異世界スキルガチャラー
暴走の起因
「……遅かった!もう戦ってる!」
廊下を爆走して練習場に到着したゼーテだったが、一足遅かった。
「あれが……ルカ?」
今、目の前では2人の人物が戦闘を繰り広げている。
1人はシーヴァ、もう1人は翼を生やして龍鱗に体中びっしり覆われたまさに「龍人」。
先程読んだ本の情報と、ルカに聞いた話から、ゼーテはすぐに龍人がルカであると理解した。
「………すごい」
しかし、ルカの能力は、ゼーテの予想を遥かに超えたものだった。
「おりゃああああああ!!!」
「ぐっ、くはっ、ふっ!」
龍人状態に変貌したルカは弓矢を下ろし、超高速の肉弾戦にシフトした。
反射速度と攻撃力が格段に上昇し、更に動体視力まで高まっている。
「物凄いパワーとスピードだ……このままだと、押し切られかねない……」
爪での攻撃を受け止め、大きく後退して距離を取る。
人間の姿だった時とは比べ物にならない筋力と持久力、そして回避能力。
つい数分前まで優勢だったシーヴァだが、龍人になったルカの猛攻を凌ぐので精一杯になってしまった。
「うりゃりゃりゃりゃりゃ!!!」
ルカは本能が叫ぶままに攻撃を繰り出す。
攻撃するべき部位、攻撃の種類等が「自然に」、そして「瞬間的に」脳内に入ってくるのだ。
現在、ルカは深いことを考えていない。
ただひたすら手、足、そして尻尾をシーヴァに繰り出し続ける。
しかし、シーヴァもさるものだ。
的確に避けられる攻撃と防御すべき攻撃を判断し、右に左に流れるように攻撃を掻い潜る。
そして、タイミングを見計らって剣をルカに振る。
「うあっとぉ!」
「これも避けるのか!流石だね!」
胴体を狙われ、普通なら回避できるような余裕は無かったのだが、ルカは体を思いっきり反り返らせてブリッジのような状態に高速で体勢を変化。
剣は見事に空振りした。
「よいしょっ!」
「なにぃっ!? ぐあっ!!」
そのままバク転しつつ尻尾でシーヴァに攻撃。
シーヴァの顎に尻尾はアッパーのようにヒットし、彼にたたらを踏ませる。
「やる……ねぇ。流石は僕の認めた男の相棒だ」
シーヴァは、倒れまいと右足に体重をかけて踏ん張る。
口の中が切れたようで、口内を舐めると血の味がした。
「君の力は相当だな。しかも、まだ特殊な能力を持っているんだろう?」
「うん、まだよく分かんないんだけど、植物達の……なんだろう、声? が聞こえたり、風の動きが分かったり……」
それを聞いて、シーヴァは違和感を覚えた。
啓斗が持ってきた本には、植物の「声」が聞ける、という情報は記載されていなかった。
(何か裏があるのか?もしくは、彼女だけの特質か……)
口に溜まった血を吐き捨て、少し油断しているルカに向かってダッシュする。
一瞬のうちに眼前まで迫ったシーヴァに驚いてしまったルカは、回避が間に合わず、両腕で顔をガードした。
(腕なら、怪我させてしまってもすぐ治るだろう。ケイト君には申し訳ないが、これは彼にとってもいい情報になる!)
