Umbrella

高嶺

こっち向いて

恋ってどうしたら諦められるんだろう。

あたしはこの想いを閉じこめなきゃ。



美鶴さんの綺麗な黒髪が風になびくたびに、あたしは自分の目に痛い金髪が嫌になる。

きっと、さくらんぼさんはこんなものは好きじゃない。


飾ったり綺麗にしたりしなくても、その人のことを分かってる。

さくらんぼさんはそういう人だ。





あたしは髪を黒に染めた。

こうやって見かけでどうにかしようとしてる時点で、あたしはどうにもならないダメなやつだ。


それでも少しくらいあがいたっていいよね。


「黒も可愛いね」

彼のその一言で、あたしは天にも登る気になるし馬鹿みたいに舞い上がるから。



美鶴さんは当然、彼女の中にある精一杯の言葉であたしのことを褒め倒してくれる。

それよりもさくらんぼさんの一言が欲しい。



こんな少しのあがきで、ほんのちょっとでもあたしの方を向いてくれたら。


自己中で最低なあたしだ。




高校生のほんのこども、そんなあたしを相手にしてくれるわけないのに。

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