99回告白したけどダメでした
208話
*
「綺麗ですね……」
「そ、そうですね……」
誠実は顔を熱くしながら肩に頭を乗せる栞を見る。
すると、誠実と栞の目が合う。
栞は笑みを浮かべて誠実に優しく言う。
「どうかしましたか?」
「い、いえ……な、何も……」
「そうですか……」
優しく微笑む栞に誠実は心臓をドキドキさせる。
栞が可愛いことを誠実は理解していたが、今日は学校でいつもとなんだか雰囲気が違うような気がした。
なんだか大人っぽい雰囲気を醸し出す栞に、誠実は緊張してしまう。
「あ、花柄でしたね、今の花火」
「そ、そうですね……あ、あの……その体勢で見にくくないですか?」
「最高に見やすいですよ」
「そ、そうですか……」
離れて下さいとも言えず、誠実はどうしたものかと考える。
別にこのままでも良いのだが、これでは色々と困ってしまう。
栞の体温や柔らかい肌の感触など、距離が近い故に色々と気になってしまい、花火に集中出来ない。
「あ、あの……俺、結構歩いて汗とか掻いてますし……は、離れた方が……」
「そんな事ありませんよ? それに……私がこうして居たいんです……」
「あ……はい」
栞からのその言葉に誠実は何も言えなくなってしまった。
一方の栞も内心では緊張していた。
積極的に行動しようと思い、このような事をしてみたが、思いの他緊張してしまっていた。 男性との交際経験も無い栞は、心臓をバクバクさせつつも、どこか居心地の良い様子で誠実の肩にもたれ掛かって花火を見る。
(このまま時間が止まれば良いのに……)
そんな乙女チックな事を考えながら、栞は花火に視線を向ける。
何発か打ち上がり、前半の打ち上げが終了になり休憩に入った。
誠実はそこでトイレに行ってくると席を立ち、栞はしょうがなく肩から頭をどけた。
「私も飲み物を買いに行きたいので、一緒に行きますわ」
「あ、了解です。それじゃあ行きますか、多分今の時間はトイレが込むので早めに……」
そう言って誠実と栞は席を離れてトイレに向かった。
案の定トイレは混雑しており、並ぶ必要があったが、仮設トイレが何十個も設置されていたおかげで予想よりも早く順番は回ってきた。
誠実はトイレを済ませ、栞と合流し屋台の方に向かう。
「何飲みます? タピオカジュースとかも売ってるみたいですよ?」
「うーん……そうでねぇ……」
屋台を見ながら何を飲むかを考える栞。
そんな栞の視線に、見覚えのある顔が一人写った。
誠実も気がつき、誠実が声を上げる。
「あれ? なんだ美奈穂じゃないか」
「げっ……おにぃ……」
「おい、げっなんだ、げって……」
二人の目の前に現れたのは、浴衣姿の美奈穂だった。
友達と一緒に屋台を見ている様子で、後ろには不思議そうに誠実達を見つめる男女が四人居る。
「友達と来てるのか?」
「そうだけど……アンタは……デート?」
「は、はぁ!? 馬鹿! これはただの……」
「デートですよ」
「え?」
誠実が美奈穂の言葉に動揺していると、横から栞は何食わぬ顔でそう言う。
栞は目を大きく見開き、美奈穂を見る。
そんな栞に美奈穂は眉をひそめる。
「ですよね?」
「……そ、そうなんですか?」
栞の言葉に誠実も困惑する。
誠実は空気が悪くなっていることに気がつき、話しを変えようと美奈穂に尋ねる。
「と、友達か?」
「うん……これ、うちの兄」
「あ、どうも。いつも妹がお世話になってます」
誠実は美奈穂の友人に頭を下げる。
それに続いて美奈穂の友人達も頭を下げる。
「どこで見てたの?」
「え? あぁ、俺たちは先輩の用意してくれた席で……美奈穂達はどこで見てたんだ?」
「私たちは立ち見席でかき氷食べながらよ」
