10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?
13
空が明るみ始め、まだ生きている個体には回復魔法を施していく。 この身体では四肢欠損の修復は出来ないが骨の修復程度なら容易い。
「かたじけない」
デカゴブリンが小さくなり申し訳なさそうに肩を潜める。
「俺は一向にかまわん。」
始めて見る魔法に驚きを隠せない様子のデカゴブリン。 さっきの生意気は許してやろうと思う。 もうビビっちゃってるしね。 そこで厳つい顔でイーシェンが食い気味に前に出る。
「じゃあ、約束通り俺に忠誠を誓え」
「喜んで、この命イーシェン様の為に。」
ゆっくりと頭を下げる様に、俺も小さく頷きイーシェンも感慨深く頷く。
「じゃあ主、この者に名を与えてもらえないかな?」
「え?あぁ、うん。じゃあ、二星でいんじゃね?」
そのうち願い叶えるドラゴン呼べたりしてね。
「ありがたき幸せ。」
デカゴブリンことリャンシェンと配下の兵34、雌12、子供20がイーシェンの配下となる。 全員の肩に言語理解の紋様が刻まれている事を確認するとイーシェンが口を開く。
「主、良かったら先日のゴリラをこの者達に与えても?」
「おっ?いいよー」
目の前に赤ゴリラの死体を積み上げると腰を抜かすゴブリン達。 いや、イーシェン…お前までビビってどうする。 だが、驚きも束の間、痩せ細ったゴブリン達は一心不乱に肉にかぶりつく。
「では主、次はどうする?」
「うーん、そうだなぁ。リャンシェン、この近くにゴブリンの集落はあるのか?」
別にゴブリンじゃなくてもいいけどとは言わない。
「ええ、ここから北へ進むと渓流があり、その先はゴブリンアーチャー、石弓のゴブリンの集落があります。東はこちらと似たようなゴブリンの集落がありますが間の道中は熊と狼が出ます。後は小さな集落が点在するぐらいで…俺の情報ではそれぐらいしか」
「いや十分だ……なるほどな…どっちにしろ今の勢力では心許ないって事か。」
一匹二匹ならまだしも、こんだけの大軍で狩りなんぞ行っても被害が増えるだけだ。 子供のゴブリンはさっきの食事で大分身体がデカくなったが…それを入れても戦力としては50程度か。 西のゴリラ東の狼と熊……。
「北は?北の石弓のゴブリンの所に行くまでは魔物の群生地は無いのか?」
「ええ、北は家畜地帯と呼ばれる狩りの楽園です。比較的弱い動物や魔物が群れています。でもそれを目掛けてたまに強力な黒豹が現れます。」
それは賭けの要素がデカイな。 そうなれば一度南にある俺の土地まで戻るか? いや、それは折角の遊びが台無しになる。 そうなればイーシェンとリャンシェンを筆頭に被害覚悟で赤ゴリの壊滅に乗り出そう。 吸収できる魔素が少なくなる分、イーシェン程の進化は出来ないだろうがホブゴブリン程度にはなってもらったほうが後々の戦力的に楽だろう。
「よし、西を喰らおうか。」
その一言にイーシェンが吠える。
「西に行くぞぉぉぉ!!!」
「「「ウオォォォォ!!!」」」
本来であれば避けるはずの西への道だが、こちらは赤ゴリだけを気にするだけでかなり楽だ。 食料の面でもかなり大量にバナナのような果物や林檎に似た果物を見かけた為、こちらを制覇するのは駒を有利に進める事が出来るだろう。
と、甘い事を考えていたおいらをお許しください。
「うわぁぁぁ!!!後方!赤ゴリだぁ!!!メスがやられた!!」
「俺が行く!!!」
木の上から不規則に襲いくる赤ゴリに俺達は大幅に戦力を削られる。 その度にイーシェンかパワーアップしたリャンシェンが向かうのだが。
「主、ここは一度撤退を。」
「いや、多少の被害は仕方ない。ここらで一度赤ゴリを殲滅して西に追いやろう」
「我も主様に賛成だ。未踏の西の地をここまで占有出来るのは、この先かなり強みになる」
そこに150cm程に成長したゴブリンが駆け寄る。
「報告します!!先ほど撃破した個体の腹から赤ゴリの子供が出て来ました。生存は3!!」
子持ちか。昔にやったRPGのような狼に乗るゴブリンならずゴリラに乗るゴブリンライダー的な部隊が作れるのではないか?
