腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

1話 小宮&松山side あれから一年

ピルーク王国

「騎士団長!おはようございます!」
「「おはようございます!」」
訓練所にやってきた騎士団長に数人の兵士が挨拶する。
「ああ、おはよう。精が出るな…。」
「あ、ありがとうございます!」
「さて…僕もやるとするか…。誰か打ち合うか?」
「お、お願いします!」


カンッ!
「ぐっ!」
ビシッ!
騎士団長は兵士の木刀を弾き木刀を突きつける。
「ま、参りました…。」
「力は強いが…握りが甘いな。それではすぐに剣が弾かれてしまうぞ?」
「あ、ありがとうございます!騎士団長!」
「ふぅ…これ以上は仕事に支障が出る。そろそろ打ち切って朝食でもとってくるといい。」
「は!ありがとうございました!」
「ああ、また時間があったらやろう。」
兵士達は城へと戻って行った。
「さて…僕も朝食にするか。」


「リ、リク騎士団長…お、おはようございます。」
城のメイドの女性が挨拶をする。
「ああ、おはよう。」
女性は顔を赤くして仲間の元へ走っていった。

「騎士団長、今日も爽やかね〜。」
「超カッコイイ〜。」

そんなことを言われていることも梅雨知らず、騎士団長は食堂へと入っていった。
「おはよう。なんでもいいから朝ごはん作ってくれるか?」
食事係の女性に話しかける。
「お、おはようございます。騎士団長。どんなものがいいですか?」
「なんでもいいよ。ここのご飯はなんでも美味しいからな。」
「あ、ありがとうございます…す、すぐ作ります!」
女性は顔を赤らめて厨房に歩いていった。
「ありがとう。」
「…相変わらず鈍感な性格は変わらないのね…。」
「…由希…。」
「…おはよう。陸。」
「おはよう。鈍感ってどう言う意味だ?」
「…さあ?自分の胸に聞いてみたら?」
「?」


ピルーク王国での出来事から一年。
陸と由希はベリアのスカウトにより、陸は王国の騎士団、由希は陸の秘書を務めていた。
腕を買われて陸は先代騎士団長から団長を継ぎ、新たな騎士団長として、2ヶ月前から国の護衛に精を出していた。
「…朝は相変わらず部下をしごいてきたの?」
「変な言い方するな…。僕はただ部下と打ち合っていただけだ。」
「…それをしごいてきたって言うんじゃない。」
「そんなに厳しくしていないさ。普通の教育だ。」
「…ふぅん…。」
「リクさん!朝食が出来ましたっ!」
「あ、ああ。ありがとう。イルナ。」
イルナと呼ばれた女性に礼を言う。
「お二人さ〜ん。朝からイチャイチャしないでくださいよぉ。」
「してない。朝から元気だな…お前は。」
「へへへっ…。」
「…」
「ユキさん?大丈夫ですよ〜。2人のお邪魔はしませんからっ!それに私じゃユキさんにはかないませんって。」
「…別に。何も言ってないけど。」
「そうですかぁ?すいませーん。」
この女性は城の見習い給仕のイルナ。
朝食堂出会う機会が多くあり、何かと絡んでくるのだ。
「…お二人は結婚しないんですか?」
「「ぶっ!」」
2人は揃ってお茶を吹き出す。
「な、なな、何言って…」
「…そ、そうよ!そんなのまだ私たちには早いわ!」
「ふふふ…お二人共可愛いですね〜。」
「うるさい。とっとと仕事にもどれ。」
「はーい。」


「由希、そろそろ行こうか。」
「…そうね…。」
2人は王室に向かっていた。
コンコン…
「ベリア…入るぞ。」
「ああ。」
「悪いな。急に休暇を取ってもらって。」
「構わないさ。それよりも…行くんだろう?」
「ああ、今日で1年だからな。」
「…菜々に会いに行ってきます。」
「…あれから1年か…。」
「…そうだな…。」


2人はピルーク王国から少し離れた江ノ島のお気に入りの海のある街に来ていた。
「墓なんて…名ばかりだな…。」
「…ええ。」
遺体など埋められていない江ノ島の墓に花を添える。
「…菜々…。私…頑張ってるから…。」
「…」
「…ねえ陸…。」
「…ん?」
「…私…菜々の分までちゃんと…頑張れてるかな…。」
「由希…。」
「…この1年…色々あった。でもね…やっぱり菜々のこと…辛いよ…。耐えられない…。守って…あげたかった…。」
ス…
「…陸?」
陸は由希を抱き寄せた。
「大丈夫。由希は頑張ってくれてる。江ノ島の分までちゃんと生きてる。」
「っ…陸…。」
由希は陸の背中に手を回した。
「…由希…。」
「…陸…。」
2人は唇を合わせる。
「…ふふ…菜々に何見せつけてるの?って怒られそう。」
「それは困るな…。」
「…菜々…また来るから。そ、その時は…夫婦になれてるといあなぁ…なーんて。」
「ん?なんか言ったか?」
「…」
「どうした?」
「…はぁ〜…。」
「ど、どうした?」
「…鈍感な上に難聴時たもんだからね…。」
「なんの事だ?」
「…いいから戻るよ。」
「あ、ああ…。」
「…菜々…またね。」
「?」


あれから一年。
身も心も成長した4人。
違えた道が再びまじわろうとしていた。




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コメント

  • 異世界大好き先生

    小宮様ァァー、流石でございまーす。
    騎士団の団長似合いすぎでしょ。
    由希さん可愛いなぁー。

    2
  • 垂直抗力(元ラノベ大好きサムライ)

    小宮様騎士団長なんて…さすがです。
    僕も小宮様と結婚したいなぁ…まぁ由紀が1番なのは分かってますからいいんですけどねwでも小宮様がカッコイイことをみんなが知ってくれて良かったです!
    学園編の方を最近投稿してないなーなんて思ってますw
    無理はせず頑張ってください!

    2
  • かつあん

    小宮様騎士団長になってだとーーー!
    ...そうだ!早く結婚しよう!そうしよう!

    難聴時たもんだ、ではなく
    難聴ときたもんだ、では無いですか?

    4
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