腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

12話 実力の一端

ピルーク王国
「藤山…。」
陸が優に話しかける。
「君のパートナー…ミーシェのことは本当にいいのか?」
「…なんだ?あいつの戦力も必要か?」
「いや…君の選んだ選択なら僕は特に反論はないさ…。」
「そうか…。」
「…藤山くん…彼女の事…泣かせてないでしょうね?」
「っ!…な、なんでそれを?」
「…はぁ…あなた達やっぱり…似たもの同士ね…。」
「「はぁ?!」」
「藤山は分かるがなんで僕まで…」
「俺は別にな、泣かせたなんて言ってねえだろ?」
「…反応見ればわかるわよ…。」
「っ…」
「…さ、各国の王様達が来たみたいよ?」
「…ああ。」


「約束通り藤山優…あなたを信じましょう。」
ギリース王国女王ルリが口を開いた。
「あなたには恩もありますしね…。」
「…貴様と手を組むのは癪だが…リクが信じるのならば我も信じよう。」
ベリアも賛同する。
そうしてほとんどの国のものが優が加わることに賛同するのだった。
しかし…

「我が国は藤山優が味方など有り得ん!」
「そうだ!小宮陸…貴様血迷ったか?」

真っ向から反対する国もあった。
ロキア帝国である。
「まだ認められんか…言っただろう?藤山優のパートナーであり、魔神の妹ミーシェは我が国タイアリアで捕虜として預かっておる。」
「それだけでは信用に至らん。」
「なら逆に俺はこれ以上何を出せってんだよ?ミーシェより大事なものは俺にはないぞ?」
「そんなことは聞いていない!どんな条件を出そうと我々は貴様など信頼できるか!」
「騎士団長コリン…。」
「小宮陸…貴様もどういうつもりだ?憎いはずの藤山優と手を組むなど…」
「僕は藤山のことを恨んでなんていない。」
「…なんだと?友である勇者のことをなんとも思っていないのか?」
「…君には関係ない。」
「っ!ふざけるなぁ!貴様なんかにこの世界の命運を預けられるか!」
「…そんなこと言って…貴様は小宮陸に嫉妬しておるんじゃなかろうな?」
「!」
クレイサンダーの一言に固まるコリン。
「お、俺は…」

ダンッ!

会議室のドアが思い切り開いた。
「何事じゃ?今は会議中じゃぞ?」
「た、大変です!ピルーク王国上空に巨大な要塞が…!」
その一言でクレイサンダー、サラは凍りつく。
「要塞?まさか…」
「来おったか…」
「来た?」
「ああ…紛れもない…あれは…」
「…古代兵器…ヒュベリオン…。」

「よ、要塞から約100体の魔族がなだれ込んでいます!」
「っ…!このタイミングで仕掛けてくるとはね。」
「…トップを潰したいってことかしら…?」
「どうだろうね…。話してる時間はない。行くぞ。由希。」
「…ええ。」
「待て。」
「「!」」
それを止める優。
「藤山…何を…」
「誰だっけ?騎士団長の…コリン?」
優はコリンに話しかけたのだ。
「な、何の用だ?」
「このピンチ…俺が何とかしてやるよ。それで信じてくれるか?」
「なんだと?貴様に何が…」
「まあ見とけって。小宮、松山。悪いが今回の敵は俺がもらう。」
「わかった。」
「…気を付けて。」
「ああ。」


ピルーク王国の入口にある門の前で構える優。
「ユウ…あなた魔法で一掃する気?街への被害も考えてちょうだいね?」
「分かってるさ。今回はこれだけだ。」
優はナイフを2本取り出す。
「たく…また無茶して…ミーシェに怒られるわよ?」
「力を見せるにはこれがいい。」
「分かったわよ。気をつけてね?」
「はいよ。」

その様子を遠くから眺める各国の代表者達。
「あの数をナイフ?あの男はやはり愚か者のようだな。」
バリオスが馬鹿にするように鼻を鳴らす。
「…この機会だ…はっきり見ておくといい。藤山の実力を。」
その言葉を返すように陸が告げた。


「ふぅ…。ナイフって久しぶりだな。」
優は手の平でナイフを回し呟く。
そのタイミングで魔族の群れが姿を現す。
「魔人族に…魔物に…色々いるな。」

「殺せー!」
「全てはハーディス様のために!」
「クギャア!!」

「っし…行くか…!」
その瞬間優の姿が消える。

「!…なっ!」
魔族の男が驚きの声を上げた時には意識が途切れる。
ズバッ!
バシュ!
ザシュッ!
「殺せぇ!!」
一斉に魔物が飛びかかるが優は特に反応を示すことも無く素早いナイフさばきで1体ずつ確実に命を刈り取り、群れの真ん中に切り込んで行く。そのナイフさばきは見ていたものを魅了するように鮮やかなものだった。
魔族や、魔物の鮮血が飛び散る。
スパッ!バシュッ!ズバッ!
「止めろぉー!!」
しかし優は止まることなく切り刻んで行く。


「つ…強い…!」
ベリアが思わず口に出す。
「…あれが…藤山優の実力…!」
コリンは悔しそうに拳を握った。
「もう分かるだろ?この世界の為にも…藤山の力は必要不可欠だ。」
「…くそ…!」
魔物の数はあっという間に半分を切った。

「これでラスト…!」
優は最後の魔物の首を落とす。
「ふぅ…」
優は代表者達の方に向き直る。
そうして顔に飛び散った血を拭う。

「…これで信頼してもらえたか?」
「っ…!しかし…!」
「まあそうだよな…。」
「!」
優の姿がその場から消える。

「…俺にいつ殺されるか…お前には分からないもんな…。」

いつの間にかコリンの後ろにいた優は肩を組むようにコリンの肩に手を回し、ナイフを首に添えた。
「…お前が怖いのは邪神か?それとも…俺や姉貴か?」
「っ…!」
「どの道選ぶのはお前だ。別に俺を信じてくれなくていい。だが俺の邪魔はするな。邪魔しない限りは俺はお前達ロキア帝国には何もしないさ。」
そう言って優はコリンから手を離す。
「さて…俺は戻らせてもらうぜ。着替えたいしな…。」
そう言って優は城の方に歩いていった。

「ふぅ…一年経ってもあの強さにあの殺気か…。やっぱり君は君だね…藤山…。」




遅くなっちった。てへっ

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コメント

  • にせまんじゅう

    ボクも見るの遅くなっちゃった
    テヘッ(すみません)

    0
  • かつあん

    ユウ強ー!すぐ終わっちゃったよ...

    てへっ←かわいい

    4
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