グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第25話 そして、愚者は行動する★


 日本には、愚者の集団がいる。 長年に渡り血筋とコネだけで、配合された1級愚者。
 愚者は、選挙という必要なイベント時のみペコペコする。 愚者は、当選すると踏ん反り返り国民の陳情など受けれない。
 しかも、万年大臣病に掛かっている。 問題が発生時は、病院に入院する。 大抵は、第一秘書のせいにして逃げる。
 愚者の正体は、政治家という。
 まぁ、それを選んだ国民も愚者である。 衆愚政治という物が、2100年の日本でも存在している。
 しかしながら、良いことも有った。 ビーストの九州上陸で、薩長勢力の政治家が減った。 まぁ、選挙区が無くなれば、県民の代表で無くなる。 薩摩・長州勢力が排されたのは、明治維新以来快挙と言える。
 現在は、愚者の勢力分布は、こんな感じである。 西に、大阪・京都・愛知。 東に、静岡・東京・千葉・栃木・茨城。 っというか此処しか残っていない。
 他の地域は、ビーストに占領されている。
 南日本を監督しているのは、大阪・京都・愛知の関西連合。 北日本を監督しているのは、静岡・東京・千葉・栃木・茨城。
 そして、中央日本を自称しているのがグンマー校。 グンマーは、県内政と海外との外交に集中。 国会には、参加していない。 構図は10年前の群馬県独立グンマーワー戦争以来、変わっていない。
 まるで、グンマーが一国家の様な扱いである。 それを良く思っていないのが、第100代首相の阿倍野見玖須あべのみくす
 <a href="//19656.mitemin.net/i234637/" target="_blank"><img src="//19656.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i234637/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
 10年前の戦争終結時、彼の曾祖父はトイレに篭城した。  曾祖父は世間から非難され、孫だった彼はイジメの対象に有った。 幼少期は、御手洗おてあらいと馬鹿にされイジメられた。
 昼食時にトイレで1人飯を食べている時に、上から水を掛けられる。 上履きの中に、パンを詰められる。 グンマー産のアツアツ蒟蒻こんにゃくを食べさせられる。 嫌いだったネギ、しかも下二田ネギを食べさせられる。
 恥辱に塗れた、人生を送ってきていた。
 10年間草の根運動で、反グンマー運動をして来た。 グンマーは、日本では嫌われた。 一方、世界は、グンマーを何故か受け入れた。
 計画では、グンマーを世界から孤立させる筈だった。 だが、何故か日本が世界から孤立している。
 調査の結果、驚くべき事が分かった。
 グンマーが、各常任理事国と親密に、秘密裏に交流をしていた。 独自開発した武器や情報、物資・人員等を各国に流していた。 時には、各国政権に敵対する要人・テロリスト暗殺まで、請け負っている。
 日本は本土の殆んどがビーストに占領された。 未だに技術国家としては、衰えていない。 っという思いは有った。
 思いは虚しく、グンマーは、高度外装武器ハイペルソナ技術に着手していた。 彼等は、マギウス技術を独自設計・制作し各国に流していた。 北日本で生産されるのは、グンマーが設計した物だった。
 グンマーで活躍しているのは、第1世代の適合者フィッター。 彼等は、幼少期から親元を離れ、英才教育を施された。 当時日本は、何でも出来る、万能な兵士を兵器として作った。 合理的に利他的に、教育し国家への忠誠を誓わせた。
 此処で違う方向に、何が向かった。 グンマー勢は日本の中心がグンマーで、国家だと定義した。 その結果が、群馬県独立戦争グンマーワー
 そして、群馬県独立戦争グンマーワーで、日本は75%の第1世代適合者フィッターを失った。  群馬側は、23%の第1世代の適合者フィッターを変わらず保持。
 適合者フィッターが多数いるグンマー学園都市。 万能兵士による、国家運営を見せられている様な鮮やかな統治。 多数の人を受け入れ続け、10年間で10万人にまで、増やした。
 常に、財政はギリギリで有るが、マイナスでは無い。 少年少女達が運営する割には、適切な経営手腕であった。
 だが、阿倍野見玖須あべのみくすはメディアを使い無能と非難した。 健全な財政化の為に、北日本側に編入する様に、言い続けた。
 既に、グンマー校のHPで明らかにされたがそれは嘘で有った。 彼等は、5年に渡り能登半島を解放後の物資を集めていた。
 自らの手で、能登半島を復興させる。 グンマー校の強い思いが、伺える。
 HPの最後には、政府の援助は期待しないと書かれていた。 このことに、企業・国会は酷く衝撃を受けた。
 開放による甘い蜜を吸うことが、出来ないからである。 常任理事国は、動かない。 動かせる自衛隊の数は、限られている。
 何とかして、グンマー勢の力を削ぎたい彼は、報告書から思いつく。 戦略兵器を破壊すれば良いのだと……。
 「空軍力を使い浅間山に設置された、超兵器を破壊せよ」
 彼は、統合幕僚長に命じる。
 2100年4月17日13時00分の事で有った。
 だが、彼は、知らない……。 既に、浅間山に【例の砲】は無く移動している事を……。 何故なら、彼は衆愚政治国の日本で一番偉い愚者だからで有る。

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