異世界戦国記
第五十一話・笠寺城の攻防~信繫の反撃~
「全軍、攻撃せよ!」
早朝、本陣から矢の如く放たれた清康の言葉で笠寺城に対する総攻めが開始された。外側の見張り兵、本陣の護衛に負傷兵や後方支援の荷駄隊を残した全軍での攻めである。昨日までは一人で二人から三人を相手にしていた笠寺城の守備兵は総攻めの今日は五人以上と戦う状態となっている。その為敵兵は次々とやられていきやがて本陣から見える場所にある門が開いた。それを見た清康は見方が開けたのだと思いそこから兵士を投入するよう指示を出そうとした時であった。
「かかれぇ!」
「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」」」」」
なんと門から織田軍が出てきたのである。出てきた兵の総数から見て笠寺城に籠っていたほとんどの兵士であることが分かった。前線の兵士はまさか敵兵が攻めてくるとは思っておらず意表を突かれた形となった。
「…っ!急いで迎撃せよ!無理に倒そうとせずに囲んで倒せ!」
清康は直ぐに迎撃の指示を出すがそれは後方から上がった雄たけびによってかき消された。
「報告!後方から藤左衛門家の兵と思われる軍勢凡そ五百が攻めてまいりました!」
「何だと!?」
清康は来るはずのない、いるはずのない軍勢の出現に表情を驚愕の文字で埋め尽くした。
「一体何処から出てきたのだ!」
「そ、それが敵は本陣の後ろにある森から出て来たとの事で…」
「くそっ!」
家臣の報告に思わず悪態を付く清康。森には十分な偵察兵を送っており何度も交代して全員が帰還していた。それにもかかわらずの敵兵の出現。
「…まさか!」
清康はその結論に至り後方を向くと本陣にいた一人の兵が刀を抜いて降りかかって来ている姿が目に写った。
「くっ!?」
清康は即座に刀を抜くと降りかかってきた兵士の喉を切り一撃で即死させる。勢いがついていた体はふらふらと清康の脇を通って前のめりに倒れていった。それを確認した清康は大声で叫ぶ。
「敵兵が紛れ込んでいる!注意せよ!」
本来なら兵を疑心暗鬼にさせるようなことはしたくないが先に手を打っておかねば何をされるか分かったものではなかった。
「後方の敵はどうなっている!?」
「はっ!現在守備兵が相手をしており劣勢ではありますが付近から兵が集まり押し返しつつあります」
一応本陣の周りには少なくなったとはいえ千近くの兵がいる。その為数で劣る奇襲部隊は段々と劣勢になってきていた。
「さらに兵を投入しますか?」
「…いや、後方は今のままでいい。とにかく目の前の兵を何とかしろ」
「はっ!」
清康は再び前方に目を向けるとそこには先ほどよりも深く進攻する信繫軍の姿があった。よく見れば前線の兵が浮足立っているのが見える。
「どういう事だ!?なぜこんなにも信繫軍が入り込んでいる!?」
清康は前線から来た兵にそう詰め寄る。普段温厚な清康の態度に戸惑いながら兵は答える。
「そ、それが前線の兵の中に敵兵が紛れ込んでいるようで同士討ちが行われており…」
「くそ!敵兵がいないのはそう言うわけか」
清康は本陣にいた兵は本陣付近に敵兵が潜んでいると思わせるためだと気づいた。そのせいで本陣の兵は無用にいないはずの敵兵に精神をすり減らしてしまった。清康もタイミング良く後方に現れた部隊によりそちらに気を取られてしまっていた。
清康は立て直すべく即座に指示を出す。
「こうなっては混乱を抑えるのは難しい。前線の兵士には悪いが切り捨てて後方にて陣形を整えさせよ」
「はっ!」
清康は無駄に死んでしまう兵に心の中で詫びながら反撃のために指示を出すのであった。
早朝、本陣から矢の如く放たれた清康の言葉で笠寺城に対する総攻めが開始された。外側の見張り兵、本陣の護衛に負傷兵や後方支援の荷駄隊を残した全軍での攻めである。昨日までは一人で二人から三人を相手にしていた笠寺城の守備兵は総攻めの今日は五人以上と戦う状態となっている。その為敵兵は次々とやられていきやがて本陣から見える場所にある門が開いた。それを見た清康は見方が開けたのだと思いそこから兵士を投入するよう指示を出そうとした時であった。
「かかれぇ!」
「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」」」」」
なんと門から織田軍が出てきたのである。出てきた兵の総数から見て笠寺城に籠っていたほとんどの兵士であることが分かった。前線の兵士はまさか敵兵が攻めてくるとは思っておらず意表を突かれた形となった。
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清康は直ぐに迎撃の指示を出すがそれは後方から上がった雄たけびによってかき消された。
「報告!後方から藤左衛門家の兵と思われる軍勢凡そ五百が攻めてまいりました!」
「何だと!?」
清康は来るはずのない、いるはずのない軍勢の出現に表情を驚愕の文字で埋め尽くした。
「一体何処から出てきたのだ!」
「そ、それが敵は本陣の後ろにある森から出て来たとの事で…」
「くそっ!」
家臣の報告に思わず悪態を付く清康。森には十分な偵察兵を送っており何度も交代して全員が帰還していた。それにもかかわらずの敵兵の出現。
「…まさか!」
清康はその結論に至り後方を向くと本陣にいた一人の兵が刀を抜いて降りかかって来ている姿が目に写った。
「くっ!?」
清康は即座に刀を抜くと降りかかってきた兵士の喉を切り一撃で即死させる。勢いがついていた体はふらふらと清康の脇を通って前のめりに倒れていった。それを確認した清康は大声で叫ぶ。
「敵兵が紛れ込んでいる!注意せよ!」
本来なら兵を疑心暗鬼にさせるようなことはしたくないが先に手を打っておかねば何をされるか分かったものではなかった。
「後方の敵はどうなっている!?」
「はっ!現在守備兵が相手をしており劣勢ではありますが付近から兵が集まり押し返しつつあります」
一応本陣の周りには少なくなったとはいえ千近くの兵がいる。その為数で劣る奇襲部隊は段々と劣勢になってきていた。
「さらに兵を投入しますか?」
「…いや、後方は今のままでいい。とにかく目の前の兵を何とかしろ」
「はっ!」
清康は再び前方に目を向けるとそこには先ほどよりも深く進攻する信繫軍の姿があった。よく見れば前線の兵が浮足立っているのが見える。
「どういう事だ!?なぜこんなにも信繫軍が入り込んでいる!?」
清康は前線から来た兵にそう詰め寄る。普段温厚な清康の態度に戸惑いながら兵は答える。
「そ、それが前線の兵の中に敵兵が紛れ込んでいるようで同士討ちが行われており…」
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清康は本陣にいた兵は本陣付近に敵兵が潜んでいると思わせるためだと気づいた。そのせいで本陣の兵は無用にいないはずの敵兵に精神をすり減らしてしまった。清康もタイミング良く後方に現れた部隊によりそちらに気を取られてしまっていた。
清康は立て直すべく即座に指示を出す。
「こうなっては混乱を抑えるのは難しい。前線の兵士には悪いが切り捨てて後方にて陣形を整えさせよ」
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清康は無駄に死んでしまう兵に心の中で詫びながら反撃のために指示を出すのであった。
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