異世界戦国記
第十二話・和睦と今川家
和睦自体はとても快調に進んだ。終始信友は機嫌が悪く俺を親の仇のように睨みつけてきたが危害を加えるようなことはせず無事、和睦は結ばれた。内容も相互不可侵で領土もいまのままだが、今は戦国乱世。いつ破られても可笑しくはないだろう。その為にも前から考えていたあれを実行するか。
「叔父上、少し伊賀まで行ってきてくれ」
「伊賀だと?」
和睦が成立して勝幡城に戻ってきた俺は叔父の織田敏宗を呼び出した。本来は蟹江城の城主としてもう一人の叔父である織田秀敏といるため勝幡城にはいないのだが公家が来ることで勝幡城に来ていた。
「今後勢力を拡大するにあたって忍びの協力が必要となると思われる。その為伊賀を支配にとまでいかないまでも複数の忍びを雇っておきたい」
「…成程」
敏宗は少し嫌な顔をしたが特に反論することなくこちらの話に耳を傾けてくれている。
この時代の忍びの地位は恐ろしいほど低く奴隷とまではいかないながらもかなり窮屈な暮らしを余儀なくされているようだ。現代の記憶を持つ俺なんかは特に気にする事は無いがこの世界では一般的な価値観を持つ敏宗は余り好ましくないのだろう。
「敵の内部への侵入や敵の調略、暗殺などは専門の者に任せた方が上手く行くだろう。その為の忍びの登用です」
「…忍びが裏切る可能性は?」
「忍びの地位は低いです。なので家臣と同等に扱う事と同等の給金を支払うことで裏切らない空間を作ろうと思います」
「それでは重臣たちが納得しないだろう」
敏宗は感情的に反論することなく一つ一つ問題点を上げていく。俺はそれを一つ一つ解いていく。
「無論いきなりそのような事を言っても納得しないのは心得ております。その為ある程度の功績を付けさせようと思います」
「それで重臣たちを黙らすわけか。…分かった。公家の方への挨拶も済んだ。早速伊賀に向かおう」
「ありがとうございます、叔父上」
俺は頭を下げる。後は伊賀の方がどう対応するかにかかっているが無下に扱われる可能性は低いだろう。あちらもそう簡単に信用するとは思えないが最低でも数人を雇うことは出来るだろう。数人いれば周辺の情報収集も楽になる。特に今後は信友の清州城を入念に調べる必要があるからな。
「殿、蹴鞠がそろそろ始まります。こちらに来てください」
「分かった。直ぐに向かおう」
舞台では飛鳥井雅綱が数人とともに蹴鞠を披露しておりそれを複数の見物人が見ている。蹴鞠については素人の俺から見ても飛鳥井雅綱の蹴鞠技術は高く思わず見惚れてしまう程だ。暫く蹴鞠を行い休憩を取っている間俺は呼ばれた客に挨拶に向かった。その中でも有力なのが那古野城主今川氏豊だ。
今川氏豊は駿河の守護大名今川氏親の息子で那古野今川家に養子に出されそこの城主となっていた。今川家は強大で恐らくうろ覚えだが記憶にある桶狭間の戦いでぼろ負けした家と同じだろう。とは言えその時には二万以上の兵を出していたって言っていたからとてもじゃないが勝てるとは思えない。今の内に誼を通じておこう。
「信秀殿、今日は招いてくれて感謝する。おかげで京の本格的な蹴鞠を見物することが出来た」
「いえいえ、お礼をされるほどの事ではありませんよ。今回はたまたまです」
「よろしければ今度那古野城にて連歌を催すのですがいかがですかな?」
連歌か。あまり得意ではないが繋がりを持つチャンスだな。
「あまり得意ではありませんが氏豊殿の御誘いなら断る理由もありませんな。ぜひ、参加させてもらおう」
「ええ、勿論ですとも。ではその時に使いの者をよこしますので」
取り合えずこれでつながりは出来たな。恥をかかないために連歌の練習でもしないとな。でも連歌の練習ってどうすればいいのだ?
「叔父上、少し伊賀まで行ってきてくれ」
「伊賀だと?」
和睦が成立して勝幡城に戻ってきた俺は叔父の織田敏宗を呼び出した。本来は蟹江城の城主としてもう一人の叔父である織田秀敏といるため勝幡城にはいないのだが公家が来ることで勝幡城に来ていた。
「今後勢力を拡大するにあたって忍びの協力が必要となると思われる。その為伊賀を支配にとまでいかないまでも複数の忍びを雇っておきたい」
「…成程」
敏宗は少し嫌な顔をしたが特に反論することなくこちらの話に耳を傾けてくれている。
この時代の忍びの地位は恐ろしいほど低く奴隷とまではいかないながらもかなり窮屈な暮らしを余儀なくされているようだ。現代の記憶を持つ俺なんかは特に気にする事は無いがこの世界では一般的な価値観を持つ敏宗は余り好ましくないのだろう。
「敵の内部への侵入や敵の調略、暗殺などは専門の者に任せた方が上手く行くだろう。その為の忍びの登用です」
「…忍びが裏切る可能性は?」
「忍びの地位は低いです。なので家臣と同等に扱う事と同等の給金を支払うことで裏切らない空間を作ろうと思います」
「それでは重臣たちが納得しないだろう」
敏宗は感情的に反論することなく一つ一つ問題点を上げていく。俺はそれを一つ一つ解いていく。
「無論いきなりそのような事を言っても納得しないのは心得ております。その為ある程度の功績を付けさせようと思います」
「それで重臣たちを黙らすわけか。…分かった。公家の方への挨拶も済んだ。早速伊賀に向かおう」
「ありがとうございます、叔父上」
俺は頭を下げる。後は伊賀の方がどう対応するかにかかっているが無下に扱われる可能性は低いだろう。あちらもそう簡単に信用するとは思えないが最低でも数人を雇うことは出来るだろう。数人いれば周辺の情報収集も楽になる。特に今後は信友の清州城を入念に調べる必要があるからな。
「殿、蹴鞠がそろそろ始まります。こちらに来てください」
「分かった。直ぐに向かおう」
舞台では飛鳥井雅綱が数人とともに蹴鞠を披露しておりそれを複数の見物人が見ている。蹴鞠については素人の俺から見ても飛鳥井雅綱の蹴鞠技術は高く思わず見惚れてしまう程だ。暫く蹴鞠を行い休憩を取っている間俺は呼ばれた客に挨拶に向かった。その中でも有力なのが那古野城主今川氏豊だ。
今川氏豊は駿河の守護大名今川氏親の息子で那古野今川家に養子に出されそこの城主となっていた。今川家は強大で恐らくうろ覚えだが記憶にある桶狭間の戦いでぼろ負けした家と同じだろう。とは言えその時には二万以上の兵を出していたって言っていたからとてもじゃないが勝てるとは思えない。今の内に誼を通じておこう。
「信秀殿、今日は招いてくれて感謝する。おかげで京の本格的な蹴鞠を見物することが出来た」
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