腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

54話 You are my best friend

第一印象は…



…何このガキ。



…だ。




だって考えても見てくれ。神様?異世界転移?そんなこと言うガキ信じられるわけないだろ?だけど…このガキは俺の心を読んだ。
チートをくれるらしい。
だから俺は頼んだんだよ。

「魔法を使えるようにしてくれ!」

…ってな。
もしあの時別のお願いをしていれば…あの時別のお願いをしていれば…俺はクラスメイトに裏切られることなく…いや、英雄として迎えられていたかもしれない。
もしあの時ほかのことを頼んだら…俺は…クラスメイトに…顔馴染みの江ノ島…。
…小宮達に復習する道を選ぶことなんて無かっただろう。



…でも…



もしあの時俺が別のお願いをしていれば…俺は…



…姉貴達と敵対することになっていたかもしれない。

ベル姉さんを…泣かせたかもしれない。

何より…

ミーシェに出会うことは無かったかも…いや、無かっただろう。
後悔なんてない。
俺は偽善をするくらいならば…悪に染ってでも自分の信じた道を進む。俺が信じたのはミーシェだ。


だけどな…エト。
俺はお前も




…信じてたよ。





「はぁ…はぁ…笑ったね〜…優君…。」
「…ああ。」
「…ねえ優君。」
「ん。」
「もし…もし僕が君に死んで欲しくないって言ったら…戦うのを辞めてくれるかい?」
「…辞めねえよ。第一俺は死なねえ。」
「ふふ…言ってくれるねぇ。」
「腹…括ったか?」
「そうだね。僕は一瞬だけ…君を殺したくないって思ったよ。でも…それは僕の理想の前ではただの邪魔。つまり僕の理想に君は必要ない。」
「…そうか。」
(そうか…そうだよな。だけどな…エト。俺の理想の前でお前は…)


「そろそろ遊びは終わりにしようか…。優君。」
「…ああ。」



ギンッ!!!



最初の時のように刃が交わる。
しかし先程のような楽しげな雰囲気は無い。
お互い本気で殺しに来ていた。
「っ…!」
「…!」
「ふっ!」
「!」
優の周りに何本もの剣が現れる。
「…ブラックホール!」
その剣を全て押し殺す。
「やるね…これならどお…!…絶断!」
「それはさっき見たぜ…!」
優は少ない動きでそれを躱す。
「雷神斬!」
「よっ!」
エトは剣で受け止める。
パチン!
エトが指を鳴らすと地面から機関銃が現れる。
「っ…イージスの盾!」
一斉に発砲される機関銃。
その弾幕を結界魔法で防ぐ。
「よく反応したね。まだまだ行くよ?」
エトが指を鳴らすと優の下の地面から槍が飛び出す。
「っ…!」
「あ、そこからも来るよ〜。」
「っ?!」


ポタタ…
「っ…。」
優の肩から血が落ちる。
「良く躱したね。」
「そんなの反則だろ…。」
「僕の魔法は創造魔法。僕の思い描いたものを作り出すことが出来るのさ。」
「!…チートだろ…。」
「例えば…こんなのとか!」
「!」
巨大な巨人が2体現れる。
「…」
「やっちゃって。」
「グガァ…」
「ゴゴ…」
2体の巨人が優に迫る。
「…」



ザン…



「!」
「グガァ!!!」
「ゴ…ゴゴ…」
次の瞬間2体の巨人は真っ二つになった。
「…こんなもんで俺を殺せるとは思っちゃいないはずだ。」
「…ふふ。そうだね…。そう来なくっちゃ。」
「俺も行くぜ?…エト。」
優の頭から角が現れる。
「ふふ…いいねぇ。」
優は一瞬で距離を詰める。
「!」
胸ぐらを掴み、エトを地面に叩きつける。
「ぐっ…」
「…」
角にエネルギーが凝縮され、巨大な炎を玉を作り出す。
「…死の煉獄ヘル・ファイア。」
「ふふ…そう来なくっちゃ。」
炎はエトを包み込んだ。




「…当たったと思った?」
「!…お前…どうやって?」
「僕を誰だと思ってるの?万物神エーテリアだ。その程度の炎で僕の身を焦がせると思っているなら君は自分を過信しすぎだ。」
「っ…」
優はさらに炎を放つ。
「言ったはずだ。」


…ふぅ。


「!?」
エトは炎を息で吹き消す。
「僕には効かない。」
「…おいおい…マジかよ…。」
「君は確かに強いよ…優君。でもね、その力…あげたの誰だと思ってんの?」
「…」
「僕と君とじゃ明確な力の差があるんだよ。君に僕は倒せない。」
「…力の差…か…。」
「分かってきたかな?」
「そうだな。確かにお前は俺よりも何倍も強い。でも…俺が諦めると思うか?」
「思わないよ。ミーシェちゃんのためなら君は化け物になるような男だもんね…。」
「よく分かってんじゃねえか。そら、構えろ。まだまだ戦いはここからだろ?」
「いいよ。敬意を持って君の相手をするよ。」
(そうだ…それが僕が君にできる最大のお礼。僕を楽しませてくれてありがとう。優君。)



「…君は僕の…最高の友人だ。」




何日も投稿出来ずにすいません!
特別編の方も更新しやした!
フォローorコメントよろしくお願いします!

コメント

  • ノベルバユーザー515118

    今更だけど題名好き

    1
  • ばけねこ

    こんな白熱した戦いの原因を遡ると、一番の原因がトイレに行きたかったなんて誰も思わないだろう

    7
  • HARO

    次回を楽しみにしてます!

    2
  • KIA

    また最初みたいな戦いが始まって来ましたね!

    2
  • かつあん

    泣いた。どっちも良い奴なのに、自分の理想のためにお互いを傷つけあわないといけないなんて...次回が決着か?どうなるのか!

    2
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