99回告白したけどダメでした
128話
*
誠実は現在、宴会会場を後にし自分の部屋に戻って来ていた。
あの後、撮影スタッフの男性陣に捕まり、延々長話しに付き合わされ、誠実は気を遣い過ぎて疲れていた。
「あぁ~疲れた……」
敷かれてある布団の上にダイブする誠実。
美奈穂はまだ部屋には帰ってきておらず、部屋には誠実一人きりだった。
時刻は夜の9時、宴会は場所を移動しそれぞれの部屋で二次会が行われていた。
誠実は二次会には参加せず、疲れているので今日はゆっくり休ませてもらうと言って、部屋に戻って来たのだった。
「もう一回風呂にでも入ってくるかな……」
誠実は宴会でボロボロになった心身を洗い流そうと、再び風呂に向かった。
「あれ? おかしいな」
お風呂場に向かって見ると、なぜか男湯だけが閉鎖されていた。
もしかして今の時間は入浴出来ないのかと思い、誠実はフロントに聞きに向かった。
「あぁ、今は男湯の清掃中なんです。今の時間は女湯の方を混浴にして居ますんで、女湯の方に入っていただければ」
「こ、混浴……ですか?」
「はい。あ、大丈夫ですよ、今の時間は入浴する人も少ないですし、それに入浴している人には、こういう看板を掛けさせてもらってるので、誰かが入っていたら浴室に行く前にわかりますから」
「は、はぁ……」
見せられた看板には「男性入浴中」と「女性入浴中」と書かれており、入浴
しているのが男性か女性かがわかるようになっていた。
そうは言われても、高校一年の男子生徒一人で混浴に入るのには勇気が要る。
ましてや入っているのが、自分と同じくらいの女性だったとしたら、その女性からどう思われているのかが気になって、落ち着いて入浴など出来ない。
「どうすっかなぁ……」
風呂場に戻る道すがら、誠実は風呂に入るかどうかを考える。
「う~ん、入りたいけど……混浴だしなぁ……」
風呂場の入り口で、誠実は一人悩む。
しかし、よく見ると風呂場からは誰の気配も感じない。
誠実は誰か入って居ないかの確認の為だけにと、風呂場の脱衣所に入っていく。
「あ、なんだ誰もいねーじゃん」
風呂場は、幸運にも誰も入浴していなかった。
きっと皆、混浴だと抵抗して入浴に来ていないのだろうと誠実は考え、一安心して浴室に入っていく。
念の為にと、浴室の入り口は「男性入浴中」と書かれた札を掛けておき、誠実は湯に浸かりに向かった。
「へぇ~、女湯はこうなってたのか……」
湯に浸かりながら、誠実は男湯との違いなどを発見したりして、入浴を楽しんでいた。
「そういえば、さっきは露天風呂に入り損ねちまったし、露天風呂に行ってみるか……」
結局のぼせてしまって、露天風呂を楽しむ事が出来なかった事を思い出した誠実は、露天風呂に向かう為、湯から上がり、外に通じるドアを開け、露天風呂に向かった。
「おぉ! 露天の方が広いのか!」
露天風呂は中の風呂に比べて1.5倍ほどの広さがあり、しかも今日は綺麗な月が出ており、最高のロケーションだった。
「はぁ~やっぱり温泉は良いなぁ~」
貸し切りの露天風呂に、誠実は大満足で鼻歌を歌い出す。
今回の力の中で、一番心安らぐ瞬間かもしれないと思いながら、誠実は月を見て入浴を楽しむ。
しかし、そんな気分の良い誠実の耳に、中の風呂の方からの物音が聞こえてくる。
「うわ、誰か入ってきたのかよ……」
せっかく貸し切りだったのにと、誠実は残念な思いをしながら、あまり気にしないことにして露天風呂を楽しむ。
そんな時、露天風呂と中をつなぐ扉が開いた。
「うわっ……本当に広……え?」
「み、美奈穂……なんで……」
露天風呂にやって来たのは、体にタオルを巻いただけの美奈穂だった。
一瞬その場の時間が止まったかのように静かになり、そして……。
「きゃぁぁぁ!」
「ま、まかた!! お、落ち着け! もう後ろ向いたから!!」
誠実は、叫ぶ美奈穂に背を向け落ち着かせようと声を掛ける。
「な、なんでおにぃが女湯にいるのよ!!」