「どうします??」
「…ふむ、育てれるか?」
「それが命とあらば!!」
深く頭を下げる下っ端を見て少し笑いがこぼれる。
「ではお前達の兵力としてその赤ゴリの幼生体を育てよ!!」
「はっ!!仰せのままに!!」
マッピングで確認する限りゴブリンの集落に接収する西の地に生体反応は無い。 ここまで縄張りを広げれたと取っていいのか。 油断は禁物だが、今は暫し休憩が必要だろう。
「よし、ここらで少し休む。イーシェンとリャンシェンは兵を二部隊に分け交代で守備を固めろ。」
「御意」
「了解した」
この間に赤ゴリの毛皮を魔法でなめしてゴブリン用の衣服を作る。 赤い毛皮を着た蛮族みたいになるだろうがイチモツをほっぽり出しているよりは幾分マシだ。 魔力の糸と魔力の針で加工していけばある程度の時間さえあれば容易く作る事ができる。 後は武器だ。 俺の本体に戻れば、それこそありえない程の戦力増強を望めるがそれはナンセンス。 共に同じ条件下で戦うからこそ意義がある。 そこで用意したのは木を加工した槍だ。 錬金術と魔術様々だが、丸太を圧縮して硬質化させてから先端を鋭利に削り重量を感じさせないように付与式を織り込み加工した。 これで並のゴブリンの槍仕事でも赤ゴリに通じるようにはなったのだが、現状ではその数をかなり減らしてしまった。 雌が6匹と兵が33…ここらで一度繁殖させる必要があるだろう。 ゴブリンは受精翌日に子を生む。そして約3日程で子供の大きさになり一週間程度で成体になる。 だが、3日、4日目程度の大きさのゴブリンに赤ゴリを食わせ続ける事によって今では立派な槍仕事ができる兵になっている事を鑑みて、食料次第では回転率の高い兵の増殖が可能では無いかと考えている。
そこでさりげなくマッピングをすると西から敵意を持つ赤い表示の魔物の群れがこちらに向かってくるのを確認する。
その数およそ100。
これはまずい。
俺が前に出ても壊滅は免れないだろう、幸いして距離はかなりある。
「撤退!!撤退するぞ!!急げ!!!」
「主さん!!どうされたので??こちらに残ると決めたのでは?」
「赤ゴリが凄まじい速度でこちらに向かっている!!その数100を超えている!!メスを優先して逃がし集落まで一気に駆けろ!!」
「なっ?!わかった!!イーシェンに声をかけにいきます!!主も逃げてくれ!!!」
「アホか!俺が殿を受け持つ!!お前らはさっさと逃げろ!!!!」
さぁてここが正念場ってやつですかい。
「かたじけない」
デカゴブリンが小さくなり申し訳なさそうに肩を潜める。
「俺は一向にかまわん。」
始めて見る魔法に驚きを隠せない様子のデカゴブリン。 さっきの生意気は許してやろうと思う。 もうビビっちゃってるしね。 そこで厳つい顔でイーシェンが食い気味に前に出る。
「じゃあ、約束通り俺に忠誠を誓え」
「喜んで、この命イーシェン様の為に。」
ゆっくりと頭を下げる様に、俺も小さく頷きイーシェンも感慨深く頷く。
「じゃあ主、この者に名を与えてもらえないかな?」
「え?あぁ、うん。じゃあ、二星でいんじゃね?」
そのうち願い叶えるドラゴン呼べたりしてね。
「ありがたき幸せ。」
デカゴブリンことリャンシェンと配下の兵34、雌12、子供20がイーシェンの配下となる。 全員の肩に言語理解の紋様が刻まれている事を確認するとイーシェンが口を開く。
「主、良かったら先日のゴリラをこの者達に与えても?」
「おっ?いいよー」
目の前に赤ゴリラの死体を積み上げると腰を抜かすゴブリン達。 いや、イーシェン…お前までビビってどうする。 だが、驚きも束の間、痩せ細ったゴブリン達は一心不乱に肉にかぶりつく。
「では主、次はどうする?」
「うーん、そうだなぁ。リャンシェン、この近くにゴブリンの集落はあるのか?」
別にゴブリンじゃなくてもいいけどとは言わない。
「ええ、ここから北へ進むと渓流があり、その先はゴブリンアーチャー、石弓のゴブリンの集落があります。東はこちらと似たようなゴブリンの集落がありますが間の道中は熊と狼が出ます。後は小さな集落が点在するぐらいで…俺の情報ではそれぐらいしか」
「いや十分だ……なるほどな…どっちにしろ今の勢力では心許ないって事か。」
一匹二匹ならまだしも、こんだけの大軍で狩りなんぞ行っても被害が増えるだけだ。 子供のゴブリンはさっきの食事で大分身体がデカくなったが…それを入れても戦力としては50程度か。 西のゴリラ東の狼と熊……。
