腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

84話 そのあとの色々

「そういやぁお前らいたなあ。忘れてた。」
「貴様ぁ…よくも…よくも7大魔王のみんなを…!」
「その人が…魔神か?藤山。」
「初めまして、勇者の皆さん?私は魔神のサラよろしくね?」
「「…」」
「あら?どうしたの?私を殺しに来たんじゃなくて?」
「い、いや…イメージと違うから…つい…」
「ふふふ…そう。安心して?ミーシェやベルに何かしない限りあなた達に攻撃するような真似はしないわ。もちろんこの世界だって滅ぼしたりなんかしない。」
「…ちょっと待て。俺はいいのか?」
「あなたはクラスメイトを何人か殺してるでしょ?自業自得よ。」
「さいですか。…で?また1戦おっ始める訳じゃないだろ?小宮。」
「それは無い。君との実力の差は分かりきっているからね。」
「じゃあ何の用だ?」
「王女様に真実を確かめようと思ってね…。聞いてるんだろう?フィリス·ピルーク。」
「!」
「隠れてないで出てきたらどうだ?」
「ユウ…。」
「なんだ。君もやっぱり気付いていたのか。」
「息を潜めすぎてて逆に丸わかりだったな。」
「…よく分かりましたね。」
地下室の柱の影から王女、フィリスが出てきた。
「お、王女様…」
「早速だが質問させてもらうよ。あの時の…藤山が裏切った時の真実を聞かせてもらおうか。」
「あの時は…言った通りです…。藤山様が…。」
小宮は王女の首に剣を添えた。
「小宮!お前…」
「…小宮くん!」
「小宮くん?!」
「…僕は真実を話せと言ったんだ。誰が…虚言を吐けと言った?」
「ひっ…」
「セバスさんはもういない。君を守るものは誰もいない。」
「!…そんな…セバスが…?」
「藤山が殺したよ。」
「…おい、チクってんじゃねえよ。」
「僕のせいにされたらたまったもんじゃないからね。反逆罪とかで処刑されそうだ。」
「今のお前もな。」
「ふ…それよりも早く答えてもらおうか。真実をね…。」
「…あの…時は…」
王女は真実を語りだした。
優が体験したあの時のことを。


「そんな…じゃあ俺達は今まで…何をやってたんだ?」
「優くんは…何も悪くないの?」
「なら何故あの時に言わなかったんだ?!藤山!!言ってくれれば俺たちだって信じて…賢治だって死ぬことは…なかった!」
「何を言ってるの…?」
「おい、ミーシェ…。」
「私は遠くから見てることしか出来なかったけど…ユウはちゃんと…言ってたよね?」
「それは…」
「あの時ユウの言葉に聞く耳を持たないで、剣を向けたのは誰?」
「…」
「全部…私たちがいけなかったんだ…。」
「…菜々…。」
「本当にごめんなさい!優くん!あの時私達はどうかしてたよね…本当にごめんなさい…。どんな償いでも…受けるから…。」
「…そうか…。なら…死んでくれ。」
「!、藤山…。」
「優…くん?」
「天城もそうだがお前もご都合解釈全開だな。誰がいつ…許すなんて言った?」
「「「「!」」」」
「…藤山くん。」
「俺はお前らに真実を知ってもらおうが、知らなかろうがどうでもいい。やることは変わらない。本当は今にだってお前らを殺してやりたい。だが感動の再会の場面を血で汚す訳には行かないからな。忘れるなよ?お前らは俺に生かされてるんだ。ことが落ち着いたら直ぐにでも殺しに行く。そこで何やら企んでこのナイフをこっそり出そうとしてる王女諸共な。」
優の手にはナイフが握られていた。
「!…いつの間に!?」
「やっぱり…許してはくれないんだね…。藤山。」
「許すわけねえだろ?せいぜい残りの人生、楽しめよ?お前はクラスメイトの中で唯一仲良くやれそうだったよ、小宮。」
「僕はお断りだよ。」
「そうか。最初のうちに謝っておく。巻き込んで悪いな小宮。お前があの時祭壇に遅れてやってきたのは知ってる。ほとんど何も知らないのもな。…感謝してる。一人だけ俺がいなくなったことに疑問を持ってくれたんだろ?」
「…」
「でも俺は…お前を殺す。松山もな。」
「そうか…。もちろんタダでは殺されないさ。僕に何か…いや、松山になにかするなら許さない。」
「…!小宮くん…。」
「さて、サラ。このあとはどうする?」
「とりあえず元々私の城だった場所を取り戻しに行きましょうか。ローンもあったのに…ルシファー払ってなかったら許さないわ。」
「ははは…。」
「じゃあな、お前ら。せいぜい余生を楽しくな。俺の気が変わらないうちに。」
優達はその場から空間転移で消えた。


