とある変わった国の話

チャカギ高木

とある変わった国の話

世界は多様性で溢れかえっている。
民族
宗教
政党
身分
性別…
細かくしていけばいくらだってある。

そのなかでも一番まとまりがあり、価値があり、大きいものと言えば  

「国」である。 
さっきも言った民族だったり性別、規模で言えば宗教の方が大きいが
やはり国の方がある意味大きい気がする。

まー伝えられてない事はたくさんあるがきりがないのでここら辺で本題に入るとしよう

「変わった国」

その国では毎日必ず国民の中から一人を選び
処刑すると言う習慣が昔からある
処刑と聞こえが悪く、
「生け贄」の方が当てはまるだろう。

 この国では唯一神「ガルベストン」を昔から崇めている。
そしてそのガルベストンからの助言で、

「1日一人国民の中から選び、我に生け贄を捧げよ!」

国民はまさかこれほどの事が助言されるなんて思ってもおらず
皆が困惑した。

そして次の日からこの生け贄制度が始まった。

初めは忠誠心の強いものが進んで生け贄に我が身を捧げていったが
そんな者たちもすぐにそこを尽きた。
人間一人が毎日のペースで死んでいるからだ。
そして次第に殺し合いのような雰囲気になってきた

「お前が死ぬべきだ!」
「いや、お前だろ!」

罵声の飛び交う毎日。
力の弱い者が次々に強制的に生け贄に捧げられていく。

そしてこの状況が数ヶ月続いたある日、
ある国民の一人がこう提案した。

「誰を生け贄に捧げるか国民みんなで決めようじゃないか!
脅したりして死なせるのではなく、誰が一番人間として価値がないかを選び、
その人を生け贄に捧げよう!ただし、社会的にではなく、人間的に。」

これがどう言うことかと言うと…

社会的に見れば、身分の低いものから殺されていってしまう。
結果金持ちで横暴な者が残ってしまう。
だから逆にこう言う横暴な者達を選べば皆納得するのではと考えた。
誰が見ても邪魔な存在である者こそが相応しいと。

こうしてこの意見が直ぐに通り、それからはずっとこの制度になっていった。
次第におごり高ぶる者も減り、平和な街へとなっていった。
もちろん生け贄は今でも一日一人である。

最近では、この噂が世界に広まり、
自殺するぐらいならと、世界中から人がたまに集まるそうだ。
実は生け贄と決まった者は処刑の直前まで殺し以外は何をしてもいいそうだ。
肉をありったけ食べるのも良し。
女と夜の遊びを昼からやるのだって良し。
もちろん寝て過ごすのも良し。
だが、大抵の人は親切に

「今までお世話になりました」

と、挨拶に回るそうだ。

そして次の日の朝方、処刑が始まる。
処刑方法は多量の睡眠薬を服薬しその後は生き埋めらしい。

なぜかってのは定かではないが、残酷な殺し方はガルベストンに悪いからだそうだ。


ちなみに暗黙の了解というものがあり、誰が死んでも泣いてはいけないと言うことだ。



それにしても変わった国だ。

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コメント

  • ノベルバユーザー602658

    生け贄制度が恐ろしくてびびりながらよみました。

    0
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