グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第4話 三つ巴と不幸な調査団★


 グンマーと栃木の間にある日光連山。 100名程の男達が、高速移動をしている。
 「気をつけろ、レーダーに引かかるぞ」
 漢達は背中の装置から推進力を得て、低空で高速移動をする。 ジャケットの上から、緑色のジャケットを羽織っている。 背中に抱くのは、自由の翼では無く【羽根つき餃子】。
 彼等は、日光安全保障局(Nikkyo Security Agency)。  通称、NSAの調査兵団だ。 中年に髭を生やした男が、宙から大地に立つ。
  <a href="//19656.mitemin.net/i234552/" target="_blank"><img src="//19656.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i234552/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
 先に、降りていた若い副隊長に話しかける。
 「副隊長、今日の山の様子はオカシイ」
 「隊長もビーストが現れない事に、疑念を持たれてますか?」
 「そうだ、ビーストの姿が全く見えない」
 「急に、寒くなって来ましたね」
 「桜の時期が、こんなに寒いだとッツ!」
 隊長が、見ていた桜の花が凍り落ちる。 大地が、冷え冷えパリパリ凍り始める。
 「ぜ、全員、外装武器ペルソナを展開!」
 声が発せられと同時、風を切る音がし、大地に何かが刺さる。 隊長が見た先には、青い槍が見えた。
 空を見ると大量のそれが、空を覆っていた。 バシャッ、ドドドド大地に、轟音が響き渡る。 あられひょうでも無く、氷の槍が降り注ぐ。
 ギャ、ボギャ、グハッっと漢達の断末魔が聞こえる。 そんな、断末魔の中で朱音あかねが立っている。
 「栃木人の中に隠れるとは、朱音あかねさん!卑怯では?」
 「彼等に容赦無く氷槍アイスランスとは、人で無し彩華さやかさん」
 「不法侵入する栃木民は、ビーストと一緒!」
 朱音の右目が光り、右手に炎の刀が現れる。
 「人で無しの彩華さやかさんもビーストと一緒、燃えちゃえ!」
 刀を持つ右手を掲げると、ゴゥと音を立て炎の柱が立ち上る。 存在する生命を燃やし尽す業火の中、青いショートヘアが揺れる。
 大きな鎌を振るい、蒼いマギウス光が散乱させる。 彩華さやかの足元が冷え冷えパリパリと音がし、大地が凍る。
 「さて、冷え冷えパリパリと燃え上がってきました」
 「じゃ、次いでに、電電バリバリと行きますか?ドーン」
 巨大なハンマーを持ち、凛が笑顔で振り下ろす。 黄色い閃光が、空から大地に落ち大地を焦がす。
 3人は、別な地位域へ移動を開始を始める。 ムクリと隊長が起き上がる。
 「全く、お前ら……全員大丈夫か……」
 隊長が、覆っていた者を押しのけ起き上がる。 見渡す周りには、多数の倒れた部下達。 押しのけて、横に倒れていた副隊長を起こす。
 「大丈夫か……」
 両手で掴んだ時、ポロっと右腕手が落ちた。
 「腕で落ちても、治療すれば直ぐに生えてくるぞ」
 隊長が、笑顔で言うと副隊長の躰がボロッと分解した。 左腕が、右足が、左足が、頭が……。
 「どうして、なぜ……っ!!」
 隊長は自分の上に何が、イヤ、誰が乗っていたか思い出した 何かが降ってきた時、副隊長が自分を庇った事……。
 「嘘だろ……どうして……」
 「君には、関係無いことさ」
 隊長が振り返った先には、黒い紙に瞳の少年が笑顔で立っている。
 「お前は、グンマー首……」
 ガシッと口を左手で塞がれる。
 「賢治だよ。栃木の気配で、来てみた。許可無き越県行為は、死刑だよね」
 「ムグググ(降参する)」
 「うん、分かる。くっ殺せという奴だね」
 「モゴゴグゴ(違う、降参)」
 「死して、屍拾うもの無し。流石、栃木部隊!敬意を表し葬ろう」
 賢治は、右手で刀の柄に触る。
 「ムゴゴゴ!(な何を!)ムゴゴゴ(なんだと)」
 隊長の躰が、パラパラと白い粒子に変わっていく。 足の先、下半身、胸、両手、首まで来た。
 「さような、栃木さん。来世で、ご機嫌よう」
 「貴様!!グンマーっつ」
 左手から投げられ隊長の首が、呪詛の言葉を投げパラパラと消える。
 「さて、残りの燃えるゴミも処分しないと」 
 呻き声を上げる隊員達の方を眺め、刀の柄を持つ。 一閃の光が大地を覆い、誰も居ない大地に変わる。
 「さて、3人には授業前に、お風呂に入る時間ですね」
 賢治はスマホを取り出し、3人に連絡を入れ始めた。

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