シーヴァは、敢えてガードの腕に剣を突き刺すように攻撃をした。
しかし、ルカの腕に突き刺さろうとしていた剣は、腕の龍鱗の硬さに負けて真っ二つに折れてしまった。
「これが、龍鱗か………」
シーヴァは、宙を舞って地面に突き刺さった剣先を見つめながら呟いた。
「凄すぎる、と言っても過言ではない。ルカさん、君の力はどうやら尋常ではなさそうだ」
「へ?よ、よく分かんないけど、ありがとう……?」
シーヴァはルカの能力に素直に感嘆し、称賛の言葉を述べる。
ルカも照れたようにふにゃっと笑った。
「よし、今日は終わりだ。終了の握手でもしよう!」
満面の笑顔でルカに歩み寄り、右手を差し出す。
ルカも、その手を取ろうとした。
しかし、
「え、何? 頭が…………痛い……!!」
突然、頭蓋が割れんばかりの頭痛に襲われ、その場に膝をつく。
「だ、大丈夫かい!?」
慌ててシーヴァも屈み、ルカの目を覗き込む。
そこで、シーヴァは見た。いや、正確には「見えてしまった」。
頭痛に苦しむルカの目に、人とは違う「何か」が宿るのを。
「なっ………」
「ガルルルルルァァァ!!!」
いきなり腹に衝撃が走り、練習場の端まで吹き飛ばされる。
壁に激突して地面に落ちたシーヴァは、たまらず大量の血を吐いた。
「う……おお………がふっ……」
「シーヴァ!!!!」
少し遠くから2人の戦いを見ていたゼーテが練習場に飛び込む。
「シーヴァ、ねぇ、大丈夫!?」
「ああ、ゼーテか……僕のことは気にするな……彼女を……止めるんだ……」
そう言ってルカを指さす。
ルカは、狂気を孕んだ眼差しでじっと2人を見つめていた。
「一時的だが、野生に支配されてしまったようだ。しかし、対処法が……」
「分かってないでしょ?私も読んだから知ってる」
ゼーテは光の魔剣【シャイニングブレイド】を作り出す。
「シーヴァ、ケイトに連絡してすぐに戻ってくるように伝えて」
「……了解だ。だが、お前は何を?」
「見て分かりなさい。時間を稼ぐのよ!」
そのままゼーテはルカに向かって走る。
ルカは翼を使って超低空飛行をし、高速でゼーテに近づいてくる。
「ガオオオオオオオオ!!!」
「獣みたいな声出して!貴女らしくないわよ!ルカ!!」
龍の爪と、光の剣がぶつかり合う。
シーヴァは、急いで通信魔法を練り始めた。
廊下を爆走して練習場に到着したゼーテだったが、一足遅かった。
「あれが……ルカ?」
今、目の前では2人の人物が戦闘を繰り広げている。
1人はシーヴァ、もう1人は翼を生やして龍鱗に体中びっしり覆われたまさに「龍人」。
先程読んだ本の情報と、ルカに聞いた話から、ゼーテはすぐに龍人がルカであると理解した。
「………すごい」
しかし、ルカの能力は、ゼーテの予想を遥かに超えたものだった。
「おりゃああああああ!!!」
「ぐっ、くはっ、ふっ!」
龍人状態に変貌したルカは弓矢を下ろし、超高速の肉弾戦にシフトした。
反射速度と攻撃力が格段に上昇し、更に動体視力まで高まっている。
「物凄いパワーとスピードだ……このままだと、押し切られかねない……」
爪での攻撃を受け止め、大きく後退して距離を取る。
人間の姿だった時とは比べ物にならない筋力と持久力、そして回避能力。
つい数分前まで優勢だったシーヴァだが、龍人になったルカの猛攻を凌ぐので精一杯になってしまった。
「うりゃりゃりゃりゃりゃ!!!」
ルカは本能が叫ぶままに攻撃を繰り出す。
攻撃するべき部位、攻撃の種類等が「自然に」、そして「瞬間的に」脳内に入ってくるのだ。
現在、ルカは深いことを考えていない。
ただひたすら手、足、そして尻尾をシーヴァに繰り出し続ける。
しかし、シーヴァもさるものだ。
的確に避けられる攻撃と防御すべき攻撃を判断し、右に左に流れるように攻撃を掻い潜る。
そして、タイミングを見計らって剣をルカに振る。
