クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

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198話 未知の敵

リョンさんに連れられて歩いていると目の前が開けてきた。

「ここが我等の集落だ。仲間に事情を話してくる。ちょっと待っていてくれ。」

そう言ってリョンさんは獣人達を連れて集落に帰っていく。
リョンさん以外の獣人はまだかなり僕らの事を警戒しているようだがリョンさんについて集落に消えていく。

家の数から推測するに20~30世帯位の集落なのだろう。
気になるのは建物がかなりお粗末な作りだということだ。
木と縄のみで作られた簡易的な物にしか見えない。

「すまない。一応仲間達には話したが、仲間達の人間の恨みは深い。居心地が悪いかもしれないが…………。」

「まあ、感情的な所はそう簡単にどうにかなる問題でもないだろうし、仕方あるまい。」

そのあとリョンさんの案内で集落に入る。
やはり気になるのは女性率の多さか。
さっきから成人の男の獣人は一人も見てない。
狩りに出ているだけなら良いが、本当に男がこれだけしかいないならこの氏族は存続は厳しいかもしれない。 
それと全体的に皆痩せている。
食糧事情も芳しくなさそうだ。

そのまま案内に着いていくと集落で唯一まともな作りの建物に来た。
中に入るとスィヨンと呼ばれていた女性と怪我をしている獣人が四人いる。
四肢を欠損している人、身体中包帯でいっぱいの人など目を背けたくなるような怪我をしている。

「これは…………セレン聖教国との戦争で?」

「いや…………こいつは魔物による被害だ。貴方達冒険者にはこの魔物を倒すのを手伝ってもらいたいんだ。」

「この怪我の仕方は何らかの刃物による物だろ?人型の魔物が装備の上から人の腕なんかをざっくり切り落とせるレベルの武器を持ってるってことか?そんな魔物いるのか?」

「奴等はオーガの特異種であるレッドオーガと呼ばれる奴等だ。」

「レッドオーガ?」

初めて聞く魔物に皆が困惑の表情をしている。
そんな中、隣のリリアを見ると目を見開いて動揺の表情をしていた。
その表情は今までリリアと一緒に居た中で一番動揺している様に見える。
リリアの事も気になるが、今は周りに沢山の人がいる。
無理に聞くつもりもないが、話が終わったあと二人っきりになってから尋ねるか。
教えてくれないならそれでも構わない。

それにしても今思い返せば、リリアの過去は冒険者をやっていたという以外はほぼ全てなにも知らない。
前に何か挫折があって冒険者を辞めたというのは聞いたが、それに何か関係があるのかもしれない。

僕が考え事をしていた間にも話は続く。

「つまりはレッドオーガという魔物がある程度切れ味のある武器を作れるほどの知性があると言うことですか?」

「それが……違うんだ。奴等が使っているのはセレン聖教国の武器、つまりは人間が作った物なんだ。」

「それは………、魔物が戦争で死んだ人間の亡骸から武器を漁ったということか?」

「違う。奴等はレッドオーガが大樹海の中で我々を殺すことに期待して武器を意図的にレッドオーガに与えたんだ。そもそもそのレッドオーガでさえ元々はこの大樹海には居なかった魔物。どうやら奴等の国で発生し、手に終えなくなってこの大樹海に誘導したらしい。我々の戦力を削るという目的もあったんだろうがな。中には魔剣を持った個体も居たそうだ。」

「そんなバカな!野生の魔物に意図的に武器を与える等の行為、どう考えても悪質だ。」

魔物による攻めか、セレン聖教国もなかなかえげつない手を使う国らしい。

「奴等は力も武器も持った集団で生活する魔物、やつらを害せる生物などこの大樹海でも多くはいない。やつらは日に日に群れを拡大させ今では最低でも10000の群れを持っている。中には上位種であるジェネラル……………もしかしたらキングも居るかもしれない。」

「…………特異種のキング…………通常のオーガキングがAランクの魔物であることを考えれば恐らくSランク級………。そして、人間の作った武器。少なくとも私達の手に終える話じゃない。取り敢えず一度ギルドに持ち帰らさせてもらおう。」

頭を悩ませながらフイルミナさんがそう結論付ける。

「………そうか…………分かった進展があれば教えてくれ。」

リョンさんが落ち込んだ様子で答える。

「………あの一つ質問いいですか?」

沈んだ空気が場を支配している状況で突然声が上がった。
質問したのはリリアだ。

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