腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

第2章プロローグ 勇者side 主人公は1人とは限らない

ピルーク王国での事件のあと、勇者たちは皆、放心状態で大広間に集まっていた。

「王女様…ちゃんと説明してください…。どうなってるんですか?」
「…全て小宮様に話した通りです…。」
「聞いてねぇやつもいるんだよ!!」
「っ…それは…」
「どういうことだよ?!俺らは…なんの為に…。」
「ふざけないでよ…。」
「みんな!気持ちは分かるが、俺の顔に免じて…今は落ち着いてくれないか?」
「天城…」
「でも…さすがに…」
「俺達の命がかかってるんだぞ!?こいつが藤山を騙してたから…俺達は藤山に命を狙われることになるんだろ?そんなの…」
「ふん…罪から逃げるなよ?君たち。」
「小宮…。」
「なんだと?元はと言うと、こいつが…」
「でも藤山の言うことを信じなかったのは…君たちだろう?」
「っ!」
「今はこんなこと話してる場合じゃないだろ!?」
「もうやめて!」
「江ノ島さん…。」
「こんなことしてる間にも…優くんは私たちの所に来てるかもしれないんだよ?!」
「…」
「…元はと言えば江ノ島さんが藤山に魔法を撃ったからなんだよね?」
「!」
「それで私たちの命が狙われてるんでしょ?」
「そ、それは…」
「ふざけないでよ…。なんで…なんで関係ない私たちが狙われなきゃ行けないの?!」
「っ…あの…時は…」
「私…江ノ島さんのこと…許さないから。」
「…」
「…落ち着いて。菜々の言った通りこんなことしてる場合じゃないの。」
「松山…でも…!」
「…こんな話し合いは時間の無駄ね。失礼させてもらうわ。」
「同意見だな…。」
松山と小宮の2人は大広間を後にした。


「…ねぇ、小宮くん。」
「なんだ?」
「…藤山くんは…本当に殺しに来ると思う?」
「来るだろうね…絶対。」
「…そう…なんだ。」
「ああ。」
「…小宮くんは…これからどうするの?」
「僕は…城を出る。」
「…やっぱりかぁ…。」
「魔神が復活してしまった今、ここにとどまる理由はない。危険すぎるしね。」
「…」
「僕は血の教団との一戦以来レベルが上がってついに3桁まで行ったんだ。」
「…凄いわね。」
「それでも…藤山の強さを鑑定することは出来なかった。魔神もだ。妹のミーシェも。」
「…」
「ギリース城で君にいったろ?気を許せば許すほど…裏切られた時が悲しくなると。」
「…そんな話したわね。」
「ああは言ったけど…僕は藤山に気を許しすぎていたみたいだ。」
「…小宮くん…。」
「松山…僕はどうしたらいい?藤山に裏切られた時以来…いや、裏切ったのは僕達か…。あの時から僕は…何も分からなくなった。このやるせなさを…どう抑えればいい?」
「…」
「ギリースでの一件で僕は…僕は君だけでも守ってやりたいと思えた。ようやく…他人に興味が湧いたんだ。」
「…そう…なんだ。」
「でも、今の僕じゃ…君を守るはおろか…自分の身だって守ることは出来ない。…教えてくれ松山。僕は…どうしたらいい?」
松山は小宮を優しく抱きしめる。
「!…松山…何を…。」
「…弱気な小宮くんは…見たくないな。」
「…でも…。」
「…思い詰めすぎなのよ…。私の事なんていいの。小宮くんは…小宮くんのことだけ考えて?」
「…松…山。」
「…天城くんより…リーダーにふさわしいのかもね…。小宮くんは。」
「…」
「でもそうやって自分だけで背負い込むのは…彼と同じ、悪い癖。小宮くんは…よく頑張ったよ。」
「!…っ…ちょっと…見ないでくれ。」
「…ふふふ…うん。」


