腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

13話 ユウ&ミーシェside 喧嘩祭り

ポンッ!ポン…
アギリシ王国にある、闘技場。
そこで開幕を知らせる花火が上がった。
てか花火なんてあるんだな…この世界。
闘技場までの通りは出店が出ており、観光客で賑わっていた。
「ユウ〜!ちょ…はぐれそう。」
「ほら、手…握ってろ。」
「うん…。ありがとう。」
「チョコバナナあるぞ?食べるか?」
「食べるー!」
「すいません。2本ください。」
「はいよ。」
屋台のおじさんがチョコバナナを2本差し出してきた。
「ほら。」
「ありがとう。いただきます…。…うーん。甘くて美味しー。」
「そうか、良かったな。…えっと、試合が10時からだから…後1時間ぐらいは遊べるな。どっか行きたい店あるか?」
「えっとねー…あれは何?」
「あれは射的だな。…てかこの世界…銃とかあるんだな。」
「面白そう!行こ?」
「そうだな。やってみるか。」


「むー…」
「ははっ、残念だったね、嬢ちゃん。」
「おかしいよ!私ちゃんと狙ったもん!」
「ははは…どれ、貸してみ。」
「お、やるかい?」
「はい。」
優はお金を支払い銃を構える。
「あの可愛い人形が欲しいの。」
「任せとけ…。」
優は片目を閉じ構える。
パン…
コルクで出来た玉は吸い込まれるように的に当たり、倒れた。
「お!やるねぇ…兄ちゃん。」
「やったー!ありがと、ユウ!」
「ああ…。」
グランスペルEX様様だな…。
「銃か…。」
今度作ってみるか…。


「さて、俺はそろそろ行くよ。マシュマロと一緒に観客席で見ててくれ。」
「うん。頑張ってね。」
「わん!」
「ああ、行ってくる。」

控え室に行くとガラの悪い男や、ムキムキに鍛えた男ばかりだった。
おお…てかこの部屋臭いぞ。
「なんだぁ?こんなヒョロいガキが出んのか?」
「やめとけやめとけ。死んじまうぞ?ぎゃははは!」
「…」
どうしよう。殴りたい。
いかんいかん、抑えなきゃ。
「ご心配ありがとうございます。頑張りますのでお気になさらず。」
ちょっと丁寧すぎたか?まあいいか。
「ふん!せいぜい死ぬなよ?」
「どうも…。」


「さあ!やって参りました!アギリシ王国闘技祭、只今より開催致します!」
あれはマイクのようなアーティファクトだろうか?
その声に応え、会場が盛り上がった。
「早速やって行きましょう!第一試合はレグネス選手とバンゴク選手の試合だぁ!どちらも今回が初出場です!では…始めぇ!」
その合図に合わせて2人は互いに駆け出した。
互いの拳と拳がぶつかり合う。
結構怖いな…これ。
互いの拳が頬を打ちどちらも口から血を流している。
肉々しい音が響き渡っている。
「どちらも譲らないと言った所でしょうか?!2人とも頑張ってください!!」
会場も盛り上がってきた。てかうるせぇ…。ミーシェは大丈夫か?
そんなことを考えてるうちに一試合目が決した。
最後のバンゴクのパンチが顎にヒットし脳を揺らした。レグネスは堪らず気絶してしまった。
「そこまでぇ!勝者、バンゴク選手!!」
バンゴクは雄叫びを上げながら拳を掲げた。
会場もそれに応え歓声に包まれた。

…暑苦しすぎだろ…。

その後も順調に試合は進んでいき、次が優の番という所まで来た。
「おーっと、続いては前回の優勝者、虎殺しのダブー選手だぁ!」
「うおおおおぉ!!」
虎殺しのダブーは雄叫びを上げた。
てかやる前からうるせえよ。
「対する相手は出場は2回目、ヘンゲル選手だぁ!」
ヘンゲルはダブーの雄叫びに怯えながらも出てきた。
「では…始めぇ!」
バキィ!!!
試合は一瞬で終わった。
ダブーのパンチがヘンゲルのこめかみを打ち、一撃で意識を刈り取った。
てか死んでね?あれ。大丈夫か?
ヘンゲルは白目をひん剥いて転がっていた。
「うおおおおぉ!!」
何回叫ぶんだよ…。
…さて、次は俺か。
「続いての試合は出場3回目ピーター選手!対するは初出場、ユウ選手だぁ!!」
「へっ、誰かと思えばさっきのガキじゃねえか。」
「どうも…。」
「こ、これは…すごい体格差ですが…ユウ選手は大丈夫なのでしょうか?…では、始めぇ!」
「あばよ!」
ピーターは特になんの技をやるというわけでもなく単純なパンチを繰り出してきた。
パシ…
優はそれを手で器用に捌く。
「オラァ!!」
何発か繰り出してくるが危なげなく躱す。
「ちっ…ちょこまかと…。」
「おーっと…ユウ選手、器用に躱しているー!しかし全く攻めていません。やる気あるのでしょうか?」
「そうだそうだ!ちゃんと戦え!」
客席からブーイングが飛んだ。
「やれやれ…あのクソ実況板のせいでめんどくせえな。」
「何をごちゃごちゃ言ってやがる!死ねぇ!」
ピーターは渾身の一撃であろう鋭いパンチを優目掛けて繰り出した。
優はそれを躱し、そして…
ドゴッ!
溝に蹴りを入れた。
「がはぁっ!」
「ユウ選手、ここで反撃だぁ!」
「へっ…少しはやるじゃねえか。だがその程度の威力…俺の筋肉からしたら屁でもないぜ!」
「そうか、じゃあせいぜい死ぬな。」
「へ?」
ピーターの視界から優が消えた。
優は既に懐に潜り込んでいた。
ボゴッ!
「ぐえぇ!!」
再び溝に一撃くらわす。
「手加減しすぎたか?」
「てめぇ…!」
バキッ!
そのまま飛び上がり、顔の側面に蹴りを入れた。
「がっ!」
「手加減って難しいな。弱すぎてもだめだし強すぎると殺しちまうし…めんどくせえ…。」
優は足払いをかけ、バランスを崩したピーターの頬に拳をぶつける。意識を刈り取る一撃だ。
「が…。」
ピーターは動かなくなった。
「け、決着だぁ!!勝ったのはまさかのユウ選手!この大会…どうなるか分からないぞぉ!!」
会場は再び歓声に包まれた。
優はミーシェを見つけ、ピースサインを掲げた。
ミーシェは満面の笑みで答えてくれた。

さて…この調子でとっとと終わらせるか…。

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「美少女転校生と始める学園生活」の方も更新しました。ぜひ読んでください。
次回はまた、ユウ&ミーシェsideをやります。ストーリー的に小宮&松山sideが今の間は少なくなるかもです。小宮ファンの方すいません…。
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コメント

  • ノベルバユーザー30469

    射的のやつあれズルしてるやん笑

    2
  • 勝長

    ダブーも一瞬でやられそうw

    1
  • うみたけ

    闘技祭を喧嘩祭りにすると、すっごい俗物っぽくなるね笑

    2
  • ノベルバユーザー219214

    面白いなー!
    続きが気になる!

    作者今後も頑張って書いてくれ!

    2
  • 水廼女神

    決勝はダブー選手とユウかな

    3
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