グンマー2100~群像の精器(マギウス)
第7話 お昼屋上にて★
昼休み、誰もが楽しみにしている時間。
カキン、カキンと金属同士がぶつかる音がする。 昼間から刀でも振り回して、いるのだろうか? 音の発生場所は屋上の様だ。
「ケンちゃんに、食べて貰うのは私」
「イヤイヤ、けんじくんに食べさせるのは、私」
「ケン様が食べるのは、私のが相応しい」
朱音と彩華、凛が言い合っている。 箸が互いに衝突し火花を散らす。
当の賢治は、1人で3人の争いを見ている。 そんな彼の元に、とある人物が現れる。
「ごきげんよう、至誠首席様」
「あ、白衣加奈子さん」
金髪ロングヘアに朱い瞳、頭に付けた桜の髪飾りが特徴。 中等部の服を着ており、歳は14歳。 彼女の名前は、白衣加奈子。 首席の親衛隊に属している。
<a href="//19656.mitemin.net/i234553/" target="_blank"><img src="//19656.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i234553/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
「珍しいですね、てっきり前線で準備してると思いました」
「首席殿、既に準備が完了しました」
「分かった、明日の……から進めてくれ」
「本当にされるので?」
「ああ、勿論。春季攻襲の始まり」
「分かりました。首席殿、ほっぺにご飯が付いています」
「とってくれるかな?」
「勿論です」
白衣という少女は、彼の頬に優しくキスをした。 相変わらず、賢治の顔には変化が見られない。
「ありがとう」
ヒュッと風が裂かれ、白衣が立っていた壁に箸が刺さる。
「「「白衣さん!」
「3人ともご機嫌ようです」
「「「じゃないわ!な、何を」」」
「ほっぺに、キスを」
更に白衣は賢治の後ろから抱きつき、3人に笑顔を見せる。
「「「なっつ!」」」
「別に、良いでは無いですか?首席は皆の物です」
赤い瞳を笑わせながら言う。 腰の当たりに付いていた腕が、下の方に移動する。
「「「フフフ、白衣さん甘いですね」」」
「どうかしました?」
「「「今日はお風呂で上せて、服を着せて貰ったの」」」
「首席殿!?本当ですか?」
「ウン、そうだよ」
白衣は、ガクッと地面に両手を投げ出す。
「まさか、そこまで進んでいた何て」
「白衣ちゃんも、生徒会のお風呂入りたいの?」
「エエ良いのですか?」
「碓か、著しい功績を残した生徒は使用を許可するって書いて有った」
「本当ですか?」
「本当だよ」
賢治は生徒会の要項を白衣に見せる。 食い入る様に、見つめた後、決心した顔に変わる。
「不肖、白衣!頑張らせて戴きます」
「頑張ってねー。アーン」
賢治は、白衣の口に、朝狩った鶏肉の唐揚げを口の中に入れる。
「ハッつ!頑張ります」
白衣は敬礼をすると、屋上から飛び降りた。 立っていた所は、バリ・ボッ・カチンっと音がし壊れる。
「「「ちっつ逃がしたか」」」
3人が少女に似合わない形で、言葉を吐く。
「3人とも食べたいのかな?」
賢治は、残りの唐揚げを3人の口に投げ入れる。
サクッ、シュワシュワと音が広がる。
「「「オイシー」」」
絶品の美味しさに、3人は声を上げる。 ビースト化した鶏の肉は、美味しい。 マシュマロの様な柔らかさ、サクッとした卵に衣。
グンマーでは、普通の鶏よりビースト化した鶏が好まれる。 卵は大きく、羽は布団に使える。 骨は大地から集めた鉄分を集めた精神鋼になる。 精神鋼は外装武器素材として、非常に役に立つ。
生物部が養殖しているが、脱走したのが野生化し増えている。 都市の中にいるのは、逃げ出した物である。 捕まえた人には、分解した肉とか卵が貰える。
野生化したビースト鶏は、成人すると3m程まで成長する。 成人した個体が、NEO埼玉に出没した時は基地の機能を全失。 国連軍と在日米軍から、多数の死傷者が出た。
後日、生物部が、駆逐し美味しく頂いた。 美味しさと危険さを孕んだ鶏。 それが、ビースト鶏。
「「「卵焼き食べリュー?」」」
「ウン、食べる」
賢治は、3人の少女達の卵焼きストリームを喰らう。 思わずむせる。
「何んて、最低野郎だ!全美少女達の好意をスルーしたぜ」
「流石、賢者!其処に痺れる憧れる」
壁を壊しながら覗いていた男達が、呟いている。 そして、予鈴が鳴り全員が教室に戻っていく。
「次は、中学生の演習だっけ?」
「「「そうです」」」
「じゃ、片付けて行こうかー」
4人は次の授業への準備を始めた。
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