そのあとはバトラーの管轄だった。元魔神領に残る、魔王軍の残党を処理したりした。
片付くのに1週間はかかっていた。その時サラを見てバトラーが号泣したのを見た時はさすがに俺も引いた。
え?何?お前が言うな?それは…そうですけど…とにかく!何とか片付いた。

「お疲れ様、バトラー。」
「サ、サラ様!そんなことありません!あなた様が戻ってきてくださって本当に嬉しくて…仕事など苦ではありません!」
「そう…。ありがとう。今後のことは…あなたに任せるわ。」
「それはどういう…」
「今更私が呼びかけたって恐怖の対象でしかないもの。ひっそりとどこかで暮らすわ。50年も封印されてたんだもの。やりたいことがいっぱいあるのよ。」
「そう…ですか。」
「心配しなくてもちょくちょく帰ってくるわよ。…なんかローン払ってなかったし。ルシファーまじ無いわ…。」
「そ、そうですか…。」
「サラ姉さん、このあと一緒に洋服買いに行こう?姉さんに選んで欲しいんだよね…。」
「分かったわ。でもベルなら何着ても似合うんじゃない?」
「そ、そんなこと…」
「あるわよ…ん?何泣いてんの?バトラー。」
「い、いえ、なんでもありません。ただ…嬉しいんです…。」
「バトラー…。」
「本当に…おかえりなさい…!サラ様!」
「ふふふ…。ただいま、バトラー!」
「本当に…良かった…。」
「ふふふ…。そう言えば…あの二人は?」
「今、ミーシェの部屋よ。邪魔しないであげよう?」
「…そうね。」


「話ってなんだよ?ミーシェ。」
「あのね…なんか、欲しい物とかない?」
「欲しい物?うーん…特にないな。」
「本当に?よく考えて?」
「考えたよ。でも特にないよ。」
「ぶー…」
「どうしたんだよ?」
「別に…。ただ…。」
「ただ?」
「私…ユウに貰ってばっかりで…何も返せてない気がするの。」
「…」
「だからね…!せめてお礼でもと思ったんだけど…。」
「ばーか。そんなもんいらねえよ。俺がやりたくてやったんだ。」
「でも!」
「何かくれるって言うんなら…」
「!…ん!」
優はミーシェにキスをした。
「これで十分だ。もう何も…んっ!」
ミーシェは再び唇を合わせてきた。
舌が重なった。
「ぷはぁ…。これぐらい…やらないと…。」
ミーシェは顔を真っ赤にして、こちらを見つめていた。
「…ちっ…やっぱり…ずるいよ、ミーシェ。そんなことされて…俺が我慢出来るわけないだろ?」
「ちょっ…ユウ?!」
優はミーシェをベッドに押し倒した。
「ちょっ…待っ…」
「待たない。」
「んっ!」
優はミーシェにさらに深い口付けをする。
「ユウ…。」
ミーシェは涙目になりながらも笑顔でこちらを見る。
「そんな顔されたら俺…もう無理だわ。」
「ユウ…あ…」
再び深く繋がる2人の唇。
優はもちろん未経験である。
「ミーシェ…」
「んっ…んあ…」
誰でもわかる慣れない手つきだ。
しかしミーシェは歓迎してくれている。
そんな彼女が…愛おしい。
その日はいつもより夜更かしすることになった2人であった。



「サラ姉さん、赤飯って知ってる?」
「え?知らないわ。」
「なんかこういう時は赤飯ってのを食べさせるらしいんだけど…どうやって作ればいいか分からないんだよね…。」
「なら赤飯ならぬ、赤パンってのはどうかしら?」
「あ、いいねそれ。ミノタウロスの血とか入れてね。」
「ゴブリンのも入れてみましょう。」
「え?黒くなったけど大丈夫?」
「ミノタウロスの血を足しましょう。」
「そうね。」

ドゴーン!!

こうして2人は爆裂魔法よりも威力の高い爆発を生み出すことの出来る、アーティファクトの製作に成功したのであった。


――――――――――――――――――――――――――――
2話目です。
ユウが卒業したのでお祝いのコメントをお願いしますw
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コメント

  • ノベルバユーザー503832

    ユウだけ空間転移一緒に行けなくて取り残される、とか見てみたいな

    0
  • にせまんじゅう

    ソツギョウッテナンノコト?
    ボクワカンナイナー

    0
  • けん玉マスター

    花粉の申し子さん
    コメントありがとうございます。
    おめでたですね。
    ありがとうございます。

    1
  • 花粉の申し子

    おめでとう(*´ω`*ノノ☆パチパチ

    1
  • モンキー「」

    最後の料理でジャイ○ン思い出した

    3
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