99回告白したけどダメでした
185話
*
私、仁科恵理は夜中に一人で服を選んでいた。
「こっち? いや……コレは……気合い入れすぎか……」
その理由は明日、年下の男の子と買い物に行くからだ。
別に好きとかそう言うので無い……はず。
なのだが、やっぱり年上の女性として、大人っぽい服装をして行かなければいけない気がした。
いつもはこんなに服選びで悩んだりしないのだが、なぜだか今日に限っては、明日の事を考え過ぎてしまい、現在クローゼットから服を出し、ベッドに並べて吟味している。
「な、なんで私が誠実君の事でこんなに悩んでるのよ!! 馬鹿じゃ無いの!? 誠実君なんだから、ショーパンとTシャツでも……」
いや、それはいくら何でもラフ過ぎない?
ここは彼の私への認識を改めてもらう為にも、少しお洒落して大人っぽさを出す?
でも、気合いを入れすぎても……あぁぁぁ! 誠実君の馬鹿!!
「あぁぁ! もうコレで決定! 寝る!」
私は着ていく服を決め、そのまま布団に入る。
誠実君の事だ、どうせ服装なんてそこまで見てない!
そう考える私だったが、段々不安になってきた。
も、もし明日に限って、服装とか見てたらどうしよう……。
私は無言で起き上がり、再び服を選び始めた。
*
俺こと、武田武司は今、スマホを床に置き腕を組んで考えていた。
「なにが狙いなんだ?」
その理由は、それなりに仲の良い女子から買い物に誘われたからだ。
夏休みに入り、海に行き、そいつと喧嘩をしたが直ぐに仲直りをし、それなりに仲良く鳴り始めたと思っていた矢先にこのお誘い……。
「何を考えてやがる……」
散々俺にモテなさそうだの、女の子が逃げ出すだの言っておいて、なんでこいつはそんな俺を買い物に誘ってきたのだろうか?
考えて見れば、あいつと仲良くなったのは共通の友人を通してだった。
ぶつかる事が多かったが、ここまで仲良くなるきっかけは、テスト勉強の時だっただろう。 結局俺は負けたのだが……。
「あ、負けたから買い物に付き合えって話しか……」
残念なような、納得のような……。
まぁ、それでも女子と二人で買い物なんて初めてだし、あいつも見てくれだけは良いし、良い経験になるか……。
俺はそんな事を思いながら、スマホを充電しベッドに入る。
「あぁ……俺も彼女欲しい」
*
「い、言っちゃった……」
私、古賀志保はスマホを持って顔を真っ赤に染めながら、ベッドの上で正座していた。
私は今まさに、最近少し気になっている男子を買い物に誘ってしまった。
夏休み、皆で海に行き、あいつとはぶつかってばっかりだった。
だけど、色々話しも出来て、あいつがどんな奴かわかって来て、海から帰る日は大雨だったが、家までわざわざ送ってくれた。
そんなせいもあってか、私はあいつに少なからず好意を抱いているらしく、さっきの電話もかなり緊張してしまった。
「あ、明日……何を着ていけば良いのかしら……」
私は急いで明日来ていく服を選び始める。
気合いが入っていないかつ、お洒落で可愛い服!
そんな事を思っても、そう都合良くそんな服があるわけが無い。
「こ、コレは……気合い入れすぎよ!」
一人でそんな事を呟きながら、私は着ていく服を悩む。
あいつが私をどう思っているかなんてわからないが、少なくとも好意を持っている可能性は無い。
今回の買い物は、自分の気持ちを確かめると同時に、あいつに私を女として意識させる意味も含めている。
「あいつは……どんな服で来るのかな?」
明日の事を考えながら、私は服選びを続ける。
*
「な、なんだと?!」
俺は古沢健。
生粋のアイドルオタクであり、それを誇りに思っている。
周りからは残念イケメンだの、イケメンの無駄遣いだと言われるが、俺にとってはどうでもいい話しだ。
俺は今、エメラルドスターズと言うアイドルユニットを応援しており、同じアイドルグループを応援している仲間からの連絡に驚いていた。
「それは本当か?」
『間違いないです! 明日、エメラルドスターズがこの街のショッピングモールに来るみたいです!!』
「しかし、公式サイトにも何も書かれていないぞ?」
『メンバーのつぶやき見ていないんですか? この辺の写真がアップされたり、意味深な内容もつぶやかれてるっす! しかも、目撃情報まであるんですよ!!』
「な、なんだと……」
俺はその話を聞き、驚きと喜びが入り交じった、奇妙な気持ちになった。
ただ一つ言える事は、この感情が決して悪いもではないと言うことだった。
「よし、明日は丁度なにも無い、いくぞ」
『そう言うと思って、準備は万全っす! 他のメンバーにも伝達済みです!』
「よくやった、明日は朝からショッピングモールに向かうぞ!」
『はいっす!』
フフフ、明日が楽しみだ。
ライブ以外でアイドルを生で見れる機会は滅多に無い。
それに俺はまだ高校生、そこまで金を掛けることは出来ない。
こういう地元でアイドルに会えると言うチャンスを絶対に逃す訳には行かない!
