現代地獄

アーカム

言葉の意味


ふと目が覚める。
どうやら二度寝してしまったらしい。
あの時の事が夢に出て来た。

気分が優れない。
頭が痛い。

少しその場に静止した後時計を見た。

11時37分

結構寝てしまったらしい。
頭痛が酷い。

二階ある僕の部屋には薬が置いてない。
頭痛薬が欲しいが薬は一階にある。
部屋を出て一階行かなければならない。
でも何故だかこの部屋から出るのが怖い。
怖くてここ何日か出ていない。
僕の部屋は珍しく直接僕の部屋からトイレに繋がっているため部屋から直接行ける。覚えていないが昔小さい頃にトイレに行くのが怖かった僕のために親が改造したらしい。
だからトイレに行くと廊下につながる扉と僕の部屋に繋がる扉があるため変な事になっている。

鍵は僕の部屋から掛けられるようになってはいるがトイレの中からは僕の部屋方の扉は閉められない。
他の人が来ている時は注意が必要だ。

飲み物はいつも何本か部屋に置いてある為今まで大丈夫だったがそろそろ無くなりそうだ。

食事はほとんど取っていない。
食べる気がしなかった。

だからここ何日かは部屋から出なくても大丈夫だったし出たくない気持ちの方が大きかった。

だが最初の頃よりは落ち着いて来た事もあり少し空腹感が出て来た。

やはりずっとはこうしていられない。
ここから一度出なくては。

そう思いゆっくりとベットから起き上がり、扉の方へ向かう。
だがいざ扉の前に来ると開けられない。
頭痛が酷くなる。
吐き気がする。
息が苦しく感じる。
胸の鼓動が大きくなる。

怖い。

でも開けなければ前に進めない。
それに別に開けたからといって何かあるわけでもない。
そんな事は分かっているのに。

開けられない。

「はぁ…」

一旦諦めよう。
そう思い僕は部屋を見回した。
もう一度寝ようかと思ったが、頭痛が酷くて寝れそうになかったので他に何か気を紛らすものが無いかと思い辺りを見回した。

するとスマホが一定の間隔で点滅している事に気づき机の上にあるスマホを手に取った。

スマホを開いてみるといくつかメッセージやLINEなどが来ていた。
テニス部の友達や先輩達。
それからクラスの人達に担任の先生からも来ている。

僕は一つずつそれを見て行く事にした。

【体調はいかがでしょうか?急にあんな事になって気持ち的にも大変だと思いますが頑張って下さい。また元気な姿で学校で会える事を楽しみにしています。】

先生からのメッセージは何というか先生って感じがする。
先生は怒る事は多いけど生徒が悩んでいたりすればアドバイスをしっかりしてくれたりするいい先生だ。

次に見たのはテニス部のみんなのLINEのメッセージ。
みんな“頑張れ”とか“元気出せ”とか似たり寄ったりだけど元気をもらえる気がする。

次に見たのは、クラスのみんなのメッセージ。
やっぱりこっちも似たようなメッセージだけどなんだか嬉しくなる。

そして次に見たのは、他のクラスで仲のいい人達のメッセージ。

やはりみんな似たり寄ったりのメッセージだった。
1つずつ見ていってる中で一つのメッセージに目が止まった。

他のメッセージと違い、それはこちらに質問をして来ている。

【こんな時に悪いんだけどあいつの事で聞きたい事があるんだけどいいかな?】

それは三日前に送られて来ていた。
あいつとは彼の事だろう。
このメッセージの主は彼と同じクラスの奴で彼との接点で仲良くなった奴だ。

名前は確か……

「………」

ダメだ思い出せない。
あれだけ喋っていたはずなのに名前が全然思い出せない。
本当に仲が良かったのだろうかと不安になる。

仕方ない。名前はとりあえず仮でAにしておこう。

Aは彼について何かを聞きたいんだと思うけどAも彼とは仲が良かった筈だ。
むしろ同じクラスにいたのだから僕より彼がああなってしまった原因を知っているんじゃ無いだろうか?

そう思いながらも僕はAにメッセージを返す事にした。

メッセージの内容は【聞きたい事って何?】

とてもシンプルではあるが他に書く事はない。
多分Aも彼について何も知らない可能性は高い。
知っていたとして今更聞いてもどうしようもない気がするしこれで十分だ。
僕は、メッセージをAに送った。

ブルルル

僕がメッセージを送ってから1分も経たずにメッセージが返ってくる。
今はまだ授業中のはずだけど。

僕はスマホを開きLINEを開いてメッセージを見た。

僕はそのメッセージを読んだ瞬間、その場に凍りついた。

【以前あいつがつぶやいてたんだけどさ。“二丁目が始まった。孤独がどうのこうのって”何のことかわかる?】

それは彼が言っていた言葉の一つだと思う。

“次は孤独の二丁目”

僕はそこからしばらく動けなかった。


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