99回告白したけどダメでした

Joker0808

205話

「あの・・・・・・観覧席はどの辺りなんですか?」

「この人の流れに乗って行けば自然とつきますよ。それよりもお腹とか減りませんか?」

 そう言えば、来る前も何も食べていなかったので、お腹が空いていた誠実。
 並んでいる屋台を見ながら、栞と何を食べるかを相談する。

「先輩って、焼きそばとか綿飴って食べたことあるんですか?」

「なんですかぁ~、その少し馬鹿にしたような言い方わぁ~」

「い、いや……先輩みたいなお金持ちだと、あんまりこういう物は食べないのかなって思って……」

「そんな風に見えますか? 私だって焼きそばくらい食べたことありますよ!」

「すいません、完全に俺の偏見でしたね。じゃあ買ってきますよ」

「二人で行きましょうか、その方がはぐれないでしょうし」

 栞にそう言われ誠実は栞と一緒に焼きそばの屋台に向かった。

「すみません、焼きそば二つお願いします」

「はいよっ! 焼きそば二つだねぇ!」

 元気の良いおっちゃんが威勢良く言ってくる。
 そんなおじさんが、誠実と栞を見た途端にまたしても威勢良く言う。

「お! 兄ちゃん可愛い彼女連れて~、デートかい? かぁー!! 羨ましいねぇ~」

「い、いえ! 俺たちは……」

「はい、そうなんです!」

「先輩!?」

 屋台のおっちゃんの言葉を否定しようとした誠実だったが、言い終わる前に栞が言い切ってしまった。
 誠実は栞の言葉に驚き、栞は笑顔でおっちゃんと話しをしていた。

「兄ちゃんやるねぇ~、こんなべっぴんさん捕まえてぇ~」

「だ、だからそういうわけじゃ……」

「ホントですよねぇ~」

「だから先輩!? さっきから何を言ってるんですか!」

「ほらぁ~、いつもこうやってごまかすんですよ~」

「あらら、さては兄ちゃんシャイボーイだな! お嬢ちゃんも大変だねぇ~」

「本当ですよぉ~」

「もう……どうでもいいや……」

 誠実は誤解を解くの諦め、そのまま黙る。
 おっちゃんは仲の良い二人のためにと、少しおまけをしてくれた。
 屋台を後にした後、誠実と栞は観覧席に向かった再び歩き始めた。

「先輩、さっきのあれはなんすか」

「あれとは?」

「ほら、彼女だのなんだのっていう」

「あぁ、別に良いじゃないですか。花火大会なんてカップルだらけですし、あの場合は訂正するほうが面倒です」

「そうですけど……もし学校の奴らが居たら……」

「私は気にしませんよ? それとも、私が彼女じゃ不服ですか?」

「あ、いや……そういう訳では……」

「なんですかぁ~? そうですよねぇ~、私ってあんまり可愛くないですし~」

「い、いや! そんなことは……」

「じゃあ、可愛いですか?」

「は、はい?」

「どうなんですか?」

 問い詰めてくる栞に誠実は戸惑う。
 簡単に可愛いと言えれば一番良いのだが、なかなかそれは難しいし気恥ずかしい。

「う……か……」

「か?」

「か……わいいです……」

「え? なんて言いました? 聞こえませーん」

「な! 絶対聞こえてましたよね!」

「うふふ、もう一回ハッキリお願いします」

「あぁ! 可愛いです! これで満足ですか!」

「うふふ、ありがとうございます」

 満足そうに笑う栞。
 余裕そうな栞だが、実は栞の心臓は破裂するのではないかというほど、ドキドキしていた。 頬もわずかに赤かったが、誠実は気恥ずかしさで気がつかない。

「じゃあ、席に座りましょうか」

「なんだか、このまま先輩にからかわれて終わりそう……」

「あら? 今頃気がつきましたか?」

「確信犯!?」






「わー凄いねぇ!」

「人多い~」

「ま、こんなもんでしょ」

 私、伊敷美奈穂は現在、学校の友達五人と花火大会に来ている。
 会場は人が多く、気を抜いたら皆とはぐれてしまいそうだ。
 そんな会場で私は無意識に人を探していた。

「……どこかに……居るのかしら」

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