異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

新たなる旅立ち



 家に戻った悠斗はスピカたちに相談することにした。


「に、2000万リアですか!?」

「ああ。俺もイマイチ実感が湧かないんだけどな。どうやらそういうことになっているらしい」


 悠斗はそう前置きをした上で冒険者ギルドから受け取った白金貨を20枚取り出すとテーブルの上にそれを積み上げる。


「ス、スゲー。これが噂に聞く白金貨っていうやつか。まさか生きているうちにコイツを拝めることになるとは思わなかったぜ!」

「パナいのです! お兄ちゃんはお金持ち、なのです!」


 フォレスティ姉妹は、両目を輝かせながらもテーブルの上の白金貨をマジマジと観察していた。


「シルフィアは割と落ち着いているみたいだな?」

「いや。私とて驚いている。しかし、2000万リアと言えばロードランドの上級貴族の貯蓄額に相当する。ここで舞い上がって使い道を誤るわけにはいかないからな。私だけは冷静でいようと考えているのだ」

「なるほど。まあ、たしかに大金だよなぁ。シルフィアの落札価格が70万リアくらいだったからシルフィア28人分の額だもんな」

「ぬっ。主君、気色の悪い喩え方はしないでもらえるか!?」

「スピカの場合、1人5万リアだったから400人は買えるな」

「酷いです!?」


 スピカ400人分という例を挙げた悠斗は、そこでようやく2000万リアという金額の凄みを知ることができた。


「お兄ちゃん! サーニャは!? サーニャの場合は何人分なのですか!?」

「ん~。サーニャとリリナの場合は別に金銭的な問題は絡まなかったからプライスレス!」

「プライスレス、なのです! やったのです!」

「サーニャ。んなアホな会話で喜ぶなっていうの!」


 何はともあれこれだけの大金を手に入れることが出来たのである。
 今後は当分の間、金銭的な心配をする必要がなさそうであった。


(……さて。次にやるべきことは決まっているな)


  悠斗はそこでダンジョンの中でベルゼバブが口にした言葉を思い起こす。


『ユート様。もし異世界人が元の世界に戻る方法があるとすれば、アタシたちの仲間……強欲の魔王、マモンなら何かを知っている可能性が高いはずです。マモンは《召喚の魔石》を用いて異世界人を呼び出す実験を行っているみたいですから』


 マモンという魔族が戦争の道具として人間に《召喚の魔石》を売り付けていることは以前にシルフィアから聞いていたことであった。


『そして肝心のマモンの居場所ですが……ごめんなさい。アタシもそこまでは知らないです。あのヒキコモリは滅多なことではアジトの外に出ないんですよねー。
 ただ1つ確実に言えることは、アタシたちはリーダーの招集によってエクスペインの街に集まっているということです。なのでアイツも近い内に……というか1カ月以内には絶対、この街にやってくると思いますよ。
 あ! もしよければマモンのやつが街に来たらアタシが連絡を入れましょうか? たぶんその方が確実ですし。住所を教えてくれればアタシが直で教えにいきます』


 隠している情報というわけでもないので、悠斗はそこでベルゼバブに屋敷の住所を教えることにした。


『ふふふ。ラッキー! ユートさまの住所ゲットです❤』


 ベルゼバブは住所の書かれた紙切れにキスをしながらも、名残惜しそうに悠斗の傍を離れることにした。
 どうやら彼女もまたこの街で用事を残していたらしい。


『暫くは離れ離れになってしまいますが、アタシが見ていないからって他の女の子に目移りしてはダメですからね❤』


 彼女の言葉が何処まで本気のものなのか――。
 それは他ならぬ悠斗自身が測りかねていることであった。

 悠斗は今までの異世界での冒険の記憶を辿りながらも感無量の想いに耽る。 


(……ようやくこれで元の世界に帰る方法が分かるのか)


 今まで手に入れたどんな情報よりも、今回のそれは『元の世界に帰る方法』に近づいているという実感があった。


 悠斗が異世界に召喚されてから既に一カ月近くの時が経過している。
 まだまだやるべきことは山積みであるが、当面の目標はこれで定まった。

 次なる目標は強欲の魔王――マモンとの対面である。


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