「…落ち着いた?小宮くん。」
「ああ、ありがとう松山。」
「…」
「松山?」
「…下の名前で呼んで?」
「そ、それは…」
「…」
「わ、分かった…由希。」
「…」
「由希?」
「…はっ…ちょっ…見ないで!」
「す、すまない!」
「…ふふふ。…私も…ついて行くよ。」
「ああ…え?」
「…私だって…守られてばっかじゃ…嫌よ?」
「…由希…。」
「…でも…小宮くんと…離れるのは…嫌。」
「…ふ、ふん!か、勝手にしろ…。」
「…ふふふ、そうさせてもらうわ。」
「でも、江ノ島はいいのか?」
「…菜々は…心配よ?でもあの子は立ち直りが早い子なの。あの子なら私がいなくても大丈夫。」
「そうか…。僕達はまだ藤山に勝てるだけの力はない。だから…なるべく離れたところで…一緒に…強くなろう。」
「…そうね…自分の身は…自分で守らなきゃ…!」
「…そうは言われたが…由希のことは…僕は守りたいと思ってる。」
「…あり…がとう。…私…」
「由希?」
「私、小宮くんのこと…好きなのかもしれない…。」
「!…そ、そそそ、それは…ど、どどどどういう…?」
「…ふふふ…何にもない。」
「へ?」
「…行こ?…陸!」
「っ!」


小宮&松山side
っ〜〜〜!!
…かなわないな…君には…。
満面の笑みでこちらを見つめ、僕の下の名前を呼んでくれた彼女の姿に僕は紅潮を隠しきれているか少し不安になってしまった。
僕は彼女を…守りきれるだろうか?
いや、きっと守らなければならないのだろう。
これからの不安と、少しだが楽しみだと、うずうずしてしまった僕がいた。でもきっと…2人なら大丈夫なのだろう。
松山は…僕が守る。主人公っぽいことは…好きではないけど…。
ここでの主人公は…

僕、小宮陸だ。

不安と期待に身を踊らせながら、2人の冒険が幕を開けるのだった。




第2章 優の復讐編+小宮と松山の冒険編


開幕…!!


――――――――――――――――――――――――――――
という訳で2章は優の復讐編+裏の主人公、みんな大好き小宮様の冒険編です!!
主に話はユウ&ミーシェsideと、小宮&松山sideで、1話ずつ出していく予定です。(話のキリが悪い場合は何話か出しますが…。)
そのため、わかりやすいように、次からはタイトルの先頭に、小宮&松山sideとユウ&ミーシェsideという文字が増えますのでゲシュタルト崩壊注意w。

1章の内容が濃すぎたため、面白く出来るか分かりませんが、暖かい目で読んでいただければ幸いです。1章が終わったからって飽きずに読んで下さいね?

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コメント

  • 神崎十六夜

    「…天城くんより…リーダーにふさわしいのかもね…。小宮くんは。」
    松山さん、"それな"と私も思います(笑)

    2
  • キャベツ太郎

    全然ちゃうかったわーww
    でも小宮様信者の俺たちからすればご褒美以外の何物でもねぇ

    1
  • 浮艇景

    ごとうです。この度は投票に参加できず、すみません!途中で止まってしまってたので最初から読み直してました!1章まで読了しましたが、不思議と入り込んでしまうお話ですね。クラスメイトの裏切りはかなり心苦しかったです。その中で違和感を抱いていた小宮君は自分もやっぱり好きですね。あと松山さんも好きです。
    また2章近日中に読み終わると思うのでそのとき感想を書きにいきますね!

    1
  • けん玉マスター

    ノベルバユーザー315964さん
    コメントありがとうございます。
    ほんともうねぇ?
    イケメンで頭脳明晰と来て松山さんとイチャラブ出来るなんて…そこかわれやw

    0
  • ノベルバユーザー315964

    いやぁ小宮くんいいなぁ

    2
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