「あぁ、お前知らなかったのか……実はな……」
誠実は、フロントで聞いた話を美奈穂にする。
美奈穂も体を隠しながら露天風呂に入り、話しを聞く。
「……てな訳で、今の時間は混浴なんだと」
「そ、そうなんだ……」
「ま、入ってたのが俺だったから、まだ良かったけど」
身内に見られる分にはまだ幾分かはましだろう、これが他人の男だったら、美奈穂は精神的に傷ついたかもしれない。
そう考えると、誠実は混浴に入っていて良かったと考える。
「お前は後ろ向いてろ、俺もう上がるから……」
「べ、別にいいよ……」
誠実が浴槽から出ようとした瞬間、美奈穂は誠実に背中を向けながら言う。
「いや、上がるって……お前も嫌だろ?」
「べ、別に良いわよ……兄妹だし……」
「そ、そうか?」
美奈穂にそう言われ、誠実は再び湯に浸かり始めた。
「……」
「……」
気まずい沈黙が続く中、誠実も美奈穂も何を話して良いかわからなかった。
「あ、あの後何してたの?」
「ん? あぁ……まぁ、いろいろあってな……大変な思いをしたよ、今日一日の中で一番……」
「要するに酔っ払いの相手をしてた訳ね」
「あの人達は?」
「酔っ払って寝てるわよ、私はさっきまで女の子だけで二次会してたけど」
「女子会ってやつな」
「まぁね、皆疲れて眠いから、早めにお開きになったけど……」
随分豪華な女子会だなと思いながら、誠実は何を話していたかを想像する。
きっと男の妄想のような甘い会話ではないのだと言う事は、ここ最近の色々で予想が出来た。
それだけに、なんだかあまり想像したくない。
きっと自分の話も出たのだろうなと思うと、逆に気が重たくなってく。
「ね……ねぇ……見た?」
「だ、大丈夫! 見てな……い」
「一瞬戸惑ったわよね?」
「………」
「まぁ、家でも見られたし、別に気にしないけど……」
「あ、そう? 安心しろって、俺はお前の体で興奮なんかしねーから!」
「それはそれでむかつくわね……沈めるわよ」
「勘弁してください……ごめんなさい」
誠実は現在、宴会会場を後にし自分の部屋に戻って来ていた。
あの後、撮影スタッフの男性陣に捕まり、延々長話しに付き合わされ、誠実は気を遣い過ぎて疲れていた。
「あぁ~疲れた……」
敷かれてある布団の上にダイブする誠実。
美奈穂はまだ部屋には帰ってきておらず、部屋には誠実一人きりだった。
時刻は夜の9時、宴会は場所を移動しそれぞれの部屋で二次会が行われていた。
誠実は二次会には参加せず、疲れているので今日はゆっくり休ませてもらうと言って、部屋に戻って来たのだった。
「もう一回風呂にでも入ってくるかな……」
誠実は宴会でボロボロになった心身を洗い流そうと、再び風呂に向かった。
「あれ? おかしいな」
お風呂場に向かって見ると、なぜか男湯だけが閉鎖されていた。
もしかして今の時間は入浴出来ないのかと思い、誠実はフロントに聞きに向かった。
「あぁ、今は男湯の清掃中なんです。今の時間は女湯の方を混浴にして居ますんで、女湯の方に入っていただければ」
「こ、混浴……ですか?」
「はい。あ、大丈夫ですよ、今の時間は入浴する人も少ないですし、それに入浴している人には、こういう看板を掛けさせてもらってるので、誰かが入っていたら浴室に行く前にわかりますから」
「は、はぁ……」
見せられた看板には「男性入浴中」と「女性入浴中」と書かれており、入浴
しているのが男性か女性かがわかるようになっていた。
そうは言われても、高校一年の男子生徒一人で混浴に入るのには勇気が要る。
ましてや入っているのが、自分と同じくらいの女性だったとしたら、その女性からどう思われているのかが気になって、落ち着いて入浴など出来ない。
「どうすっかなぁ……」
風呂場に戻る道すがら、誠実は風呂に入るかどうかを考える。
「う~ん、入りたいけど……混浴だしなぁ……」
風呂場の入り口で、誠実は一人悩む。
しかし、よく見ると風呂場からは誰の気配も感じない。
