現代地獄

アーカム

孤独の二丁目


 今を生きる人達へ

ここは地獄。
寝ても起きても終わることの無い苦しみ。
拷問。罰。償い。
人は地獄を色々な言葉で表す。
小さい頃、大体の人は親からこう聞いた事があると思う。
「悪い事をすると地獄に落ちるぞ。」
少し大きくなるとそれが子供騙しだと言うことは誰にでもわかる事だ。
親が子供が悪い事をしないようにする為の一つの教育方法だと思う。
そしてさらに成長するともう一つわかる事があるのだ。

それはこの世界が地獄だという事を。

生まれた時既に地獄に落ちている事を。


朝6時、いつものようにジリリと大きな音を立てて目覚ましが鳴る。
その音が少しずつ耳に入ってきてゆっくりと目を開ける。
目を開けると紺色のカーテンの隙間から明るい光が差していた。
さっきまで暗いまぶたの裏を見ていたせいか少し明るく感じて少し目をしぼませる。
ふとまだ目覚ましがなっていることに気づき自分が寝ているベットの横にある目覚ましを止めた。

「今日は何曜日だっけ…」

起きて間もない為、頭がボーッとする。
いつも起きると何曜日かを少し考える。
考えると言うよりは思い出す。
そして今日が水曜日だという事を思い出すと頭が少し痛くなる。

ふとなんとなく辺りを見回す。
特に意味は無いのだがいつもなんとなくやってしまう。
多分癖なのだろう。
特にいつもと変わらない。
窓には紺色のカーテンがかかっていて隙間から少しだけ光が差している。
部屋の奥には机があってパソコンが置いてある。
机の周りには、適当にに積まれた雑誌やゴミが入ったコンビニの袋がいくつもある。

そして紺色のカーテンがかかった窓の反対側には、鍵が掛かった扉がある。

扉に鍵…

もうここ何日か開けていない鍵。
そう。僕は何日か前からこの部屋から一度も出ていない。

引きこもりである。

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