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VSジャイアントバット

 部屋の中に入ると、中央あたりに逆さまの大きなコウモリがいた。
天井から伸びる紐がいくつか対になっており、その対の両端から棒が伸びておいる。
大きなコウモリはそれに掴まっていた。

「でっかいなぁ……5、6メートルくらいか?」

「そうですね、そのくらいだったと思います」

「どうやって飛ぶんだ、あれ……」

「そこはもちろん!」

「魔法で飛ぶんだよ!」

「魔法……ってことは、フライか何かか? モンスターも使えるのか……」

「どの魔法かまでは知らないけどね?」

「あの巨体で自由自在に飛び回るんだから……」

「「魔法しか考えられないでしょ!?」」

「たしかにそうだな。……んで? こっちに気づいてないようだが、ここから魔法で倒せちゃったりするのか?」

「それもありだね!」

「ただまぁ……それだとつまんないけどね?」

「たしかに。少し拍子抜けだな……」

「ラン様、正面より正々堂々でも十分に倒せると思われます。初めてのパーティーでの戦闘には、ちょうどいいのでは?」

「そうか! コンビネーションとかの練習台にするのか! それはいいかもな。……さて、クーとキッカはどう思う?」

「「もちろん……さんせ~い!」」

「私たちの最初の共同作業だね!」

「四人でさっさと倒しちゃおう!」

「よっし! んじゃやっちまうか! 行くぞ!!」

「「「おー!!」」」

 俺たちは四人でまとまって、ジャイアントバットに向かていった。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 結論から言うと、本当に楽勝だった。
ヒカリが先頭に立って攻撃を加え、常に注意をひきつける。
そこに俺が追撃を加え、クーとキッカが魔法を叩き込む。
俺の武器がスーパーソードになっていたのも大きな要素のひとつとなり、スキルを使っても十二分に戦えた。
クーとキッカの魔法が初級じゃないのも、一つの要因だろう。
ヒカリの攻撃力が桁違いなのも大きかった。
それらすべての要因が重なり、瞬殺とまではいかないが……倒すまでに30秒~1分しかかからなかったと思う。
 まぁつまりだ……日常の塔②を、俺たちは数分でクリアしてしまったというわけである。

「あんまり練習にならなかったな……」

「そうですね。ここまで弱いとは思いませんでした……」

「「私たちって、本当に強かったんだねぇ……」」

「たしかになぁ。特にヒカリがやばいよな……一発も当たんなかったし、俺への攻撃もとうさなかったもんな?」

「恐縮です……。しかし、当然のことしたまでです」

「クーとキッカの魔法もすごかったな。あれって中級か?」

「そうだよっ!」

「ファイアランスもトルネードも中級魔法だよ!」

「やっぱ初級よりもかっこいいな。俺も覚えようかな……」

「ラン君なら、簡単に使えるようになるよっ!」

「でも、私たちが覚えているのとは別のがいいんじゃないかな?」

「そうか……? でも、俺的には全属性覚えたいと思っているんだが……」

「ほへー……」

「さすがラン君! 目標が高いね!」

「さすがはラン様です……」

「そうかな? 全属性とか、やっぱり夢だろ?」

「「たしかにね~」」

「ラン様ならば十分に可能でしょう……」

「よしっ! 物も取り終わったし、次の塔に向かおうぜ!」

「そうですね、それがいいと思います……」

「「かしこまり~」」

 俺たちは扉を開き、日常の塔②から出た。

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