その先にあるもの

お餅もちもち

絡みつく

彼女の生まれてから現在に至るまでの
様々なエピソード。
私は何も話しかけていないのに、自発的にベラベラと一方的に喋ってくるのだ。

そういえばね…
なんて感じですぐに始まる。
ちょっと時間があればすぐに。

父親の悪口や、実家の貧乏話は何度も何度も繰り返し繰り返し語られる。
今までの男性遍歴や、学生時代の部活動の話。離婚の時の修羅場。
昨日スーパーで何を買ったか。
晩御飯は何を作ったか。
話す時はいつも初めて話すかのように。
台本があって、台詞が決まっているのか?

それは私も同じか。いつものように愛想よく相槌を打つ。初めて聞くと行った風な顔をして、台本にあるように。
柔らかい微笑みを浮かべて。

彼女は誰に対してもそうだった。
とにかくよく喋る。なんでも話してしまう。普通は隠すであろう性的な事や、金銭的な事まで詳らかに。
だから彼女の事は皆がよく知っている。
うんざりするぐらいに。

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