腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

46話 ユウ&ミーシェside 払うべき代償

「ハラ様!正門が突破されました!」
国王は原に泣きつく。
「落ち着いてください、相手は藤山。天城を殺した男ですよ?…ここまでは予想通りだ。」
「ですが…どうしたら…!」
「突破されるだけされればいい。藤山の体力を削れる。」
「まさか…ここまで来させる気ですか?!」
「はい。何人集めても藤山は止めれませんよ。ここで僕が討ちます。」
「だ、大丈夫なんですか?本当に。」
「ええ、任せてください。言ったでしょう?秘策があるとね…。」


正門の兵士を蹴散らしたユウはさらに城の中へと進んで行った。
「止まれ!」
「…」
ガタイのいい、鎧を着た男がユウの前に立ちはだかった。
「藤山優…ここは通さん。俺はスペーン共和国騎士団副団長のダンだ。」
「…」
「反応なしか…まあ良い。貴様はここで止める…いざ!尋常に勝負!」
ダンは大剣を取り出しユウに斬りかかった。
「!…は?」
しかしそこにユウの姿はなかった。
そして…
ダンの肘から先が大剣と共に無くなっていたのだ。
「ぎゃぁああー!」
吹き出す血。
ダンはその場に膝から崩れ落ちた。
「ぐっ…ああ…」
「…死ね…。」
ユウは崩れ落ちたダンの後頭部に足を乗せた。
「く…そおぉ!」
グシャ…!


「そう…ですか…ダンまで…。」
「副団長も突破されましたか…。」
「…兵士たちは…なんのために置いているのですか?」
「…なにか?…文句でも?」
「い、いえ!そういう訳ではなく…!」
「…まあ良い、兵士たちは…時間稼ぎですよ。」
「!…い、今…なんと…?」
「だから時間稼ぎですよ。まあ役に立っていないようですけどね。」
「そ、そんなもののために兵士たちは…ダンは犠牲になったのですか?!」
「そうですよ…。何か問題でも?」
「っ…!…くっ…!」
「国王、落ち着いてください。」
「!」
1人の青年が前に出た。
「フリード…。」
「僕が出ましょう。スペーン共和国騎士団長フリードがね…。」


「待ってろ…ミーシェ…。」
ユウは王室に続くであろう階段を一段一段登る。

「待っていたぞ…藤山優。」
「…誰だ?」
「失礼。俺はスペーン共和国騎士団長、フリードだ。貴様を倒す者だ。」
「…」
「随分とお怒りのようだな…。パートナーの魔神の妹ミーシェはどうした?」
「…」
「そうか…今は毒で伏していると言ったところか…。貴様は元勇者なのだろう?」
「…それがどうした?」
「元勇者とは思えない…禍々しい殺気だな…。」
「言いたいことはそれだけか?」
「ふん…短気なやつだ。この先に国王とハラ様が待っている。通りたくば俺を倒してみろ。」
「…そうか…。」
ユウは懐から拳銃を取り出す。
「ん?なんだその武器は…舐めているのか?」
ダァン!!
「!」
パラ…パラ…
フリードの頭の真横の壁が崩れる。
「な、なんだ…それは…!」
「原から聞いてないのか?…まあ良い、もう1発行くぞ?」
ダン!
「っ…舐めるなぁ!!」
フリードは細身の剣を抜き玉を弾いた。
「いい反応だ…。」
「ふん…おそるるに足りん!」
「なら…これでどうだ?」
ユウはさらにもう一丁拳銃を取り出した。
「っ…くそ!」
ダン!ダン!
ギン!ギン!
「中々やるな…お前。」
「はあ!」
弾切れを予測したフリードがユウに斬り掛かる。
パシ…
ユウは片手で受け止める。
「ふん…頑丈なやつだ!」
フリードは剣を離し、短剣を取り出した。
「死ね!」

「!」
フリードが気づいた時にはユウはフリードの後ろにいた。
「貴様…何を…」
「大罪魔法、ヨハネの黙示録。」
「!…まさか…七大魔王…ルシファーの?」
「…グラタナスヘル。」
ユウの背中から大きな口の付いた触手が現れた。
「っ…舐めるなぁ!!」
触手をフリードは短剣でなんとか受け止めた。
「気を取られすぎだ。」
「!」
ダン!
「ぐっ!ああ…!」
フリードの足を拳銃で撃ち抜いた。
「く…そ…。」
「いただきます…。」
「まだ…だぁ!」
フリードは力を振り絞り、ユウに飛びかかった。



