10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?

慈桜

32

「どうだ?時田さん!造れそうか?」
 吸魔の腕輪で吸い続けた魔素は尋常では無い。 何故なら、あの師匠の側で10年間魔素を吸い続けた物だからだ。 幾度と無く形状を進化させ、今の籠手のような腕輪になったのだが。 俺はあの直後トキタサンのレベルが100になるまで魔素を流し続けた。 急激な魔素の吸収でゲロまみれになりながら泡を吹いて倒れた時は焦ったが。 三日もするとすっかり回復したようだ。
「えぇ、製造は可能になりました…しかしですね…素材が心許ないのです」
「ほう、何が必要なんだ?」
 トキタサンの能力は凄まじかった。零戦を製図におこすと、それに必要な材料が浮かび上がるのだ。 夢想の鍛冶屋バージョンと言っても良いだろう。
「火竜の心臓核と骨です…必要となるのはまだまだ先で…一応一つずつはあるのですが…もし故障などすれば…」
 なるほどな。試作機からぶっつけ本番って事になるわけか。 誠に不本意だが、俺のフェアリーランドから素材提供をするのは仕方ない事だろう。 それに俺は、この製造を皮切りにそれ行けリブラ空軍を設立しようと思っているしな。 材料提供と技術提供でwinwinだろう。
「それなら俺が提供しよう。いくらでも在庫はある。」
「………助かります。」
「礼には及ばん。それにだな、下調べしたんだがここより三日程の火山周辺にも大規模な火竜のネストがあるようだしな、ゴブリン共に狩らせるのもいいだろう。」
「心強い限りです。では、早速工房にこもらせていただきます」
 ゆっくりとした喋り方が特徴のトキタサンは魔素で建築した倉庫の中に歩いて行く。
「あっ…あの…」
「うん?確か…にゃんこだったか?」
 コクリと頷くにゃんこにゴクリと生唾を飲み込んでしまう。 なんでかって? 猫耳に猫しっぽのモフモフ幼女だぞ?なぜ仮想体で幼女を選んだのかは問い詰めていない。 俺はこの娘だけは遠ざけてきた。 なのに本人から寄ってきてしまったのだ。 ケモミミ幼女だぞ?もっふもふだぞ?耐えれるのかコラ。
「どうしたんだい?そんな戦闘力53万の君に悩みでもあるのかい?」
「うっ、えっ?ごじゅうさんまん?」
「気にしなくていい、どうかしたのか?」
「えと…その…ゴブリンの学校を作りたいとゆうか…ふみゅ」
 ほう。ゴブリンの学校とな? いや不可能だろ。 あいつらは戦闘民族だ。 居眠りをしてコックリした瞬間に横の奴に頭突きでも入れただけで殺し合いに発展するぐらいの低脳達だ。 戦士達クラスの進化した個体ならば或いは可能かもしれないが、あいつらは既に覇道を歩み始めた修羅達だ。 勉強なんてできっこない。
「なんで学校を作りたいと思ったんだい?」
「えと…その………ごめんなさい!!」
「えぇぇぇーーーー!?そこであやまるぅぅ???」
「ちがっ、違うんです…あのボク…隠し事してて…その」
 突然ボクっ娘猫耳モッフモフにゃんこは号泣し始めた。 いいよな?これ、もういいよな?
 俺は堪らず抱きついて耳と尻尾をまさぐりまくったった。
「あうっ、ひゃ、めぇー、らめぇー、うぐ」
「泣かなくてもいい、どんな隠し事をしていても許すから話してくれないか??」
 プルプル震えていたにゃんこは深く頷くとステテテテと走って逃げて行った。 直後。とんでもない光景が目に飛び込んで来た。 5歳ぐらいの少年2名と少女1名が猫耳モッフモフ娘と共に走ってきたのだ。
「どゆこと??」
「ゴブリンの子供とリブラさんの研究所でかくれんぼしてたら…みんな人になっちゃったんです……」
 どう言う事だ? まぁ、不可視の仮想体を戸締まりもせずに放置していた俺が悪いのは言わずもがな、それはいいとして、魔魂憑依を猫耳が行ったと言うのか?いや、不可能だ。マキちゃんとやらに聞いたらそんな魔法は無いと言っていた。 考えられるとしたら強制融合か。 まだ定着してまもない幼生の魂だった為に起きた事故かもしれない…だが。 こいつらを調べれば、あの仮想体の穴を調べられるかもしれない。
「良いだろう。こいつらの教育機関を設けてやる」


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