家族に愛されすぎて困ってます!

甘草 秋

43話 勉強とゲームと争い事


「〜♪〜♪」

 隣にいる奈々は、常に笑顔で楽しそうにしている。

「あのなぁ奈々、瑠美姉に怒られてる時もなんでそんなに楽しそうなんだ?」
「お兄様と一緒なら何でも楽しいです♪」
「俺は楽しくないけどな」
「ひ、酷いですぅ。お兄様のバカ」
「そうやって可愛いアピールしても無駄だからな。瑠美姉の誤解を解くために俺がどんだけ苦労したと思ってんだ」

 2時間はかかりました。

「無駄じゃないです!千里の道も一歩からって言うじゃないですか。コツコツとお兄様にアピールをすれば、きっと、私を抱きたい!と思うはずです!」
「実の妹にそんな思考はしません」
「そんなぁ〜」
「それより、俺は今から期末テストの勉強をするんだ。俺の部屋から退室してくれ」
「分からないとこあったら、先生に聞いてね♡」
「お前は年下だろうが」

 本当は俺が教える立場だろ。
 とまぁ、こんなやり取りを数分した後、奈々はしぶしぶ出ていった。
 好かれているのを悪いとは思ってないし、美少女だから好かれて嬉しいとか思ってないから安心してくれ。いや、本当だよ?

「さて、遅れた分を取り戻さないとな」

 俺は今週の4日間を風邪で寝込んでいたため、その4日分の授業を受けていないのだ。

「よしっ頑張りますか」

 その後、俺はお昼も食べずに勉強をした。普段の俺なら、休日は勉強もせずにゲームをしてグータラと過ごしたいが、今は何故だか勉強がしたかった。こんなのおかしいと思うが、伊藤さんに負けたくない自分がいたのだと思う。
 変なプライドが働いたな、そう思った。
 勉強し続けるのは意外と楽しかった。集中することで頭の中に全部入っていった。

夕方 午後5時

「ふぅ〜。疲れたぁ」

 勉強机から離れベッドにダイブした。
 計6時間の勉強により脳は疲労でピーク、空腹すら感じなかった。

「少しゲームでもやろうかな」

 俺は充電器に挿しておいたスマホをとり、アプリを開く。
 バトルロイヤルゲーム、通称バトロワ。
 縮小していくプレイゾーンの中で最後の1人になるまでライバルを倒し合うゲームだ。
 最近のアプリストアダウンロード数の中でもTOP5にはいっている。

「お、やってるやってる」

 このゲームの唯一の友達である「カズ」も現在進行形でプレイしているようだ。
 こいつとは妙に親近感があった。声や顔は見たことないし聞いたこともないけど、名前的に男だろう。多分!

ハタ)今日もやろうぜ!

 チャットでメッセージを送る。
 返信はすぐに返ってきた。

カズ)ごめん!これからバイトなんだ、また今度頼む!
ハタ)了解。バイト頑張れよ!

「カズってバイトやってたのか。てことは、高校生か大学生か?」

 そんなことを呟きながら、今日はソロでゲームを楽しんだ。


ー1時間後

「お腹空いたなぁ。甘い物食べたいなぁ」

 朝から何も食べてなく、頭を使ったことで脳は糖分を欲していた。
 俺は食べ物を探しにリビングへ向かった。

「あれ、みんなどこいったんだろ?」

 リビングには誰もおらず、電気もついていなかった。

「どこか出掛けたのかな」

 そう結論し、俺は冷蔵庫を漁る。

「お、プリンあるじゃん。ラッキー」

 冷蔵庫の奥から焼きプリンを発見した。市販で売っているカップのやつだ。
 春鷹は気分上々でプリンを味わった。



一方その頃、近衛家女性陣と奈々達はー


「はぁ......はぁ......やった、やりましたよ!お兄様♡」
「ど、どうしてよ......」
「な、ぜ......」
「春ちゃん......ごめん......お母さん、もう歳みたい」

 彼女らは争いをしていた。
 春鷹と一緒にお風呂に入るという権利を取り合っていたのだ。
 種目はマラソン。
 近衛家の近くにある河川敷で行われたその戦いは、幼少期時代から運動神経が良く、なにより春鷹とのスキンシップを誰よりも好む奈々が勝利した。春鷹を想う気持ちがあるからこそ発揮された力なのだ。

「お兄様を宇宙一想っている私が勝つのは当たり前なんです!」
「たーくんが......たーくんがぁ」
「真子ももっと頑張らないとっ」

 第一回春鷹王が開催されていたのだ。



「家族に愛されすぎて困ってます!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「その他」の人気作品

コメント

  • ノベルバユーザー294208

    お疲れさまです。頑張ってください( ´∀` )b

    2
コメントを書く