人類滅亡と水の国

結城成藍

 シャチについて行くと、一際明るく眩しい場所が見えた。
 光に向かって進むと「バシャリ」と音を立てて、水面を破った。

 酸素が、溢れている!

 思いっきり息を吸うと、肺に酸素だけが染み渡った。これで1週間くらい生活出来そうだ、と思った。
 水中で泳いでいるシャチにお礼を言うために、潜った。

「やっパリ、ウエに行きたいと言うの? きっと……アナタの思うセカイとは違うウわよ?」

 少し考えて、頷いた。外の酸素は美味しくて、やはりずっと海にいることに違和感を感じたのだ。

「……そう。アナタが、コチラへ戻ってきたいと思ったとして。ウエでニンゲンと話してしまったら、アナタはケッシてコチラへ来てはいけない。それだけハ覚えてオイテね」

 シャチの言葉に頷いて、もう一度水面を破った。陸に向かって泳いでみれば、やはり自分は人間だと感じる。
 酸素が美味しくて仕方ない。

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