ドゴーン!!
「!」
「!」
王室の扉が吹き飛んだ。
「ハラ様…!」
「分かってる。」

「ぐはっ!」
2人の前にフリードが吹き飛ばされてくる。
「フ、フリード…!」
「国王…お逃げくだ…」
バグッ!
大罪魔法がフリードの体を飲み込んだ。
「っ…フリード!!」
「…来たか…藤山…!」
「…原…久しぶりだな。」
「ハラ様…私は…。」
「下がっててください。藤山が用があるのは俺…」
ダンッ!
「!」
「ハラ…様…!」
国王はその場に伏した。
「藤山!何故関係の無い国王を…!」
「…」
「許さねぇ!」
「…許さない?」
「!」
ユウから押しつぶされるような殺気が放たれる。
「毒を盛らせるように命じたのはお前だろ?」
「ああ…そうさ…。」
「国全体が俺の敵だと言っていた。」
「何が言いたい?」
「…ヴィーナスフラッシュ。」
「っ!…てめえ!」
「ミーシェを殺そうとしたんだろ。…お前一人の命で償えるわけないだろ?」
「!、まさか…お前…。」
「見てろ…この国の末路を。」
「よせ!藤山!」
「ミーシェを巻き込んだのは間違いだったな。俺はミーシェに仇なすものは生きて返すつもりは無い。この国がミーシェを殺そうとしたんだ。…分かるだろ?」
「やめろ…。」
原はゆっくりと立ち上がった。
「ほう…大罪魔法を破るか…。」
「今の俺が…あの時の俺と同じだと思うなよ…?」
「どうでもいいな…。」
「…古代魔法!」
「古代魔法…?」
「フハハ…俺の秘策だ!古代魔法、ジャスティスフラッシュ!」
原の手から神々しい光が放たれた。
「はあ…はあ…俺の秘策、ジャスティスフラッシュだ…。この光は全ての悪を消し去る正義の光だ!死ねぇ!藤山ぁ!!」
「…」
パアン!!
「!」
光は全て消え失せた。
「ば…馬鹿…な…!」
「相殺。…弱すぎ、お前。」
「俺の…秘策が…!」
「…さてと…。」
「!」
2人はユウの転移魔法でスペーン共和国の東にある小さな丘に来ていた。
「あ…やべ…。」
シュン…
ユウはもう一度転移する。
そしてミーシェを抱えて戻ってきた。
「何をした?!」
「ただの転移魔法だよ。」
「…ん…ユウ…?」
「…待ってろ。…すぐ終わらせる。立てるか?」
「うん…。」
ミーシェはユウの方に捕まり立つ。
「何をする気だ…?」
「まあ見てろ…。」
ユウは地面に手を置く。
そこから黒く魔法陣が展開された。
「なんだ…!これは?!」
その魔法陣はスペーン共和国全てを覆った。
「…この国諸共死ね。…ブラックホール。」
「!」

ズズズズ…

民家などが魔法陣に飲み込まれていく。
「よせ!藤や…」
「何気、抜いてんだ?」
「!」
ズバッ!
「ぎゃぁああ!」
原の右腕が飛んだ。
「少しは楽しませてくれると思ったが…。あんなのが秘策か…ガッカリだよ。」
「っ…ああぁ!!はあ…くそ!くそ!」
「少しは遊ぶ時間をやっても良かったが…お前はミーシェを傷つけた。ミーシェの命を狙ったんだ。」
「ま、待て!よせ!俺が悪かった!謝る!そ、そうだ!俺は何もやってないだろ?!やったのは天城と江ノ島だ!俺は見逃してくれよ!」
「あ?話聞いてたか?お前が死ぬ理由はひとつだ。…お前は俺のミーシェを狙った。俺はお前を…見過ごさない。」
ギリ…
「どうしてだよぉ!?お前が…お前が俺を狙うから…俺は!生き延びるために…!俺が何をしたって言うんだ…!なんで俺を殺すんだよぉ!?」
「…俺の復讐相手は…クラスメイト全員だ。慈悲はない。」
「っ…!あ…ああ…やめ…やめろ…。く、来るな…!」
「お前と話したことはあったかすら覚えてないが…まあ…うん、お前は俺を楽しませてくれたよ。じゃあな。原。」
「あ…」
ユウは原の顔を掴み力を入れる。
「ギエエエエエェ…」
グシャ…
「…リンゴみてえだな…。」



「ミーシェ…大丈夫か?」
「うん…。」
「休んでろ。野宿と飯の準備をする。」
「ごめんね…私の仕事なのに…。」
「バカ言うな。今のお前の仕事は休むことだ。」
「うん…そうだね。ありがとう。」


スペーン共和国は1人の青年によって1日にして滅ぼされたのだった。
ミーシェに手を出したものの宿命である。



質問コーナーの質問募集してるんですが…


思ったより質問少ないなぁ…?

質問…してくんないかなぁ?´-`)チラッ

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誤字修正
的→敵
意味があるとか色々考察してくれた方がいましたが…
普通に誤字です…。
すいません。

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コメント

  • ばけねこ

    ミーシェの外見って何歳くらいなの?

    1
  • けん玉マスター

    ウォンさん
    コメントありがとうございます。
    どうなるかはお楽しみに!

    1
  • ウォン

    最終的にはユウとミーシェ幸せになってほしい

    1
  • ノベルバユーザー252836

    優を苦戦させる敵とかいたら面白そう

    2
  • かつあん

    秘策って言うからどんなものか期待してたのに...(´Д`)ハァ…期待外れだな。やっぱりユウ達を止められるのは小宮様達しかいない!

    3
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