「そうか。しっかし、お前が学校の友達と遊ぶなんて珍しいな」
「大きなお世話よ、私は忙しいの!」
「はいはい、そうでしたねぇ~」
誠実が美奈穂と話しをしている間、美奈穂の友人達は栞の方に視線が釘付けだった。
それを不思議に思った栞は、美奈穂の友人達に尋ねる。
「私の顔に何か付いていますでしょうか?」
「あ、い…いえ! ごめんなさい……凄く綺麗だと思って……」
「だよね……美奈穂のお兄さんってこんなに綺麗な彼女さん居るんだ……」
彼女、そう言われた栞は天にも昇る気持ちだった。
他の人からカップルに見えていると考えるだけで、栞はなんだか嬉しい気持ちになった。
栞はニコニコ笑いながら、美奈穂の友人達に答える。
「ウフフ、ありがとうございます。でも、貴方たちも可愛いわよ」
「あ、ありがとうございます!」
「嬉しいです!」
美奈穂の友人の女子二人は嬉しそうにそう言い、後ろの男子達は栞の姿に見惚れていた。
「ま、まじかよ……」
「伊敷の兄さんってすげぇ……」
「モテるんだな……」
誠実の知らないところで、誠実の評価が上がっている頃、誠実は美奈穂と話しをしていた。
「あんまり遅くならないうちに帰ってこいよ」
「わかってるわよ……アンタもね」
不機嫌そうにそういう美奈穂を見て、誠実は友達と一緒のところを声を掛けたのがまずかったのかと思い反省する。
ここは早く美奈穂達から離れたほうが良いと思い、誠実は栞と共にその場を離れようとする。
「じゃあ、あんまり邪魔もできねーから、俺らはいくわ。先輩行きましょう」
「そうですね、あちらもトリプルデートのようですし……」
「え? マジで!?」
栞はデートという単語を強調する。
誠実は栞の言葉に驚き、美奈穂に尋ねる。
すると美奈穂は額に血管を浮かべて、誠実に怒鳴る。
「違うわよ!! 馬鹿!」
「綺麗ですね……」
「そ、そうですね……」
誠実は顔を熱くしながら肩に頭を乗せる栞を見る。
すると、誠実と栞の目が合う。
栞は笑みを浮かべて誠実に優しく言う。
「どうかしましたか?」
「い、いえ……な、何も……」
「そうですか……」
優しく微笑む栞に誠実は心臓をドキドキさせる。
栞が可愛いことを誠実は理解していたが、今日は学校でいつもとなんだか雰囲気が違うような気がした。
なんだか大人っぽい雰囲気を醸し出す栞に、誠実は緊張してしまう。
「あ、花柄でしたね、今の花火」
「そ、そうですね……あ、あの……その体勢で見にくくないですか?」
「最高に見やすいですよ」
「そ、そうですか……」
離れて下さいとも言えず、誠実はどうしたものかと考える。
別にこのままでも良いのだが、これでは色々と困ってしまう。
栞の体温や柔らかい肌の感触など、距離が近い故に色々と気になってしまい、花火に集中出来ない。
「あ、あの……俺、結構歩いて汗とか掻いてますし……は、離れた方が……」
「そんな事ありませんよ? それに……私がこうして居たいんです……」
「あ……はい」
栞からのその言葉に誠実は何も言えなくなってしまった。
一方の栞も内心では緊張していた。
積極的に行動しようと思い、このような事をしてみたが、思いの他緊張してしまっていた。 男性との交際経験も無い栞は、心臓をバクバクさせつつも、どこか居心地の良い様子で誠実の肩にもたれ掛かって花火を見る。
(このまま時間が止まれば良いのに……)
そんな乙女チックな事を考えながら、栞は花火に視線を向ける。
何発か打ち上がり、前半の打ち上げが終了になり休憩に入った。
誠実はそこでトイレに行ってくると席を立ち、栞はしょうがなく肩から頭をどけた。
「私も飲み物を買いに行きたいので、一緒に行きますわ」
