グンマー2100~群像の精器(マギウス)
第42話 運動は豚の塔にて 中編
チンっと音がし、エレベータの扉が開く。 左右に立っていた、スキンヘッドの男達が中を覗く。
覗いたが、誰も居らず首を傾げる。 傾げた首は戻らず、男達は床に転がる。
「乙姫さん、殺るのは良いですけど、処分も考えて下さい」
「ゴメンなさい、慣れて無くて」
「慣れて貰っては、困りますけど」
言うのは、グンマー校首席の至誠賢治。 賢治は、左手で刀の柄に触り右手で男達の懐を探す様に触る。 男達は、サラサラと塵に変わる。 右手には、マスターキーらしきカードを持っている。
「相変わらず、証拠隠滅も上手ですね」
「ありがとうございます」
「今ままで、何人依頼で殺ったの?」
「乙姫首席は、今まで食べたパンの枚数を覚えている?」
「10万飛んで500枚だな」
「流石、乙姫首席。私は10分の1です」
そんな会話をしながら、2人は玄関の前に立つ。 賢治は、右手をドアに付け目を瞑る。
「どうやら、狙いの相手は、此処には不在の様です」
「空振りか……一体何処に」
「此処から、入れる所に居ます」
「どういう事だ?」
賢治は乙姫の耳元に、ゴショゴショと呟く。
「そういう事か!」
「先ずは、証拠を抑えましょう」
「分かった」
賢治は、マスターキーで開けると中に入る。
◆ ◆ ◆
部屋の中に、2人は入る。 乙姫は、周りを眺めながら傍の棚を物色する。
「以外に普通だな」
「っと思うでしょ?」
賢治は、玄関に置かれた鏡の両端を押す。 鏡が無くなり、大きな穴が口を開く。
「玄関の鏡にまさか、秘密の扉が有るとは思わない」
賢治は、警戒しながら中に入りライトを付ける。 棚の中に、置かれた本を見る。
「へーこんな趣味が有るんだ」
賢治の声に釣られ、乙姫も中に入り本を覗き込む。
「こんな事を……」
多数の少女達が、縛られ辱められている写真が有った。 ギリッと乙姫の歯切りし音が部屋の中に響く。
「こんな物!破壊してやる」
大剣を出し、乙姫は破壊しようとする。 賢治は、手を出し静止する。
「まって、此れは重要な証拠だ」
「だけど……こんなの残せないよ」
「今は、こらえてね。次は、このパソコンか」
賢治は、置かれているパソコンの電源を入れる。 ディスプレイが点灯し、パスワードを求められる。
「ウーン、パスワードか?凛ちゃんにお願いしよう」
スマホを取り出し、通話を始める。
「分かったー今度お風呂一緒入るよー!だから全力でやってねー」
通話を終えて、パソコンの傍にスマホを置く。 バチッと音がし、スマホからパソコンに電気が走る。
「一緒にお風呂だと……ハレンチだぞ」
「生徒会室のお風呂だけど、男湯だけは女性が入れるんだ」
「決めたのは、お主か?」
「凛書記とその他、女性陣だね」
「ハレンチな」
「オッと解析が、終わったようだね」
パスワードが解析され、情報が次から次へ現れる。 情報には名前や住所、金額等が示されている。
「フーン、色々有るんだね。此処は、凛書記に任せよう」
スマホを取りながら、呟く。
「分かった、次は何処に行く?」
「勿論、捕われの子達を助けに行くのさ」
「分かるのか?」
「勿論、僕の副業を忘れないで欲しいね」
「そうだな」
「その前に、此れの通りに行動してね」
賢治はスマホを渡し、乙姫に見せる。 乙姫が読んで居いる間に賢治は、書棚の本を数箇所引く。
ゴゴゴット音を立て、本棚が移動を始める。 明かりに照らされるのは、上へ登る階段。
「最上階は、50階だけど2階分の高さが有る。51階が」
「成程、そういう絡繰か……」
新六本木ビルの最上階は、50階とういうのが公式データ。 本当は、51階が存在している。
俗にいう避難用の部屋が存在する。 敵が侵入した場合、部屋の凡ゆる所から、逃げられる仕様。
今回は、その避難用の部屋を改築した様だ。
「さて、遊戯の部屋へ!台本は読んだかい?」
「ああ、読んで暗記した」
賢治は、スマホを受け取り、胸の五芒星を叩く。 五芒星が赤く光る。
「さて、突入するよ」
「分かった!」
賢治は、マスターキーを翳し扉を開けた。
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