「北は?北の石弓のゴブリンの所に行くまでは魔物の群生地は無いのか?」
「ええ、北は家畜地帯と呼ばれる狩りの楽園です。比較的弱い動物や魔物が群れています。でもそれを目掛けてたまに強力な黒豹が現れます。」
それは賭けの要素がデカイな。 そうなれば一度南にある俺の土地まで戻るか? いや、それは折角の遊びが台無しになる。 そうなればイーシェンとリャンシェンを筆頭に被害覚悟で赤ゴリの壊滅に乗り出そう。 吸収できる魔素が少なくなる分、イーシェン程の進化は出来ないだろうがホブゴブリン程度にはなってもらったほうが後々の戦力的に楽だろう。
「よし、西を喰らおうか。」
その一言にイーシェンが吠える。
「西に行くぞぉぉぉ!!!」
「「「ウオォォォォ!!!」」」
本来であれば避けるはずの西への道だが、こちらは赤ゴリだけを気にするだけでかなり楽だ。 食料の面でもかなり大量にバナナのような果物や林檎に似た果物を見かけた為、こちらを制覇するのは駒を有利に進める事が出来るだろう。
と、甘い事を考えていたおいらをお許しください。
「うわぁぁぁ!!!後方!赤ゴリだぁ!!!メスがやられた!!」
「俺が行く!!!」
木の上から不規則に襲いくる赤ゴリに俺達は大幅に戦力を削られる。 その度にイーシェンかパワーアップしたリャンシェンが向かうのだが。
「主、ここは一度撤退を。」
「いや、多少の被害は仕方ない。ここらで一度赤ゴリを殲滅して西に追いやろう」
「我も主様に賛成だ。未踏の西の地をここまで占有出来るのは、この先かなり強みになる」
そこに150cm程に成長したゴブリンが駆け寄る。
「報告します!!先ほど撃破した個体の腹から赤ゴリの子供が出て来ました。生存は3!!」
子持ちか。昔にやったRPGのような狼に乗るゴブリンならずゴリラに乗るゴブリンライダー的な部隊が作れるのではないか?
「どうします??」
「…ふむ、育てれるか?」
「それが命とあらば!!」
深く頭を下げる下っ端を見て少し笑いがこぼれる。
「ではお前達の兵力としてその赤ゴリの幼生体を育てよ!!」
「はっ!!仰せのままに!!」
マッピングで確認する限りゴブリンの集落に接収する西の地に生体反応は無い。 ここまで縄張りを広げれたと取っていいのか。 油断は禁物だが、今は暫し休憩が必要だろう。
「よし、ここらで少し休む。イーシェンとリャンシェンは兵を二部隊に分け交代で守備を固めろ。」
「御意」
「了解した」
この間に赤ゴリの毛皮を魔法でなめしてゴブリン用の衣服を作る。 赤い毛皮を着た蛮族みたいになるだろうがイチモツをほっぽり出しているよりは幾分マシだ。 魔力の糸と魔力の針で加工していけばある程度の時間さえあれば容易く作る事ができる。 後は武器だ。 俺の本体に戻れば、それこそありえない程の戦力増強を望めるがそれはナンセンス。 共に同じ条件下で戦うからこそ意義がある。 そこで用意したのは木を加工した槍だ。 錬金術と魔術様々だが、丸太を圧縮して硬質化させてから先端を鋭利に削り重量を感じさせないように付与式を織り込み加工した。 これで並のゴブリンの槍仕事でも赤ゴリに通じるようにはなったのだが、現状ではその数をかなり減らしてしまった。 雌が6匹と兵が33…ここらで一度繁殖させる必要があるだろう。 ゴブリンは受精翌日に子を生む。そして約3日程で子供の大きさになり一週間程度で成体になる。 だが、3日、4日目程度の大きさのゴブリンに赤ゴリを食わせ続ける事によって今では立派な槍仕事ができる兵になっている事を鑑みて、食料次第では回転率の高い兵の増殖が可能では無いかと考えている。
そこでさりげなくマッピングをすると西から敵意を持つ赤い表示の魔物の群れがこちらに向かってくるのを確認する。
その数およそ100。
これはまずい。
俺が前に出ても壊滅は免れないだろう、幸いして距離はかなりある。
「撤退!!撤退するぞ!!急げ!!!」
「主さん!!どうされたので??こちらに残ると決めたのでは?」
「赤ゴリが凄まじい速度でこちらに向かっている!!その数100を超えている!!メスを優先して逃がし集落まで一気に駆けろ!!」
「なっ?!わかった!!イーシェンに声をかけにいきます!!主も逃げてくれ!!!」
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