「あ、了解です。それじゃあ行きますか、多分今の時間はトイレが込むので早めに……」
そう言って誠実と栞は席を離れてトイレに向かった。
案の定トイレは混雑しており、並ぶ必要があったが、仮設トイレが何十個も設置されていたおかげで予想よりも早く順番は回ってきた。
誠実はトイレを済ませ、栞と合流し屋台の方に向かう。
「何飲みます? タピオカジュースとかも売ってるみたいですよ?」
「うーん……そうでねぇ……」
屋台を見ながら何を飲むかを考える栞。
そんな栞の視線に、見覚えのある顔が一人写った。
誠実も気がつき、誠実が声を上げる。
「あれ? なんだ美奈穂じゃないか」
「げっ……おにぃ……」
「おい、げっなんだ、げって……」
二人の目の前に現れたのは、浴衣姿の美奈穂だった。
友達と一緒に屋台を見ている様子で、後ろには不思議そうに誠実達を見つめる男女が四人居る。
「友達と来てるのか?」
「そうだけど……アンタは……デート?」
「は、はぁ!? 馬鹿! これはただの……」
「デートですよ」
「え?」
誠実が美奈穂の言葉に動揺していると、横から栞は何食わぬ顔でそう言う。
栞は目を大きく見開き、美奈穂を見る。
そんな栞に美奈穂は眉をひそめる。
「ですよね?」
「……そ、そうなんですか?」
栞の言葉に誠実も困惑する。
誠実は空気が悪くなっていることに気がつき、話しを変えようと美奈穂に尋ねる。
「と、友達か?」
「うん……これ、うちの兄」
「あ、どうも。いつも妹がお世話になってます」
誠実は美奈穂の友人に頭を下げる。
それに続いて美奈穂の友人達も頭を下げる。
「どこで見てたの?」
「え? あぁ、俺たちは先輩の用意してくれた席で……美奈穂達はどこで見てたんだ?」
「私たちは立ち見席でかき氷食べながらよ」
「そうか。しっかし、お前が学校の友達と遊ぶなんて珍しいな」
「大きなお世話よ、私は忙しいの!」
「はいはい、そうでしたねぇ~」
誠実が美奈穂と話しをしている間、美奈穂の友人達は栞の方に視線が釘付けだった。
それを不思議に思った栞は、美奈穂の友人達に尋ねる。
「私の顔に何か付いていますでしょうか?」
「あ、い…いえ! ごめんなさい……凄く綺麗だと思って……」
「だよね……美奈穂のお兄さんってこんなに綺麗な彼女さん居るんだ……」
彼女、そう言われた栞は天にも昇る気持ちだった。
他の人からカップルに見えていると考えるだけで、栞はなんだか嬉しい気持ちになった。
栞はニコニコ笑いながら、美奈穂の友人達に答える。
「ウフフ、ありがとうございます。でも、貴方たちも可愛いわよ」
「あ、ありがとうございます!」
「嬉しいです!」
美奈穂の友人の女子二人は嬉しそうにそう言い、後ろの男子達は栞の姿に見惚れていた。
「ま、まじかよ……」
「伊敷の兄さんってすげぇ……」
「モテるんだな……」
誠実の知らないところで、誠実の評価が上がっている頃、誠実は美奈穂と話しをしていた。
「あんまり遅くならないうちに帰ってこいよ」
「わかってるわよ……アンタもね」
不機嫌そうにそういう美奈穂を見て、誠実は友達と一緒のところを声を掛けたのがまずかったのかと思い反省する。
ここは早く美奈穂達から離れたほうが良いと思い、誠実は栞と共にその場を離れようとする。
「じゃあ、あんまり邪魔もできねーから、俺らはいくわ。先輩行きましょう」
「そうですね、あちらもトリプルデートのようですし……」
「え? マジで!?」
栞はデートという単語を強調する。
誠実は栞の言葉に驚き、美奈穂に尋ねる。
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