腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

6話 復讐の結末

「…菜々を食べたのは…あなたの意思なの?」
「…」
しばらくの沈黙が流れる。
「…それを今更聞いてなんになる?」
優が口を開いた。
「俺の意思であいつを殺したかなんてどうでもいい。俺はあいつを殺せてお前達はあいつを守りきることが出来なかった。残るのはその事実だけだろ?」
「…そうね…。でもあなたの意思かどうかは私にとってとても大事なこと。今後あなたと向き合っていく為にも。」
「向き合う?俺はお前達と馴れ合う気は無い。」
「…そんなこと私達も一緒。藤山くん、魔神サラは言ったわよね?今回限りは私たちの味方だと。あなた達を受け入れるにはとても大事なことなの。答えて。」

「…邪神ハーディスは復活すると思うか…?」

質問に対して質問で返す。
「さあ、分からないな。だが…創造神が僕達を頼るということはそういうことなんだろうね。」
「そうか…。松山、もしもの話をする…もし元の世界に帰れるとしたら…お前は戻りたいか?」
「…どうかしらね…。でも私は今のこの生活に満足しているわ。ピルーク王国の副団長として陸を支えることが出来てる。この世界に…残ると思う。…でもこの世界にあなたがいるって言うのなら…分からないわ。」
「だろうな…。質問の答えだが…俺があいつを殺したことを聞いたのは魔神領にある俺の部屋のベッドの上でだ。」
「!…それって…」
「どう取るかはお前次第だ。今回限りはどうしてもお前達と協力しないといけないらしい…。ミーシェがいるこの世界を壊される訳には行かないからな…。」
「信じていいんだな?藤山…。」
「信じる?まさか…俺はお前達のことなんてこれっぽっちも信用しちゃいない。ただ手を取り合わなければいけないと言うなら利用させてもらうだけだ。せいぜい足は引っ張らないことだな…。」
「相変わらずだな…君は…。」
「…いいのか?」
「…何が?」
「俺をこのまま逃がしてもいいのか?」
「…正直菜々を殺したあなたを信じていいのかわからない…でも…菜々の決めたことだもん。」
「は?」
「…菜々が死ぬ前に手紙を貰ってた。藤山くんに償いをするって書いてあった。菜々の…望んだ死よ。もちろんそれが正しいとは言わない。でも…あなたを憎む権利なんて…私たちにはないわ。」
「僕達が…撒いた種だからな…。」
「…俺はまたお前達を殺しにくるかもしれないぞ?」
「そうなったら前とやることは同じさ。」
「…私や陸になにかするなら迎え撃つだけ…。」
「そうか…。分かった。今回はお前達を…信じる。」
「「!」」
「じゃ、またな…。」
優はピルーク王国をあとにした。



魔神領
「ただいま…。」
「あ!ユウ、おかえり〜。」
ミーシェが笑顔で出迎える。
「ああ…少し休ませてくれ…。」
「え?あ、うん。」
優は直ぐに自室に戻った。


「らしくない…な。」
優は横になりながら先程の会話を思い出す。
「はぁ…」
コンコン…
部屋をノックする音。
「ユウ、入ってもいい?」
「ミーシェ…いいよ。」

「ユウが休むって言うからさ…。私も魔法の練習してて疲れちゃったから休もうと思って。」
「そうか…。」
「ふふ…」
ミーシェは優の頭を自分の膝にのせた。
「ミーシェ…。なあミーシェ…。」
「ん?」
「今からおかしなこと言っていいか?」
「…いいよ。聞いたげる。」
「俺…友達が欲しいって言ったら…笑うか?」
「んーん。笑わないよ。」
「そうか…。いつから気づいてた?」
「ちょっと前かな…。私を誰だと思ってるの?こう見えて復讐の神様なんだよ?」
「やっぱりお前にはかなわないな…。正直に言うよ…。俺にはもう

…あいつらに対する復讐心なんてない…。」

「知ってる。誰よりも近くにいたもん。」
「笑うよな…あいつらに復讐するつもりでお前と一緒に旅に出て…天城や王女…江ノ島に復讐して…完璧だと思ってた…。でもここに来て…あいつらに復讐する意味がわからなくなった。それどころか今日あいつらと話して懐かしさまで覚えた…。人間をやめきることだって出来ないんだ…。幻滅するだろ?」
「ユウ…」
「…っ…」
ミーシェは自分の膝に居る優に顔を近づけキスをした。
「ユウはユウだよ。私の大好きな…ユウ…。魔人のユウでも人間のユウでも…ユウは私の知るユウなの。幻滅なんてしないよ。」
「ミーシェ…。」
「ユウはもっと正直になっていいと思うよ?前にも言ったけど私はユウの見たい景色が見たいの。ユウが満足する形になれば私には何もいらない。ユウの理想の世界…見せてよ。」
「やばいな…なんか…泣きそうだ…。」
「ユウは最近溜め込みすぎなの!私ができることはなんでもするから…言って?それに…胸ならいくらでも貸すよ?」
「俺…やっぱりお前に会えてよかったよ。」
「きゅ、急に何?」
「そうやっていつも俺を慰めてくれるだろ?正直今でも暴走した時のことを考えると怖い。でもお前のおかげで立ち向かう覚悟ができた。本当に…ありがとな。」
「ふふ…どういたしまして!」
「…ここで辞めて…いいと思うか?」
「ユウの望む形なら。」
「そうか…優柔不断な俺で申し訳なくなるよ…。」
「言ったでしょ?それでもユウはユウだよ。」
「そうだな…決めたよ…



…復讐は…終わりだ。」




遅くなりましたん!ごめんなさいん!

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コメント

  • LLENN_p

    小宮様死なないんだ!
    ヨカッタァァァァァァァァァァァァ

    5
  • けん玉マスター

    HAROさん
    コメントありがとうございます。
    や、やめてぇ!私のために争わないでぇ!(笑)

    7
  • HARO

    トクさん
    マジそれな

    8
  • トクさん

    240181
    ウセロ

    11
  • ノベルバユーザー282310

    ッッッィィィィイイイイヨッシャアアアアアアアァ!!!!

    6
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