腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが
65話 夢の中の少女
はぁ…神父さんに用事があるなんて嘘ついちゃったなぁ…。
まあ今から行く場所にミーシャ…いいえミーシェを連れていく訳には行かないしね…
アイは一人酒場に入った。酒場に入るとカウンター席で一人の男が待っていた。
「お待ちしていましたよ、アイ様。」
「待たせてしまったみたいね…。ちょっと勇者達の中でいざこざがあったの。本当にごめんなさいね…バトラー。」
「いえ、とんでもございません。それで?ミーシェ様のご様子は?どんな感じですか?」
「ミーシャっていう偽名で通してるわ。」
「はぁ…たくあの方は…そんな偽名が通るわけ…」
「でも勇者は気付いてないわよ?」
「それはまた…」
「なんだか不思議なアーティファクトを首からさげてたから…恐らくその影響もあるんでしょうね。」
「アーティファクト…ユウ様ですね。」
「ええ…不思議な男だわ。化け物じみて強いし。彼ならもしかしてあの男を倒して…きっとサラ姉さんを助け出してくれるかもしれないわね。」
「そうですね…。ですがあの男は一筋縄では行かないと思います。何せあなたがたのリーダーを務めた男ですから。」
「そうね。とにかく私はあの男に感づかれないように行動するわ。何か情報が入ったら直ぐに知らせて。いいわね?」
「はい。分かりました。」
今私がすべきことは何としてもミーシェを守る事ね。あの男にミーシェが見つかったらまた命を狙われてしまう…隠し通さなきゃ。
ユウ&ミーシェside
この街の小さな宿屋に勇者一行は身を寄せていた。部屋分けは男女別である。まあユウとミーシェは例外ではあるが。
「優くん!ダメだよ。男女が一夜を共にするなんて!」
「変な言い方するな。別に俺たちにとっては当たり前のことなんだよ。これまでもそうしてきたんだからな。」
「…っ!でも…!」
「なになに?何かあったの?」
空気読め…ミーシェ。
「ミーシャさん…おかしいと思いませんか?男女は別に寝るべきです!ミーシャさんは今夜は私たちの部屋で寝てください!」
「え?でも…」
「…菜々、落ち着いて…」
「由希ちゃんも何か言ってよ!おかしいでしょ?」
「…ま、まあそれは…そうだけど…。」
「でも私ユウが居ないと寝れないし…。」
「ならこの際克服しましょう?お姉さんと感触が似てるだかなんだか知りませんけど、男なんだから似てるわけないです!」
「ユ、ユウ!話したの?」
「…悪ぃ。」
「でも…」
「分かった。」
「優くん…」
「俺は今夜マシュマロと寝る。ミーシャはアイと寝ろ。」
「まあアイちゃんなら多分…大丈夫かな…?」
ちくしょう…。俺の癒しが…。
「わん!」
「うるせえ!俺は猫派なんだよ!」
「うー…わん!」
「マシュマロ!」
ユウとマシュマロは互いに抱き合っている。
「さて、アイちゃんはまだ帰ってないの?」
「そうだな。まだ帰って…きた。」
宿屋の扉を開けてアイが入ってきた。
「ごめんなさい、待たせちゃった?」
「大丈夫だ。それよりもミーシャと同じ部屋でいいか?」
「え?いいけど…いいの?ユウさん。」
「俺だってミーシャと同じかいいさ。でもなぁ…」
ユウは松山と話をしている江ノ島の方に目をやる。
「あー…納得。じゃあ今夜はミーシャは私が借りるわね。ユウさんは誰と同じ部屋なの?」
「マシュマロと…」
「僕だ。」
「まあよろしくな…。小宮。」
「まあ一泊だけだがな。」
部屋分けは天城と橘、江ノ島と松山、ミーシャとアイ、ユウと小宮とマシュマロになった。
ユウ&小宮&マシュマロside
「わん!」
「…本当にこれはブラッドウルフなのか?僕には犬にしか見えないが…」
「大丈夫、俺も最初はそう思ったさ。あとこれ言うな。」
「くぅん…くぅん…」
「なんだ?どうしたんだ?」
「お腹減ったんだろうな…そろそろミーシャが…」
「ユウ、マシュマロー、ご飯作ってきたよー。ドア開けてー。」
「ナイスタイミングだ。待ってろ。」
ドアを開けると晩御飯の乗ったおぼんとミルクを持ったミーシャが入ってきた。
「アイちゃんも呼んだんだけど…いい?」
「ああ、問題ない。な、小宮?」
