腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

37話 小宮&松山side 真の勇者

陸が閻魔大王と再会する前の話。
陸は地獄の螺旋階段らせんかいだんの上に座り込み考えを巡らせていた。

この階段は一体何なんだ?
なんでここで藤山の声が?
地獄とは…一体…。
「くそ…!」
陸がいくら考えを巡らせても答えは見つからなかった。
「…とにかく今は…上を目指そう。」
陸は立ち上がり階段を登り始めた。


あれからさらに数十年の月日が経った。
しかし景色は一向に変わらない。

引き返してみるか?
いや、結果は同じになるだろう。
「っ!どうなってる…!」
「ハハハハ…手こずってるなぁ?小宮。」
「!、藤山!いるのか?!姿を表わせ!」
「フハハ…もう分かっているんだろう?何故俺の声がするのか。どうしたら俺がお前の前に現れるのか。」
「!…何を…」
「いい加減認めたらどうなんだ?」
「っ!黙れ!」
「お前は弱い。」
「!」
「今のお前なら手を使わずとも殺せる。お前は…怖いんだろう?」
「!」
「俺はお前の恐怖そのものだ…。それはもうお前も分かっているんだろう?」
「…」
「何意地を張っている?そんなに認めたくないのか?自分が藤山優を恐れていることを。」
「…れ…」
「ただお前が怖いと一言言えばいいだけだ。」
「黙れ…!」
「良くも悪くも俺はお前の恐怖。お前の心だ…。お前の気持ちはよく分かる…。俺は藤山優じゃない。」
「!…なん…だと?」
「言ったろう?俺は…いや、僕はお前だよ。陸。」
「!」
「気持ちは正直だな。お前は今最大の恐怖を覚えたはずだ。おかげで僕は君の前に姿を表すことが出来る。」
「!、虚言はよせ…君が…僕だと?」
陸の目の前に現れたのは黒い影だった。
「僕はお前の恐怖だ。僕はお前の恐れるもの…」
「!」
「お前の恐怖になら…なんだってなれる。」
「君…は…」
黒い影は姿を変え陸が一番恐れているものの姿になった。
「藤山…!」


「よう、また会ったな…。」
「っ…」
「僕は君の一番恐れているものになったんだ。それがこの姿、藤山優の姿だ。…フハハハハッ!いい加減認めたらどうなんだぁ?!小宮!お前は藤山優が…怖くて仕方ないんだろう?!」
「黙れ!」
陸は剣を突き立て優に向かう。
「…握りが甘いな。迷いがある…。」
バキン!
「!」
カーン…
剣は螺旋階段の下に落ちていった。
「さて…」
「!」
優は陸の首に剣を添える。
「お前はどうする?このまま否定し続けるか?認めるか?お前が藤山優を恐れていることを。」
「っ…僕は…」
「お前の守りたい物はなんだ?」
「!…僕の…守りたい…もの?」
「お前の…力の源はなんだ?」
「…」
「お前は…なんのために強くなる?」
「僕…は…」
「お前の…核はなんだ?」
「…」
「お前は…藤山優が怖いか?」
「…怖い…。僕は…!君が怖くてたまらない!今すぐにでも…逃げ出したい!」
「なら何故剣を握る?その剣はお前の…勇気だ。」
「っ…!」
「強くなれ、僕。僕は君の強さだ。」
「っ…ああああああああぁぁぁ!!」
陸は優の体に剣を突き立てた。
優の姿は元の影の姿に戻る。
「それが、勇気だ。」
「はぁ…はぁ…!」
「最後に聞こう。君の守りたいものは…なんだい?君を動かすもの…核は…なんだ?」
「僕は…由希のために…強くなる。」
「それが…君の答えなんだね…陸…。」
「ああ。」
「君は…藤山優に勇気を示した。もう君が恐れるものは無い。止まるなよ?僕…。」
影は消滅した。
「そういうことか…。僕は…もう恐れない!」
陸はその場から駆け出した。
そして螺旋階段から針山に向かって飛び降りた。


「これが…答えだろう?」
陸は閻魔大王と向かい合っている。
「地獄は…僕の恐怖だ。」
「期待以上だよ…。小宮陸。お前は俺の予想を遥かに上回った。」
「僕は恐怖を打ち払った。だからここに戻ってこれた。僕は…地獄を見ていたんだ。」
「完璧だ。それで?晴れて地獄から出れた訳だが…どうする?」
「もちろん地上に戻るさ。僕には守らなければならない人がいる。待っている人がいるからね…。」
「そうか…。健闘を祈っているぞ?小宮陸。」
「ああ…じゃあな、閻魔大王。感謝してる。」
「久々に面白いものを見せてもらった。さらばだ小宮陸。」


「はぁっ!」
陸はその場に飛び起きた。
「…戻ってこれたわけか…。」
足に目をやる。
「治ってる…。」
閻魔大王が気を利かせてくれたのだろうか。
ステータスオープン…。


小宮陸
人間

Lv132
HP  180000
MP  38000
攻撃  290000
防御  35000
俊敏  52000
魔防  48000
運  10

スキル
鑑定Lv10   風属性魔法Lv10  闇属性魔法Lv1(new)
勇者の息吹Lvー(new)  
  

称号
真の勇者(new) 召喚されしもの 閻魔のお気に入り(new)
地獄の覇者(new)  恐怖を乗り越えしもの


スキル
勇者の息吹
ブレス系統のスキルを総称したもの。
光属性魔法、聖剣術を扱うことが出来る。



称号
真の勇者
勇者の中でもさらに勇気があるものに与えられる称号。


地獄の覇者
地獄から帰ってきた者に与えられる称号。
痛覚が人より強くなる。


閻魔のお気に入り
閻魔大王に気に入られたものに与えられる称号。
自由に地獄と地上を行き来出来る。


恐怖を乗り越えしもの
最大の恐怖を乗り越えたものに与えられる称号。



「…急に化けたな…。僕も。」
だが…
「強く…なれてる。藤山…僕はもう君が怖くないよ。藤山…







…君の恐怖はなんだ?」




考えたら小宮様のステータスを貼るのは初めてですね…。
新作描きました!
「クレイジークラスルーム」というタイトルです!
作者の所をタップしても行けます。
ぜひ読んでみてください!

フォローorコメントよろしくお願いします!

「腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • トクさん

    残念、とどかんわww

    1
  • ノベルバユーザー309511

    数十年単位で考えるって小宮様すげぇ

    1
  • ノベルバユーザー205413

    痛覚が人より強くなるって、より痛みを感じるという事か。

    3
  • 自称クズ

    防御∞にならないと死ぬよーー

    3
  • かつあん

    おお!小宮様強くなって帰ってきた!藤山優という恐怖を乗りこえたことで、また地上に戻ってこれたんだね!あとは松山さんも頑張って欲しいなー

    3
コメントを書く