腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

65話 小宮&松山side 賽

「レイ、本当か?桝谷と藤山が?」
────ああ。
「…陸急ぎましょ!急げばまだ…」
────あ…。
「レイ?どうした?」
────桝谷康太が…死んだ。
「「!」」


「…嘘…でしょ…?」
「…間に合わなかったか…。」
────すまない主。私がもっと早く伝えていたら…。
「いい、君のせいじゃないさ。」
────主…。
「それに…僕達が早く桝谷の元にたどり着いたとして…結果が変わったかもわからないしね。」
「…陸…。」
「さて…悔やんでても仕方ない。…戻るぞ…由希。」
「…陸は…強いね。」
「どうした?」
「…ううん。なんでもない。行きましょ?」
「ああ。」



「ふぅ…出るのは簡単なんだな…。」
「…ただ上を目指すだけだからね。」
陸と由希は立ちはだかる魔物を難なく倒し、1日経たないうちに最果ての洞窟の出口まで来ていた。
「…ここから出たら…どうしようか。」
「そうだな…。藤山が来ないなら…どこかでひっそり暮らすか?」
「…え?」
「冗談だ。忘れてくれ。」
「…」
「とっとと抜けるぞ。…由希?」
「…私…。陸と…一緒にいたい。」
「由希…。」
「…ほ、ほら、別々にならない方がいいじゃない?それに…守って…くれるんでしょ?」
「…もちろんだ。じゃあ…行くか?」
「…ええ。もちろん。」


────ピルーク王国王室。
陸と由希が最果ての洞窟を出た数日後。
「国王、勇者、小宮陸と松山由希を発見しました。」
「!、本当か?!」
「は!一昨日ロキア帝国を出発し、まもなくピルーク王国に到着するとの事です!」
「ロキアからピルークにこの短時間で?!」
「は!」
「分かった。迎え入れる準備をしろ。」
「は!かしこまりました!」
「これで集まった生き残りの勇者は3人か…。まあ…1人は使い物にならんがな。」
そう言って国王は椅子に座り震える1人の勇者に目をやる。
「…落ち着いたか?勇者、榊。」
「ま、桝谷まで…俺は…俺はどうすれば…。」
「案ずるな。この国にいる限り守ってやる。お前は前王子よの残した宝だからな。」
「ほ、本当だろうな!?」
「ああ。」
「っ…くそ…原…桝谷…。」


「…そんなに離れていなかったが…随分と懐かしく感じるな。」
「…まあ陸は500年体感してきたわけだしね。」
「それはそうだが…。」
「…でも…懐かしいね…やっぱり。」
「ああ…。」
「…ここに菜々…いるのかな?」
「そうだな…。いるといいな。」
────すまないな主。私には居場所までは分からないんだ。
「いいさ、生きているとしれただけでもありがたい。気にするなレイ。」
────そうか…。
「城は崩れたらしいがすっかり治ってるな。」
「…そうね。国王も代わったらしいわ。」
2人はもんをくぐる。
「止まれ。」
「?、何か?」
門兵に止められた。
「お前達は…勇者、小宮陸と松山由希で間違いないな?」
「…だったらなんだ?」
「国王がお待ちだ。ついてこい。」
「…」
陸は怪訝そうに目を細める。
「国王が?何の用だ?」
「説明などしている暇はない。この国の未来に関わることだ。拒否権はない。」
「…随分と横暴ね。」
「行ってみないか?由希。」
「…陸…本気?」
「この国には恩もあるからね。」
「…陸がそう言うなら…分かったわ。」


2人は王室まで案内された。
「入れ。国王の前だくれぐれも無礼の無いようにな。」
「…」
2人は王室に入る。
「…待っていたぞ。小宮陸。松山由希。」
「あなたは…。」
「申し遅れた。私は先代王女フィリスに代ってこの国の国王となったベリア・ピルークだ。」
「…その国王が僕達に何の用だ?」
「まあそう急かすな。ゆっくりしていってくれ。」
「こ、小宮?松山さん?」
「!…榊。」
そこには生き残りの勇者、榊がいた。
「…無事でよかったわ。」
「あ、ああ…だが…原と桝谷は…。」
「知っているさ。それよりも…」
「…菜々は?一緒じゃないの?」
「し、知らねえよ。てっきり2人と一緒にいるもんだと…。」
「江ノ島菜々はこの国にはいない。」
ベリアが答えた。
「…そう…。」
「ならのんびりはしていられないな。失礼させてもらう。」
「待て。どこえ行く気だ?」
「江ノ島を探しているんだ。時間が無い。」
「お前達は自分の立場が分かっていないようだな。」
「なんだと?」
「お前達は先代王女が呼び出した勇者。この国の所有物だ。勝手な行動は慎んでもらおうか。」
「…」
「…私達は物じゃない。」
「まあ落ち着け。目的を達成したら自由にしてやる。」
「目的…?」
「ああ…我らは…魔神、サラに宣戦布告をした。」
「「!」」
「その戦いにお前達も参加してもらう。」
「…魔神に…宣戦布告?」
「…集めた軍の数は?」
「何故それを気にする?」
「いいから答えろ。」
「ざっと3万だ。優秀な兵を各国から揃えた。無敵の軍だ。」
「話にならないな。」
「…なんだと?」
「藤山や魔神なら…5秒とかからないうちに蹴散らすぞ?」
「馬鹿げたことを。よりすぐりの軍だ。それは無い。それにそこにお前らが加われば…」
「言っておくが藤山や、魔神が僕達に仕掛けてこない限り僕達は何かするつもりは無い。」
「!…ふざけるなよ?友の仇だろう?」
「確かにそうだな…だが…仇うちを取ってやるほど僕の器は大きくないからね。僕は僕と僕の大事なものが無事ならそれでいい。」
「っ…ふざけるな!お前…目が曇ったか?藤山優、魔神は我ら人類の敵だ!」
「…藤山をそうしたのは少なからず先代王女と、勇者だ。僕を含めてね。」
「っ…。」
「…だが安心しろ。藤山は必ず来る。僕達を殺しにね。」
「…」
「藤山が僕達を殺しにくるのなら…反抗させてもらう。」
「…」
「この国を守りたいなら…勇者を手放すことだ。」
「!、なんだと?!」
「藤山の狙いはあくまで僕達。勇者だからね。」


「…ほう…よく分かってんじゃねえか。」
「「「「!!」」」」
いつの間にかドアの入口に男が立っていた。
「っ…少し由希と一緒にゆっくり暮らそうと思っていたが…待っていてはくれないんだね…!」
「よ、久しぶり〜。小宮、松山。」
そこに立っていたのは陸、由希にとっての最大の脅威…


藤山優だった。



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コメント

  • にせまんじゅう

    やっっっっっっっっったーーー

    0
  • 本大好き{デアラ}

    いつきたの?

    1
  • 異世界大好き先生

    もうそろそろ、最終決戦になんかな?

    1
  • かつあん

    やっと小宮様とユウが遭遇!このままだとおそらく負けるから、何等かの方法で脱出でもするのかな?それとも...

    1
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