腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

3話 ユウ&ミーシェside 闇ギルド

「誰だ?」
「だから言ったろ?俺は賞金稼ぎのジェニーだ。」
「それで?何の用だ?」
「あんたの腕を見込んで賞金稼ぎにならねえか?って誘ってんだ。」
「悪いが他を当たってくれ。俺はそんなに腕もないしな。」
「そうかな?そこに転がってるのは討伐ランクAのメイジスライムだ。それをそんな数息一つ乱さず倒すのは俺からしたら化け物だけどなあ?」
「…」
「悪い思いはさせねえ。それに金に困ってんだろ?この仕事なら1回で聖金貨100枚は入ってくるぞ?」
「え?聖金貨100枚?!」
「お嬢ちゃんは食いついたみたいだな。」
「おい、ミーシェ…。」
「だって100枚だよ?!すごくない?!」
「そうだが…賞金稼ぎって…人殺しだぞ?」
「ユウだって何人か殺してるじゃん。今更何言ってんの?」
「それは…そうだが…。」
「ほう…人殺しの経験もあるのか…。ますます気に入った。どうだ?俺と一緒に来てみねぇか?」
「…」
「ユウ、行こう?」
「うーん…」
「メ、メイド服売らなくて済むんだよ?!」
「…行くぞ、ミーシェ。」
「わぁ!」
「決まりだな。改めて自己紹介しよう。俺はジェニーだ。あんたらは?」
「え?俺は…ユウキだ。」
「!…私はミーシャ。」
「…まあ本名は名乗らなくていいさ…。」
「「!」」
「ほう…よく分かったな。偽名だって。」
「この仕事を始めて10年はたったからな。嘘をついてることくらい目を見りゃわかる。」
「本名…言った方がいいか?」
「いや、別にいい。本名でやってるやつの方が少ないくらいだ。」
「あんたはどうなんだ?ジェニー。」
「さあな。それよりも案内する場所がある。着いてきな。」
「どこに行く気だ?」
「そう警戒しなさんな。俺達の拠点…闇ギルドさ。」



ジェニーに案内されたどり着いたのは外れにある小さな酒場だった。
「おい、本当にここなのか?」
「ああ、入るぜ。」
店の中は以外に綺麗で、バーのようになっていた。
「ジェニーか。らっしゃい。いつものでいいかい?」
「いや、今日は新入りを連れてきた。」
「ほう…その2人が?」
「新入りのユウキと、ミーシャだ。」
「ふん…。誰を連れてきたかと思えば…まだケツの青いガキじゃねえか…。使えるんだろうな?」
「お嬢ちゃんの方は見てないから知らんが…こっちのユウキはなかなかのもんだぞ?討伐ランクAのメイジスライムを何匹も瞬殺してやがったからな。」
「ほう…。こんなガキがねぇ…。それにしてもこっちの女…。売った方が金になるんじゃねえか?」
ピクッ…
優が反応した。
「ちょっと…ユウ?…キ?」
「ん?どうした?ガキ…」
ユウのナイフは男の首に既に添えられていた。
「て、てめえ…。」
「さっきから黙って聞いてれば言いたい放題だな。ミーシャをなんだって?」
「…っ…」
優は殺気を強めた。
「次言ってみろ。…殺すぞ?」
「っ!…す、すまなかった…。」
「…見ての通りだが腕は確かだ。人殺しの経験もあるらしい。」
「…分かった。案内してやれ。」


「悪かったな。あいつはラゴス。ここの管理をしてる。根はいい奴なんだ。ただいい女を見るとな…。」
「いい…女…。ふふふ…。」
ははは…。満更でもないご様子で…。
「それで?闇ギルドってのは?」
「ここだ。」
「?…ただの壁にしか見えないが?」
「ここを押すと…。」
隠し扉が現れた。
「…これはまた…ベタな。」
「歓迎するぜ。闇ギルドにようこそ。ここでの仕事はただ一つ。殺しだ。暗殺の依頼でも賞金首の殺しでもいい。とにかく殺せば金をやる。どう殺そうとも構わねぇ。ただ殺した証拠に体のパーツはもってこい。」
「ね、ねえユウ…。ここってやばいんじゃ…。」
小声でミーシェが話してきた。
「…言い出しっぺお前だからな?」
周りには目つきが悪く、柄の悪い屈強な男達が酒を煽っていた。

「おいおい、こんなガキが新入りかよぉ?お前の目も腐ってきたんじゃねえか?ジェニー。」
「ガキだからってなめんなよ?こいつらは強いぜ?」
「ほう…いい女じゃねえか。おい、ガキ。俺に譲れ。代わりに可愛がってやるからよぉ?」
チンピラ風の男が絡んできた。
「いえ、結構です。行こうぜ、ミーシャ。」
「うん。」
「なんだとてめぇ?俺を誰だと思ってるんだぁ?」
「悪いがお前みたいな奴は知らない。」
「て、てめえ…。いいぜ。教えてやる。」
男は巨大な斧を取り出した。
「馬鹿、やめとけ!」
ジェニーが止めたが遅かった。
「俺は首切りのシェッター様だぁ!」
ドン!!