「さて、テンションをあげる為にも、新曲を聞き直すか……」
俺は早速ヘッドホンを耳に付けて、音楽プレイヤーの再生ボタンを押す。
明日が楽しみだ……。
俺はそう思いながら、曲を聴く。
*
四人が明日の事で色々と動きを見せている中、誠実はと言うと……。
「あははは、やっぱりこの芸人おもしれーな~」
リビングで親父である忠志とテレビのバラエティー番組を見ていた。
「叶さん! もう一杯!」
「え? 殴れば良いの?」
「なんでそうなるの!?」
忠志は妻である、叶にビールをもう一本と頼むが、その願いは叶わなかった。
「そう言えば誠実、明日は何処かに行くの?」
「ん、まぁちょっと買い物に」
叶が誠実に尋ねる。
明日は恵理との約束の日。
誠実は、まぁただの買い物だし、そこまで緊張する事もないであろうと、いつも通り過ごしていた。
「アンタ、勉強もしなさいよ」
「へいへ~い」
誠実はテレビを見ながら叶にそう答える。
そんな誠実の適当な態度に、叶は溜息を吐き、忠志を見ながら答える。
「はぁ……誰に似たのかしらね」
「俺を見ながら言うな!」
私、仁科恵理は夜中に一人で服を選んでいた。
「こっち? いや……コレは……気合い入れすぎか……」
その理由は明日、年下の男の子と買い物に行くからだ。
別に好きとかそう言うので無い……はず。
なのだが、やっぱり年上の女性として、大人っぽい服装をして行かなければいけない気がした。
いつもはこんなに服選びで悩んだりしないのだが、なぜだか今日に限っては、明日の事を考え過ぎてしまい、現在クローゼットから服を出し、ベッドに並べて吟味している。
「な、なんで私が誠実君の事でこんなに悩んでるのよ!! 馬鹿じゃ無いの!? 誠実君なんだから、ショーパンとTシャツでも……」
いや、それはいくら何でもラフ過ぎない?
ここは彼の私への認識を改めてもらう為にも、少しお洒落して大人っぽさを出す?
でも、気合いを入れすぎても……あぁぁぁ! 誠実君の馬鹿!!
「あぁぁ! もうコレで決定! 寝る!」
私は着ていく服を決め、そのまま布団に入る。
誠実君の事だ、どうせ服装なんてそこまで見てない!
そう考える私だったが、段々不安になってきた。
も、もし明日に限って、服装とか見てたらどうしよう……。
私は無言で起き上がり、再び服を選び始めた。
*
俺こと、武田武司は今、スマホを床に置き腕を組んで考えていた。
「なにが狙いなんだ?」
その理由は、それなりに仲の良い女子から買い物に誘われたからだ。
夏休みに入り、海に行き、そいつと喧嘩をしたが直ぐに仲直りをし、それなりに仲良く鳴り始めたと思っていた矢先にこのお誘い……。
「何を考えてやがる……」
散々俺にモテなさそうだの、女の子が逃げ出すだの言っておいて、なんでこいつはそんな俺を買い物に誘ってきたのだろうか?