誠実は誰か入って居ないかの確認の為だけにと、風呂場の脱衣所に入っていく。
「あ、なんだ誰もいねーじゃん」
風呂場は、幸運にも誰も入浴していなかった。
きっと皆、混浴だと抵抗して入浴に来ていないのだろうと誠実は考え、一安心して浴室に入っていく。
念の為にと、浴室の入り口は「男性入浴中」と書かれた札を掛けておき、誠実は湯に浸かりに向かった。
「へぇ~、女湯はこうなってたのか……」
湯に浸かりながら、誠実は男湯との違いなどを発見したりして、入浴を楽しんでいた。
「そういえば、さっきは露天風呂に入り損ねちまったし、露天風呂に行ってみるか……」
結局のぼせてしまって、露天風呂を楽しむ事が出来なかった事を思い出した誠実は、露天風呂に向かう為、湯から上がり、外に通じるドアを開け、露天風呂に向かった。
「おぉ! 露天の方が広いのか!」
露天風呂は中の風呂に比べて1.5倍ほどの広さがあり、しかも今日は綺麗な月が出ており、最高のロケーションだった。
「はぁ~やっぱり温泉は良いなぁ~」
貸し切りの露天風呂に、誠実は大満足で鼻歌を歌い出す。
今回の力の中で、一番心安らぐ瞬間かもしれないと思いながら、誠実は月を見て入浴を楽しむ。
しかし、そんな気分の良い誠実の耳に、中の風呂の方からの物音が聞こえてくる。
「うわ、誰か入ってきたのかよ……」
せっかく貸し切りだったのにと、誠実は残念な思いをしながら、あまり気にしないことにして露天風呂を楽しむ。
そんな時、露天風呂と中をつなぐ扉が開いた。
「うわっ……本当に広……え?」
「み、美奈穂……なんで……」
露天風呂にやって来たのは、体にタオルを巻いただけの美奈穂だった。
一瞬その場の時間が止まったかのように静かになり、そして……。
「きゃぁぁぁ!」
「ま、まかた!! お、落ち着け! もう後ろ向いたから!!」
誠実は、叫ぶ美奈穂に背を向け落ち着かせようと声を掛ける。
「な、なんでおにぃが女湯にいるのよ!!」
「あぁ、お前知らなかったのか……実はな……」
誠実は、フロントで聞いた話を美奈穂にする。
美奈穂も体を隠しながら露天風呂に入り、話しを聞く。
「……てな訳で、今の時間は混浴なんだと」
「そ、そうなんだ……」
「ま、入ってたのが俺だったから、まだ良かったけど」
身内に見られる分にはまだ幾分かはましだろう、これが他人の男だったら、美奈穂は精神的に傷ついたかもしれない。
そう考えると、誠実は混浴に入っていて良かったと考える。
「お前は後ろ向いてろ、俺もう上がるから……」
「べ、別にいいよ……」
誠実が浴槽から出ようとした瞬間、美奈穂は誠実に背中を向けながら言う。
「いや、上がるって……お前も嫌だろ?」
「べ、別に良いわよ……兄妹だし……」
「そ、そうか?」
美奈穂にそう言われ、誠実は再び湯に浸かり始めた。
「……」
「……」
気まずい沈黙が続く中、誠実も美奈穂も何を話して良いかわからなかった。
「あ、あの後何してたの?」
「ん? あぁ……まぁ、いろいろあってな……大変な思いをしたよ、今日一日の中で一番……」
「要するに酔っ払いの相手をしてた訳ね」
「あの人達は?」
「酔っ払って寝てるわよ、私はさっきまで女の子だけで二次会してたけど」
「女子会ってやつな」
「まぁね、皆疲れて眠いから、早めにお開きになったけど……」
随分豪華な女子会だなと思いながら、誠実は何を話していたかを想像する。
きっと男の妄想のような甘い会話ではないのだと言う事は、ここ最近の色々で予想が出来た。
それだけに、なんだかあまり想像したくない。
きっと自分の話も出たのだろうなと思うと、逆に気が重たくなってく。
「ね……ねぇ……見た?」
「だ、大丈夫! 見てな……い」
「一瞬戸惑ったわよね?」
「………」
「まぁ、家でも見られたし、別に気にしないけど……」
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