腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

10話 勇者side 儚き反抗

「みんな、話があるんだ。」
天城が再びクラスメイトを大広間に集めた。
「ここから南に行ったところにアギリシ王国という国があるんだ。今からそこに行く。」
「逃げる気になったのか?」
「逃げる?俺達が行くのはその国にいるダークエルフを処刑するためだ。」
「ダークエルフって…魔神の妹か?」
「いや、おそらく別人だ。」
「!…なら関係ないだろ?」
「関係ない?何を言ってるんだ。ダークエルフだぞ?悪の象徴だ。根絶やしにしなければ…。」
「…」
「もちろんみんな来てくれるよな?」
「さ、さすがにダークエルフとはいえなんの罪もない人を処刑にするのは…。」
「罪がない?何言ってるんだ?ダークエルフに生まれたことが罪なんだよ。」
「あ、天城…」
「魔神の妹をおびき出すんだ。そして賢治や神崎、殺されたクラスメイトの仇をとる。それが俺たちの使命だろ?」
「…」
「着いてきてくれるだろう?」
「…」
「これは強制だ。」
「!…天城…。」
「みんな部屋に戻って旅の支度をするんだ。遅れるんじゃないぞ。」
「待て、光佑。」
「メイギスさん。なんですか?」
「その提案は俺も反対だ。理由もなく殺すのは間違ってる。最近ダークエルフに対する偏見がやっとなくなってきた所なんだ。下手な真似はやめろ。」
「…何を言ってるんですか?ダークエルフですよ?魔神の妹、ミーシェと同じダークエルフですよ?」
「分かってる。だが、そのダークエルフは魔神の妹とは関係ない。殺す必要はないんだ。」
「甘いですね、メイギスさん。庇うんですか?そのダークエルフを。」
「!…庇う?何を言ってるんだ。関係ないと言っただけだ。」
「ダメですよ。ダークエルフは悪の象徴だ。処刑しないと。」
「確かに魔神の妹はダークエルフであり、悪の象徴と言っていいかもしれない。だが…そのダークエルフは魔神の妹じゃない。殺したところで賢治の仇をとったことにはならないぞ?」
「!」
「何をそんなに焦ってるんだ?お前の復讐に関係の無い人間を巻き込むな。やり方こそ違うが…お前がやっていることは…優と同じことだぞ?」
「!…ふざけるな!俺は藤山とは違う!」
「そうだろう。なら、血迷うな。関係の無い人間を巻き込むな。アギリシにいるダークエルフはスコット商会の看板娘らしい。魔神の妹とは別人だ。」
「…」
「分かったらとっとと…」
「邪魔するな…。」
「光佑?」
「あなたには関係ない!俺がリーダーだ!俺の言うことに従っておけばいいんだよ!」
「…光佑…。それはリーダーなんかじゃない。ただの独裁者だ。」
「!…俺が…独裁者だと?」
「ああ、少し頭を冷やせ。だがこの国から出るってのは賛成だ。この国に留まってもただ危険なだけだからな。」
「やっぱり…あなたも敵なんですね?」
「…光佑…。」
「あなたは必要以上にダークエルフを庇っている。何かあるんですか?」
「何が言いたい?」
「つまりあなたも藤山や小宮の味方…。俺たちの敵なんですね?」
「馬鹿げた話だ。それに陸は裏切ってなんかいない。お前…賢治を殺されてからおかしいぞ?気持ちは分かるが、冷静になれ。不安なのはほかのクラスメイトも一緒だ。その不安を和らげてやるのがお前の言うリーダーの仕事だろ?」
「…さい…」
「光佑?」
「うるさい!俺の言うことに従え!国家反逆罪で処刑にするぞ?!」
「光佑!」
「捕らえろ。反対するもの全員だ。」
「正気か?」
「俺の言ってることは全て正しい…!」
「…仮にも騎士団の団長である俺を捕らえるつもりか?」
「舐めるな!」
天城は剣でメイギスに斬りかかった。
メイギスはそれを躱し、天城を押さえつけた。
「ぐうっ!何してる!早く殺せ!!」
メイギスは兵士の方をひと睨みする。
「ひっ…」
「団長である俺に刃を向ける気か?」
「お、俺達は…。」
「だ、団長…。」
「光佑。お前は何も変わっていないな。」
「離せ!この裏切り者がぁ…!」
「お前達。光佑を地下牢に連れて行け。」
「は、はい…。」
「その必要はありません。」
「!…王女様…!」
「メイギス騎士団長。天城さんを離しなさい。」
「!…しかし!」
「今日をもってあなたを騎士団長の座から下ろします。」
「!」
「天城さん。あなたはあなたのやりたいようにやりなさい。」
「はい…。では…今日から俺が騎士団長だ!」
「!…そんな…馬鹿な…!」
「騎士団長命令だ!この裏切り者を捕らえろ!」
「!…狂ってる。俺は今までこんな国のために命をかけてきたのか?!王女。あなたは…!」
メイギスの周りを数人の兵士が囲む。
泣いている者もいた。
「うっ…メイギスさん。」
「団長…俺…。」
「こんなこと…したくないです…。」
「どうした!?とっとと捕らえるんだ!」
「うう…くっ…!」
「いい。地下牢くらい自分の足で行く。」
メイギスはその場をあとにした。

メイギス元騎士団長はピルーク王国から姿を消した。
メイギスの捜索は続いたがこの国にはいないという結論に至った。
この国に残された勇者は天城の言いなりとなり、アギリシ王国を目指し、旅に出ることになった。
「みんな、アギリシでは近々大きな闘技祭が開かれるらしい。賑わっているからこそ、その時期に行くべきだと思うんだ。そして全国民が見ている中で…悪の象徴であるダークエルフを処刑する。それが俺たちの使命だ!」
メイギスを失ったこの国はさらに天城光佑という偽善の勇者により、荒廃の道を進んでいく。


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天城ウザいんでそろそろ退場してもらうことにしましたw
明日特別編と本編どっちかしか出せないかもです。どっちがいいですかね?
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コメント

  • ノベルバユーザー515118

    マジ天城クズだし頭悪いし天城だよなぁ

    0
  • ノベルバユーザー281994

    自分で書いておいてw
    これは草も生えないww

    0
  • 神崎十六夜

    なんにしろ、天城はよし・・・ゲフン ゲフン

    1
  • ヒカッチ

    いや偶然ユウにあって殺されるがいいな

    1
  • 虎真

    団地ー

    1
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