「うあっとぉ!」
「これも避けるのか!流石だね!」
胴体を狙われ、普通なら回避できるような余裕は無かったのだが、ルカは体を思いっきり反り返らせてブリッジのような状態に高速で体勢を変化。
剣は見事に空振りした。
「よいしょっ!」
「なにぃっ!? ぐあっ!!」
そのままバク転しつつ尻尾でシーヴァに攻撃。
シーヴァの顎に尻尾はアッパーのようにヒットし、彼にたたらを踏ませる。
「やる……ねぇ。流石は僕の認めた男の相棒だ」
シーヴァは、倒れまいと右足に体重をかけて踏ん張る。
口の中が切れたようで、口内を舐めると血の味がした。
「君の力は相当だな。しかも、まだ特殊な能力を持っているんだろう?」
「うん、まだよく分かんないんだけど、植物達の……なんだろう、声? が聞こえたり、風の動きが分かったり……」
それを聞いて、シーヴァは違和感を覚えた。
啓斗が持ってきた本には、植物の「声」が聞ける、という情報は記載されていなかった。
(何か裏があるのか?もしくは、彼女だけの特質か……)
口に溜まった血を吐き捨て、少し油断しているルカに向かってダッシュする。
一瞬のうちに眼前まで迫ったシーヴァに驚いてしまったルカは、回避が間に合わず、両腕で顔をガードした。
(腕なら、怪我させてしまってもすぐ治るだろう。ケイト君には申し訳ないが、これは彼にとってもいい情報になる!)
シーヴァは、敢えてガードの腕に剣を突き刺すように攻撃をした。
しかし、ルカの腕に突き刺さろうとしていた剣は、腕の龍鱗の硬さに負けて真っ二つに折れてしまった。
「これが、龍鱗か………」
シーヴァは、宙を舞って地面に突き刺さった剣先を見つめながら呟いた。
「凄すぎる、と言っても過言ではない。ルカさん、君の力はどうやら尋常ではなさそうだ」
「へ?よ、よく分かんないけど、ありがとう……?」
シーヴァはルカの能力に素直に感嘆し、称賛の言葉を述べる。
ルカも照れたようにふにゃっと笑った。
「よし、今日は終わりだ。終了の握手でもしよう!」
満面の笑顔でルカに歩み寄り、右手を差し出す。
ルカも、その手を取ろうとした。
しかし、
「え、何? 頭が…………痛い……!!」
突然、頭蓋が割れんばかりの頭痛に襲われ、その場に膝をつく。
「だ、大丈夫かい!?」
慌ててシーヴァも屈み、ルカの目を覗き込む。
そこで、シーヴァは見た。いや、正確には「見えてしまった」。
頭痛に苦しむルカの目に、人とは違う「何か」が宿るのを。
「なっ………」
「ガルルルルルァァァ!!!」
いきなり腹に衝撃が走り、練習場の端まで吹き飛ばされる。
壁に激突して地面に落ちたシーヴァは、たまらず大量の血を吐いた。
「う……おお………がふっ……」
「シーヴァ!!!!」
少し遠くから2人の戦いを見ていたゼーテが練習場に飛び込む。
「シーヴァ、ねぇ、大丈夫!?」
「ああ、ゼーテか……僕のことは気にするな……彼女を……止めるんだ……」
そう言ってルカを指さす。
ルカは、狂気を孕んだ眼差しでじっと2人を見つめていた。
「一時的だが、野生に支配されてしまったようだ。しかし、対処法が……」
「分かってないでしょ?私も読んだから知ってる」
ゼーテは光の魔剣【シャイニングブレイド】を作り出す。
「シーヴァ、ケイトに連絡してすぐに戻ってくるように伝えて」
「……了解だ。だが、お前は何を?」
「見て分かりなさい。時間を稼ぐのよ!」
そのままゼーテはルカに向かって走る。
ルカは翼を使って超低空飛行をし、高速でゼーテに近づいてくる。
「ガオオオオオオオオ!!!」
「獣みたいな声出して!貴女らしくないわよ!ルカ!!」
龍の爪と、光の剣がぶつかり合う。
シーヴァは、急いで通信魔法を練り始めた。
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