腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

8話 気持ちと思惑

ピルーク王国訓練所
そこで朝早くから素振りをする陸。
「ふぅ…。」
陸は一旦素振りを止め息をつく。
「…お疲れ様。」
「由希…。」
訓練所にやってきた由希が陸にタオルを渡す。
「…頑張りすぎよ。休憩しましょ?」
「そうだな…。ありがとう。」
そう言ってタオルを受け取った。


「…ねえ陸。」
「ん?どうした?」
「…私達は藤山くんを許したってこと…だよね?」
「…」
「…許して…いいと思う?」
「由希…やっぱり君はまだ藤山のこと…」
「…正直思うところはある。でも…藤山くんにも言った通り私たちには彼を憎む資格なんてない。あの時藤山くんのことを信じてあげられなかったのは…私たちだもん。」
「そうだな…。」
「…あの時藤山くんを信じてたらって…今でもすごく後悔してる。美琴や菜々…クラスメイトが藤山くんに殺されることなんてなかった。全員救えた。そして何より藤山くんを救うことができたと思う。」
「由希…藤山の強さの源はなんだと思う?」
「…私たちへの復讐心?」
「そうだな、僕もそう思っていた。」
「…思ってた?」
「1年前、藤山と再開した時、藤山は魔神の妹、ミーシェと一緒にいた。」
「…そうね。」
「僕が思うに藤山の力の源は魔神の妹にあると思う。」
「…何が言いたいの?」
「つまり僕達が藤山のことを信じていたら藤山は魔神の妹と出会うことは無かったという事だ。もし藤山が魔神の妹と関わりを持ったことであれほどの力を手に入れていたとしたらもし僕達が信じていたら…言い方はあれだが無能なままの藤山になるという事だ。…もし藤山がいなければ僕達はアーメルで巨人に襲われた時に死んでいる。」
「!…藤山くんを裏切ったのが正しいってこと…?」
「そうじゃないさ。どちらにせよどう転ぶかは分からないということさ。あまり自分を思い詰めるな。」
「…陸…。もう1ついい?」
「ああ。」
「…もしこの…邪神との戦いが終わったら藤山くんは私達のこと…殺しに来ると思う?」
「…分からないな。まず邪神との決着がどうなるか分からないからね。」
「…私…分からないよ…。どういう顔をして藤山くんと向き合えばいいの?彼は私達を信じると言ったけど…裏切った私達を本当に信じてくれるのかな?私達は藤山くんを信じていいと思う?」
「僕は信じるよ。」
「!」
「クラスメイトだからな…。」
「…クラス…メイト…」
「それに今は藤山を信じるしかない。」
「…」
「正直僕も怖いさ。だけど…よく分からないが…今の藤山は信じていい気がする。」
「…根拠もないのに…よく言いきれるわね。さすが陸ね。」
「信じるしかないなら信じるさ。」
「…そうね。陸が信じるなら…私も…信じてみる…。」
「さて、戦争が始まるのならばのんびりはしていられない。由希、打ち合わないか?」
「…ええ。相手になってあげる。」



ロキア帝国
皇帝、バリオスは悩んでいた。
「コフィン…。」
騎士団長を呼ぶ。
「はっ、ここに。」
「お前には話しておこうと思ってな。」
「話ですか?」
「ああ、どうやら創造神は今回の戦争の指揮を…ピルーク王国騎士団長、小宮陸に任せるらしい。」
「!」
「今まで最強と謳われていた騎士団もここまでかもしれん。」
「そんな…!どうして私ではなく小宮陸が…!」
「納得が行かないのもわかる。だが既に決まったことなのだ。」
「っ…そんな…!」
「私も抗議した。だが揺るがん。」
「っ…し、失礼します。」
コフィンは王室を飛び出した。

(ふざけるな…!この世界の命運がかかった戦争の指揮を異世界から来た勇者がとるだと?そんなこと…させてたまるか…!)



??? 

――完成はまだか?
1人の神が尋ねる。
「は!今しばらく。」
――急げ。ハーディス様は心待ちにしておられるのだ。
「は!」
研究員のような格好をした魔族が製作途中のものを見上げる。
(本当にこれで…邪神が蘇るのか?)
それは大きな要塞のようなものだった。
「だがあと少しだ。あとはここに魔石をはめれば…!」
ガコ…
ブゥン…
怪しげな音を立ててはめた魔石が輝いた。
「!…完成です…シバ様。」
――そうか…ついに完成か…!これでハーディス様が。
「はい。」
――ククク…そうか…ついにか!ついにハーディス様を救い出すことが出来るのか!ククク…ハハハッ!


…古代兵器ヒュベリオン…完成。





遅くなってすいませーん!

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コメント

  • かつあん

    ちょっと、色んなところでいろんなことが起きてるなー。ついにハーディスは復活するのかな?

    1
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