異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
四獣の塔
それから。
時刻は8時間ほど先に進むことになる。
ここはローナス平原から東に200キロほど離れた場所に位置する、《四獣の塔》と呼ばれる建物の中である。
その最上階《黄金の間》から悠斗とタナトスの戦いを眺める1人の魔族の姿があった。
「彼か。不死王タナトスを1人で倒した少年というのは……」
その魔族の名は《マモン》と言った。
七つの大罪の中でも《強欲》の名を冠するマモンは、他を寄せ付けない圧倒的な財力と兵力を併せ持っていることで知られていた。
水晶玉に映し出された戦闘の映像を見ながら、マモンは優雅にグラスに注がれたワインを口に含む。
「――ハッ。この映像はつい先日に記録されたものになっています。どうやらこのコノエ・ユートという男は、魔族の世界でも名を上げているようにございます」
下級魔族のインプはマモンに対して深々と頭を下げながらも報告をする。
「どうやらそのようだね。たしかに人間にしては大した戦闘能力だ。ルシファーたちが目をかけるのも頷けるよ」
強力な魔族やネームドモンスターを打ち倒し、快進撃を続ける悠斗の存在は魔族たちの間でも知られるようになっていた。
「しかし、タナトスが死んだのは予想外だったね。彼を抱き込むことが出来たら《四獣》に次ぐ実力者として厚遇しようと考えていたのだが……期待外れだったようだ」
マモンが個人で保有する兵力は、魔族・モンスターを含めると1万を超えていた。
その戦力層は非常に厚く、仮に史上最悪のネームドモンスターと謳われたタナトスが入隊していてもマモンの部下の中では戦闘能力5番手以降だっただろう。
「マモン様。如何なさいましょうか。恐れながら進言します。コノエ・ユートという男……このまま野放しにしておくにはあまりに危険に過ぎる存在だと存じます」
「しかし、これだけの力を発揮する彼の肉体が興味深くもある。……そうだね。彼の亡骸をボクの元に連れてきた者には1億リアの報奨金を取らせることにしよう」
「い、1億……ですか!?」
トライワイドにおける1億リアは、現代日本で言うと10億円の価値に相当するものがある。
その金額はたとえ魔族であっても簡単に手にすることが出来ないものなのだが――。
《召喚の魔石》の独占販売を始めとして数々の裏稼業で成功を収めているマモンにとっては、1億リアですらも端金に過ぎないものであった。
「ふふふ。コノエ・ユートか。何処の誰だかは知らないが、我々に歯向かったことを後悔させてやることにしよう」
空になったグラスにワインを注ぎながらもマモンは不敵に笑う。
史上最悪のネームドモンスター《不死王タナトス》を倒したことを発端として――。
水面下で新たなる火種が生まれようとしていることを――悠斗はまだ知らないでいた。
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コメント
ばけねこ
四獣が野獣に見えた…