考えて見れば、あいつと仲良くなったのは共通の友人を通してだった。
ぶつかる事が多かったが、ここまで仲良くなるきっかけは、テスト勉強の時だっただろう。 結局俺は負けたのだが……。
「あ、負けたから買い物に付き合えって話しか……」
残念なような、納得のような……。
まぁ、それでも女子と二人で買い物なんて初めてだし、あいつも見てくれだけは良いし、良い経験になるか……。
俺はそんな事を思いながら、スマホを充電しベッドに入る。
「あぁ……俺も彼女欲しい」
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「い、言っちゃった……」
私、古賀志保はスマホを持って顔を真っ赤に染めながら、ベッドの上で正座していた。
私は今まさに、最近少し気になっている男子を買い物に誘ってしまった。
夏休み、皆で海に行き、あいつとはぶつかってばっかりだった。
だけど、色々話しも出来て、あいつがどんな奴かわかって来て、海から帰る日は大雨だったが、家までわざわざ送ってくれた。
そんなせいもあってか、私はあいつに少なからず好意を抱いているらしく、さっきの電話もかなり緊張してしまった。
「あ、明日……何を着ていけば良いのかしら……」
私は急いで明日来ていく服を選び始める。
気合いが入っていないかつ、お洒落で可愛い服!
そんな事を思っても、そう都合良くそんな服があるわけが無い。
「こ、コレは……気合い入れすぎよ!」
一人でそんな事を呟きながら、私は着ていく服を悩む。
あいつが私をどう思っているかなんてわからないが、少なくとも好意を持っている可能性は無い。
今回の買い物は、自分の気持ちを確かめると同時に、あいつに私を女として意識させる意味も含めている。
「あいつは……どんな服で来るのかな?」
明日の事を考えながら、私は服選びを続ける。
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「な、なんだと?!」
俺は古沢健。
生粋のアイドルオタクであり、それを誇りに思っている。
周りからは残念イケメンだの、イケメンの無駄遣いだと言われるが、俺にとってはどうでもいい話しだ。
俺は今、エメラルドスターズと言うアイドルユニットを応援しており、同じアイドルグループを応援している仲間からの連絡に驚いていた。
「それは本当か?」
『間違いないです! 明日、エメラルドスターズがこの街のショッピングモールに来るみたいです!!』
「しかし、公式サイトにも何も書かれていないぞ?」
『メンバーのつぶやき見ていないんですか? この辺の写真がアップされたり、意味深な内容もつぶやかれてるっす! しかも、目撃情報まであるんですよ!!』
「な、なんだと……」
俺はその話を聞き、驚きと喜びが入り交じった、奇妙な気持ちになった。
ただ一つ言える事は、この感情が決して悪いもではないと言うことだった。
「よし、明日は丁度なにも無い、いくぞ」
『そう言うと思って、準備は万全っす! 他のメンバーにも伝達済みです!』
「よくやった、明日は朝からショッピングモールに向かうぞ!」
『はいっす!』
フフフ、明日が楽しみだ。
ライブ以外でアイドルを生で見れる機会は滅多に無い。
それに俺はまだ高校生、そこまで金を掛けることは出来ない。
こういう地元でアイドルに会えると言うチャンスを絶対に逃す訳には行かない!
「さて、テンションをあげる為にも、新曲を聞き直すか……」
俺は早速ヘッドホンを耳に付けて、音楽プレイヤーの再生ボタンを押す。
明日が楽しみだ……。
俺はそう思いながら、曲を聴く。
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四人が明日の事で色々と動きを見せている中、誠実はと言うと……。
「あははは、やっぱりこの芸人おもしれーな~」
リビングで親父である忠志とテレビのバラエティー番組を見ていた。
「叶さん! もう一杯!」
「え? 殴れば良いの?」
「なんでそうなるの!?」
忠志は妻である、叶にビールをもう一本と頼むが、その願いは叶わなかった。
「そう言えば誠実、明日は何処かに行くの?」
「ん、まぁちょっと買い物に」
叶が誠実に尋ねる。
明日は恵理との約束の日。
誠実は、まぁただの買い物だし、そこまで緊張する事もないであろうと、いつも通り過ごしていた。
「アンタ、勉強もしなさいよ」
「へいへ~い」
誠実はテレビを見ながら叶にそう答える。
そんな誠実の適当な態度に、叶は溜息を吐き、忠志を見ながら答える。
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