塊なんて言って、きっと罰が当たります」
そう言いながら、成美はさっきからスマホを取り出し、地蔵を撮影している。
彼女は、心霊スポットで自取りした画像のインスタ映えを気にするような奴だ。
きっと、自分は罰当たりな行為をしていないと思っている。
求夢はそんなことを思いながら――――
「さて、見るものは見たし……帰るかな」
そう言うと成美は意外そうな顔をした。
「え? 見ていかないんですか?」
「ん? これ以上、何を見るって言うんだ?」
「あぁ、そう言えば、言い忘れていましたね。 実は、少し前に私の学年に転校生が来ましてね」
「……やったのか?」と求夢は言った。
成美も心得たもので「はい」と答える。
「転校前の学校で、相当ヤンチャしていたみたいで……噂じゃ、何か問題を起こして転校せざる得なかったとか……」
「あぁ……」と求夢は天を仰いだ。
「要するにヤンキーが転校先に舐められないように粋がった結果、誰かをイジメた……」
「えぇ、もちろんリベンジにあったみたいです」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「おいおい、コイツはヤバイって雰囲気じゃないぞ」
「……噂以上の雰囲気ですね」
そのヤンキーの家に向かう途中。 平凡な道から見え隠れする破壊の痕跡。
アスファルトの壁に亀裂。 途中の公園には捻じ曲げられた遊具や折られた木々。
住宅街でありながら路上駐車が極端に少ないのは、おそらく破壊された持ち主が修理に出しているからだろう。
「おいおい、いやな予感が強まってきてるぞ。なんで、これがニュースに流れないんだ?」
「さぁ? 警察も調べているけどわからない……調査中だから発表されていないって事じゃないですか?」
「……そういうものか?」
「いえ、適当に言ってみただけです」
そんな会話をしながら、そのヤンキーの家にたどり着いた。
ヤンキーの家は一軒家だった。 だった……そう過去形だ。
木で作られていただろう門は砕かれ、奥に見える玄関は破壊されている。
詳しくみたい気持ちもあったが、『KEEP OUT』と書かれた黄色いテープによって立ち入りは禁止されている。
「凄いなぁ。まさかここまで直接的な攻撃が行われていたなんて考えもしなかったよ」
求夢は、そのまま黄色いテープを摘んで、中に入ろうとする。
「ちょ……ちょっとまずいですよ、求夢先輩。このテープって警察とかまだまだ調査するから入るなよって意味ですよ」
成美は求夢を制止する。
「おいおい、こういうのを僕に調べて貰いたくてリベンジ地蔵なんて話を聞かせたんじゃないのか?」
「それはそうですけど! 無茶し過ぎです」
「いいや、無茶かどうかを決めるのは僕だよ」
そんな押し問答をしていると背後から声をかけられた。
「あの……うちに何か御用でしょうか?」
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