異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育成しています ~

柑橘ゆすら

ドラゴン入手



 それからのことを話そうと思う。
 何やらクルルに捕えられていた『魔族狩り』は、リックさんだけではなかったらしい。

 無事に竜王女クルルを打倒した俺たちはクルルのアジトを探索して、捕えられていた『魔族狩り』を解放してやることにした。


『ソータくん。キミに対する礼は後日改めて行おうと思う。よければキミの住所を教えてくれないだろうか』


 リックさんとは募る話もあるのだが、クルルのアジトを詳細に調査したいという意向により俺たちは直ぐに別れることになった。
 そりゃあ、魔族狩りのリックさんにとってはクルルのアジトは宝の山なのだろうが、俺にとっては攻略後のダンジョンのように興味の湧かない存在である。

 何より今は疲れている。
 出来るだけ早く屋敷に戻って床に就きたいという気持ちがあった。

 だから俺はアジトの探索をリックさんに任せて、早々に帰宅を決めることにした。


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 屋敷に戻った後は恒例の魔物配合の時間である。


「ねぇ。ソータ。もったいぶっていないで早く教えなさいよ!」

「飛龍の谷で何か手に入れたんスかね? いつも以上にソータさんの表情が自信気ッス」


 俺は「面白いものを見られるよ」という誘い文句で何時もの3アフロディーテ・キャロライナ・シエルを庭に集めていた。
 そこで俺は満を持してウィングリザード&サラマンダーを召喚する。


「クポォ……」

「グシャァァァアアアアアアアア」


 惜しい! よくよく考えてみると2匹とも非常に惜しいモンスターである。
 立派な翼を持っているのに外見は完全にリザードマンと変わらないリザードウィング。

 外見は立派なドラゴンなのに翼を持たないサラマンダー。
 どちらも俺が理想とするドラゴンからは微妙にズレた外見をしていた。

 ならばこの2体のモンスターを配合すればどうなるのだろうか?
 実を言うとクルルのアジトでサラマンダーをゲットした時から密かに期待していたんだよな。


 システムメッセージ
(ベースとなる魔物を選んで下さい)

 アフロディーテ
 キャロライナ・バートン
 シエル・オーテルロッド
 ユウコ
 ロスト・コールドラート
 ワーウルフ
 アダマイトゴーレム
 ケダマロ
 ゴブリンナイト
 ライトマッシュ
 キツネビ 
 マッドマッシュ
 リザードウィング
→サラマンダー


 ここで俺が選択したのはアジトで捕まえたばかりのサラマンダーである。

 素材となる魔物は当然、リザードウィング!

 サラマンダー!
 お前に翼を与えてやろう!

 システムメッセージ
(下記の魔物に進化が可能です。合成しますか?)

→ はい
  いいえ

 ワイバーン
 図鑑NO 27
 種族  竜族
 等級  B
 生命力 185
 筋力値 160
 魔力値 180
 精神力 155

 スキル
 ファイアブレス

 進化条件
 サラマンダー×リザードウィング

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 竜族の中位種族となるモンスター。
 同ランクのドラゴンとしては最強の戦闘能力を誇る。 
 手懐けることにより、他生物を背中に乗せて飛行することが出来る。

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 ゲームの世界ではワイバーンというと正統派ドラゴンの代名詞みたいなモンスターである。
 イギリスなんかでは最も人気のドラゴンで色々な組織のロゴにワイバーンのイラストが入っているらしい。

 いやぁ~。
 帰りの亀車の中でワイバーンの名前を見た時には心が躍ったね。

 この幸せは他メンバーと共有しないと勿体ない!
 アフロディーテたちを庭に集めたのにはそういう事情があったのである。

 ポチッとな。
 俺が『はい』を選択した次の瞬間。

 2体のモンスターは光に包まれて、やがては大きな光を生み出すことになる。


「フオオオオォォォ!」


 うおおおおおっ! かっけぇぇぇ!

 これだよ! 
 俺がずっと求めていたのはこれ!

 光の中から現れたドラゴンは……まさに期待通りに正統派といった感じの姿をしていた。


「うおおおおお! 凄いッス! 本物のドラゴンッス!」

「古代竜……ワイバーンですか。上位種のドラゴンを使役なさるとは……流石はご主人さまです!」


 うんうん。
 やっぱり生のドラゴンを見てテンションが上がるのは男女で共通だよな。

 これからは俺のことをドラゴン使いのソータと呼んでくれ!


「えーっと。この子がソータが見せたいって言っていたものなの? 正直、リザードマンとの違いがよく分からないわ」


 1人だけ寝惚けたことを抜かすやつがいたが、スルーしておくことにしよう。

 アフロディーテ。
 人のことを言えた義理ではないが、お前はもう少し男心ってやつを勉強するべきだと思うぞ?


「これから宜しくな。ワイバーン」

「フオオオオォォォ!」


 こうして俺は意外な方法により念願のドラゴンをゲットするのであった。

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