「ああ。」
「ふふふ、ちゃんと小宮くんの分も作ったから安心して?」
「僕は別に…。」
「いいから食っとけって。俺がミーシャの料理を他人に食わせるなんて珍しいことだぞ?」
「それなら…貰う。」
「よかった。」
アイも入ってきて4人+1匹の食卓となった。
「藤山、質問なんだが…。」
「ん?なんだよ?」
「君とミーシャさんは…その…付き合ってるのか?」
「…」
「…」
「な、なんだこの沈黙は?」
「…そうだなぁ…。」
「付き合ってるというか…。」
「好きあってるって感じだな。」
「へぇ…そうなんだ…。付き合わないの?」
アイが聞いてきた。
「それは…まあ。俺には目的があるからな。それを達成した後だな。」
「…うん。」
「わぁ…それまで待つんだ?ミーシャ。」
「…うん。」
「でもまさか小宮から恋バナを振られるとはな。」
「僕は別にそんなつもりじゃ…」
「小宮くんはないの?恋バナ。」
ミーシャが尋ねた。
「僕は…別に…。」
「…お前さっきから僕は別にしか言ってないだろ?」
「きょ、興味が無いだけだ!」
「そう言えば…松山って彼氏いるのかな…?」
「な、なんで松山の話が出てくるんだ?!」
「別にぃ?」
「…僕がそんなことに興味があるわけないだろ…。」
「悪いな、からかい過ぎた。それよりもどうだ?ミーシャの料理は?」
「あ、ああ…美味しい。」
「だろ?」
「ふふふ…どんどん食べて?お代わりあるから。」
「藤山が食べてるステーキは僕のやつと違うみたいだが…何の肉なんだ?」
「これはミノ…。」
「ミノ?」
「じゃなくて…牛だ。」
「それはわかるが…。」
「ユウのは部位が違うの。だから肉もちょっと違く見えるというか…。そんな感じ。」
「そうなのか…。」
たわいない話をしながらこの日はお開きとなった。
ミーシャ&アイside
「楽しかったねー?アイちゃん。」
「そうね。またやりましょ。」
「だね。」
「ベットどうする?窓側が良い?」
「…あのー…その…。」
「ん?どうしたの?」
「ユウがいなくて寂しくて…一緒に…寝ない?」
「え?」
「ほら!マシュマロもいないし…。」
「ふふふ…仕方ないなぁ。」
2人は仲良くベットに入った。
この感じ…どこかで…。
「…ねえ、アイちゃん。」
「ん?どうしたの?」
「アイちゃんって…私とどっかで一緒に寝たことない?」
「え?どうして?」
「うーん…。上手く言えないんだけど…。懐かしいっていうか。なんかアイちゃんに抱きつくとユウやお姉ちゃんとは違うんだけど…安心するっていうか…そんな感覚になるんだよねぇ。」
「一緒に寝たのは初めてだと思うけどなぁ?」
「そうだよね…。ごめんね変な事聞いて。おやすみなさい。」
「うん。おやすみ…。」
その日私は夢を見た。出てきたのはお姉ちゃんと…もう1人は誰?
お姉ちゃんがその子のことを叱ってる。私は泣いてた。喧嘩でもしたのかな?
「ダメじゃない!ミーシェを虐めちゃ!謝りなさい、ベ…!」
ダメだ…。よく聞こえないや。
なんだろう…忘れちゃいけないことだったのに…。忘れちゃった。
「…シャ、ミーシャ。」
「う…うーん…アイちゃん?」
「ほら、朝よ。支度して。」
「…ごめん。」
「うなされてたけど…何か見た?」
「なんか夢を見てたんだけど…忘れちゃった。」
この日勇者一行はピルークに向かう馬車に乗り、この街を後にした。
――――――――――――――――――――――――――――
フォローが800超えました!
嬉しいですね…。
55話を出した、8月の3日に700を超えたと連絡したのに…。
1週間で100人増えるとは思いませんでした。
これも読者の皆さんのおかげです。本当にありがとうございます!
フォローorコメントよろしくお願いします!
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コメント
ノベルバユーザー366207
ダメだよ小宮も死ぬんだよ
ミーウィ
小宮は生きて欲しいなー
ノベルバユーザー170875
とても面白いです!
黒林檎
小宮様だけユウと分かり合える唯一の勇者やな、、、小宮様ァ!
アガルニ
小宮は復讐対象じゃないよね?(震え声)