優は斧を人差し指と中指で挟んで止めていた。表情ひとつ崩さずシェッターの方を見つめている。そして尋ねた。
「…で?」
「な?!」
「うそだろ?!」
「あんなガキが?!」
「…はぁ…。だからやめとけって言ったろ?」
「て、てめえ…。まぐれでとめたからって調子に乗るんじゃねぇ!」
「…はぁ…。いい機会だ。ミーシャ。」
「うん。」
ミーシェは片目を赤くして、大剣を作り出した。
斧を弾き、首に添える。
「…女だからって舐めないでね?」
「…て…あ…」
「依頼の受け方について説明する。着いてきな。」
ジェニーが言ってきたので、この場は引き下がることにした。

「依頼の受け方は簡単だ。って言っても暗殺の方はめんどくさい。依頼人に会わないといけないからな。でも賞金首を殺したい時は手続きはいらねえ。どこかにいるそいつを殺してここに持ってくりゃあ依頼達成だ。」
「ふーん…。じゃあ早速行くとするか…。」
「もう行くのか?」
「言ったろ?金がねえんだ。借りた分はそうそう使う訳にはいかねぇからな。時間が惜しい。」
「そうか…。あそこの掲示板に賞金首は載ってる。好きにやってくれ。」
「ああ。」



「わあ…賞金首ってこんなに居るんだね…。」
「…まあこの国は治安悪いって言うしな。」
「なになに…これなんていいんじゃない?火遊びのガーソリン。報酬は金貨300枚だって。」
「安い。却下。」
「うーん…これは?寝小便のダヌス。聖金貨20枚。」
「なんだそいつ?なんで賞金首になってるのか気になるんだけど。」
「他にはねー…。あ、これ高いよ!魔神の妹…ミーシェ…。私?!」
「馬鹿!聞こえるだろ?!」
「ご、ごめん…驚いちゃって…。」
「聖金貨2万枚か。」
「…」
「…」
「…こ、殺さないで…。」
「殺さねぇよ…。ほかの選べ。」
「う、うん。これは?猛獣使いのバーネリー。聖金貨3000枚。」
「…こいつギリースで小宮が倒したやつだ…。」
「そ、そうなんだ…。」
「ろくなやつ無いな。」
「聖金貨5000枚…。これは?」
「ん?」
「黒魔術師のバブロディ。5000枚だって。」
「まあそれぐらいでいいか…。」
「じゃあよろしくね?」
「え?」
「私眠い。」
「あん?」
「マシュマロとここで待ってるから。よろしく〜。おやすみ〜。」
「は?!馬鹿、こんな所で寝たら…。」
「スー…スー…。」
「聞いちゃいねぇ。マシュマロ。分かってるな?大罪魔法でもなんでも使っていいからミーシェのこと守れよ?」
「わん!」
「いい返事だ。行ってくる。」


「この辺りか…目撃情報は。」
優は寂れた教会に来ていた。
「いかにもって場所だな。」
辺りを見回すが人影はなかった。
…かと思った。
「なんだ?」
影から無数の人影が出てきたのである。
「引っかかってくれましたね…。あの手配書は私が偽造したものなのですよ。」
「…あんたが黒魔術師のバブロディでいいのか?」
「いかにも。私は魔術に必要な生贄が…」
ザン!
バブロディの首はその場に落ちた。
仲間と思わしき連中が騒ぎ出す。
「それだけ分かればいい。お前らは賞金首か知らんからどっちでもいい。やるか?」
「ひ、ひぃ!」
全員逃げ出してしまった。
「さてと…。心臓は…と。」
優は心臓を頂き首を持ち帰り、体は焼くことにした。


「終わった。これでいいんだろ?」
「は?もうか?」
「ああ。ほれ。」
首をジェニーに放り投げた。
「おっと…。確かに黒魔術師のバブロディだな。」
「で?報酬は?」
「聖金貨5000枚だ。持ってけ。」
「どうも…。」
「待て。一人でやったのか?こいつは群れで襲撃してくるはずだが?」
「ああ…。なんかそいつ殺したらみんな逃げてったよ。」
「そうか…。」


「さてと…ミーシャ?」
見回すと一際騒がしい席に、ミーシェはいた。
「一気!一気!一気!」
そんな掛け声にあわせてミーシェは酒を一気飲みしていた。
「…何やってんだ?お前。」
「あ〜!ユウ〜。ヒック…遅かったねぇ〜。待ってたんだよぉ?」
「そ、そうか…。て言うかお前…酒くせぇ。」
「やるな嬢ちゃん。もう一杯いくか?」
「ヒック…かかって来なさぁい!」
「はぁ…。」


優は酔いつぶれたミーシェを背負い、宿屋に向かって歩いていた。
「んふふー…ユウ…むにゃむにゃ…。」
「たく…世話のかかるやつだ。」
そのまま宿屋に着き、ミーシェをベッドに降ろす。
「さて、シャワーでも…」
しかし優はミーシェに捕まりベッドに引き込まれてしまった。
「お、おい、ミーシェ?」
「だめぇ…むにゃむにゃ…」
「…酒臭いんだが。それに俺は血なまぐさいと思うが。」
まあいいか。
これからは賞金稼ぎとしてこの街でしばらくは稼ぐことになる。こんなことは日常茶飯事なのかもな。

優は隣で気持ち良さそうに眠るミーシェの頭を撫で、心地よい眠りに着くのであった。


――――――――――――――――――――――――――――
次回からやっと小宮&松山sideに話を移すことができます。
お待たせしてすいません。

カクヨムに投稿を始めた件ですが、KADOKAWAさん主催の、
「カクヨム甲子園2018」に応募させて頂きました。
応援して頂ければ幸いです。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886807409
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コメント

  • 本大好き{デアラ}

    やべぇことになった

    1
  • はるしお

    聖金貨って10円位の価値しかないんですかね?そう思えるくらいに聖金貨価値が低いように見えます

    5
  • うたたか

    やっぱユウ強すぎんな〜
    小宮sideがどうユウ達に関わってくるのか楽しみですね

    1
  • 勝長

    瞬殺するユウwwwなんか可哀想になってきたwそれはさておき......よっしゃぁぁぁぁぁぁ!小宮様sideだぁぁぁぁぁぁ!

    3
  • 自称クズ

    小宮side楽しみにしてます。更新無理ない程度に頑張ってください

    3
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